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罰ゲームで黒髪清楚な高嶺の花に告白した僕は、百合属性だったカノジョに女装させられて、誰にもヒミツの関係になった。  作者: きたみ詩亜


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⑪ 両親のお仕事。家族への想い。『たまに会える時はすごくかわいがってくれたわ……』

 週末土曜日。和奏と二回目のデートの日がやってきた。

 彼女のタワーマンションまでやってきて、ロックを開けてもらう。エレベーターに乗り込むと、音もなく高速で上昇していく。


「──それにしても、和奏の家って超絶お金持ちだよな……ご両親は、何やってる人なんだろう……」


 思わずひとりごとが漏れる。

 ──やがて最上階へ到着。

 玄関前に移動し、チャイムを鳴らす。ほどなくして和奏が出てきた。


「ちょっと今日冷えたでしょ……さっ、入って?」


 淡いブルーのトップスに、紺のジーンズのカジュアルスタイルな彼女の姿。


「──ねぇ、和奏の両親って、何してる人なの?」


 和奏と並んで廊下を進みつつ、さりげなく疑問をぶつける。


「お母さんは、以前は働いていたけど、今は会社もやめて専業主婦よ。お父さんは……総合商社に勤めててね。出張とか、休日出勤も多くて、なかなか会えないの。でも、たまに会える時はすごく可愛がってくれたわ……」

「そうなんだ……」


 昔を回想しているのだろうか。

 優しげな面差しで、家族への思いを述べる和奏。

 何だか不思議な言い回しに違和感を覚えるものの、そういうものかなと、ひとり納得する。

 和奏の部屋に入ると、すでにローテーブル上に着替えが準備されている。


「今日は自分でブラジャー着けてみない?」

「……分かった」


 意を決する僕。

 シャツを脱ぎ、ブラジャーを手にする。肩から紐をかけ、背中に手を回しホックを留めようとする。が……やはりなかなかうまくいかない。


「ホックが最難関なんだよね……フロントホックってのじゃ駄目なの?」


 それなら前で留められるだろう。まだこっちより簡単なはずだ……。


「まあ、そっちでもいいのだけど……あたしは優が、後ろ手にホックを留める姿が見たいわ……」

「分かったよ……」


 よく分からない彼女のこだわり。

 

「……うぅ〜〜、ブラなんて付けられないよぉ……」

「──ねぇ、優。ちょっと見てて?」

「うん……え?」


 和奏のほうを見ると、彼女が着ているトップスと、キャミソールを脱いだ。

 ──彼女の大きな乳房を包む、漆黒のブラジャーが露わになる。


「ちょっと、和奏……!」


 ……いや、気を確かに持て!

 和奏のブラジャーは、前回見てるじゃないか……!

 そう、気持ちを落ち着ける僕。


「──よく見ててね?」


 彼女が背中に手を回す。

 すると、そのまま、パチン! とホックをはずした。

 ブラが浮き、脇から胸が見えそうになる。

  

「むっ、胸見えるから、和奏……!」

「何、驚いてるのよ……今からホック留めるところを実演してあげるから」


 クイッと体を反転させて僕に背中を向ける。


「こうするのよ」


 器用にホックを留める手つき。

 毎日やってるのだから、当たり前だけど……。


「同じようにやってみて?」


 和奏が実演してくれるのを見ながら、僕も自身のブラに手を回し、ゆっくりとホックを留めてみる。

 ──実演のおかげか、無事ひとりでのブラジャー装着に成功した……。


「おめでとう、優」

「和奏こそ、ありがとう……」


 最難関をこなしたあとは、順にブラウス、スカートを身に着けていく。

 フレアスカートから広がる足。

 ふたたび生えてきた脛毛などは、和奏に言われて、事前に家で剃ってきた。


「メイクもしましょうね……」


 彼女の声に、化粧台の前へと座り、おそるおそる自分でメイクをする。

 なかなかうまくいかないが、何とか完成。

 ……そして、仕上げにと、ピンクのリップを唇につける。

 ──パチパチパチ……。


「優、やるじゃない……!」


 和奏が、きちんと自分で着替えてメイクした僕に向けて拍手を送ってくれる。

 レクチャーを受けながらだから、相当時間がかかってしまった。しかし、なんとかひとりでできた!

 ──なんだか、自分が女性として成長している気になり、気恥ずかしくなる。

 

 着替えを終え、和奏宅を出ると、空は生憎の薄曇り。


「……冷えちゃうから、和奏、行こ?」

「ふふっ……そうね」


 秋の装いに包まれた僕たち。

 二回目のデートへと足を踏み出した。

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