表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国産アニメ創世記~絵を動かした開拓者たち~  作者: かつを
第4部:熱狂編 ~ファンと文化の誕生~
99/126

魔法少女というジャンルの確立 第5話:時代が求める少女像

作者のかつをです。

第十六章の第5話をお届けします。

 

80年代、魔法少女アニメは大きな転換期を迎えます。

東映動画の伝統を受け継ぎつつ、他社が競うように生み出した「職業変身」や「アイドル」というテーマ。

それは、女の子たちの夢がより具体的で、社会的なものへと変化した証でもありました。

 

※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

2025年、東京。

 

バーチャルYouTuberが画面の中で歌い、踊っている。彼女たちはアバターという魔法の力で、理想の姿に変身し、世界中のファンを魅了する。アイドルになりたい、歌手になりたい、誰かに注目されたい。その承認欲求と自己実現の形は、テクノロジーの進化と共に多様化している。

 

私たちは、その「なりたい自分になって輝く」という姿を、現代のサクセスストーリーとして見ている。

 

しかし、かつて魔法少女アニメが、その「自己実現」の夢を、テレビの中で鮮やかに叶えてみせた時代があったことを、知る者は少ない。

 

 

1980年代。

日本はバブル景気へと向かう高揚感の中にあった。

豊かになった社会で、女の子たちの夢も変化していた。

「お嫁さんになりたい」から、「アイドルになりたい」「看護婦さんになりたい」「キャリアウーマンになりたい」へ。

 

その時代の空気を敏感に察知したのが、東映動画から独立したスタッフたちが立ち上げた新しいスタジオ、葦プロダクションやスタジオぴえろだった。

彼らは、東映動画が築いた魔法少女の基礎の上に、新しい時代の価値観を乗せた。

 

1982年、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』。

大人に変身する魔法を持ったモモは、看護婦、婦人警官、パイロットと、毎回異なる「職業」のプロフェッショナルに変身して活躍する。

それは、アッコちゃんの変身をさらに進化させ、具体的なキャリアとしての「働く女性」への憧れを肯定するものだった。

 

そして1983年、『魔法の天使クリィミーマミ』。

ひょんなことから魔法の力を得た少女優は、謎のアイドル歌手クリィミーマミに変身し、芸能界でスターダムを駆け上がっていく。

芸能界、歌番組、コンサート。

当時の女の子たちが最も憧れていたキラキラした世界を、魔法というギミックを使ってリアルに描いた。

 

これらの作品は、従来の「魔女っ子」という呼び名から、「魔法少女」というより広いジャンルへと進化させた。

 

彼女たちは、もはや不思議な国から来たお客様でも、修行中の身でもなかった。

現代の日本に生きる普通の女の子が、魔法の力で「可能性としての自分(大人)」を先取りし、社会の中で輝く。

 

「私も、大人になったらあんな風になれるかもしれない」

 

テレビの前の少女たちは、変身したヒロインの姿に、自分自身の未来を重ね合わせた。

そして、主題歌もまた、アニメソングの枠を超えてヒットし、作品そのものがファッションや音楽といったカルチャーの一部となっていった。

 

魔法は、問題を解決するための道具から、少女が自分自身を輝かせるための「プロデュース能力」へと意味を変えたのだ。

 

この80年代の魔法少女たちは、女性が社会で活躍することが当たり前になる時代の先触れだった。

彼女たちが振りまいたキラキラとした光は、女の子たちに「自分の力で夢を叶えること」の素晴らしさを教えてくれたのだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 

『クリィミーマミ』などのスタジオぴえろ制作の魔法少女シリーズは、ファッション性の高さも特徴でした。当時の流行を取り入れた衣装や小物は、今見ても色褪せない魅力があります。

 

さて、半世紀にわたる魔法少女の歴史を辿ってきました。

彼女たちの魔法は、現代の私たちに何を遺したのでしょうか。

 

次回、「あなたの最初の「憧れ」(終)」。

第十六章、感動の最終話です。

 

物語は佳境です。ぜひ最後までお付き合いください。

ーーーーーーーーーーーーーー

もし、この物語の「もっと深い話」に興味が湧いたら、ぜひnoteに遊びに来てください。IT、音楽、漫画、アニメ…全シリーズの創作秘話や、開発中の歴史散策アプリの話などを綴っています。


▼作者「かつを」の創作の舞台裏

https://note.com/katsuo_story

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ