魔法少女というジャンルの確立 第4話:戦うだけじゃない
作者のかつをです。
第十六章の第4話をお届けします。
『魔女っ子メグちゃん』。
この作品がなければ、後のバトルヒロインものは生まれなかったかもしれません。
ライバルの存在、そして少し背伸びした大人の世界観。少女たちの成長を描く上で欠かせない要素がここで確立されました。
※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。
2025年、東京。
女性向けのアクション映画が人気を博している。強く、美しく、そして自分の意志で運命を切り拓くヒロイン。彼女たちには必ず、魅力的で強力なライバルが存在する。互いに競い合い、高め合う関係性。それは現代のエンターテイメントにおいて、欠かせない要素となっている。
私たちは、その「戦うヒロインとライバル」の構図を、当たり前のドラマとして楽しんでいる。
しかし、かつて魔法少女アニメが「優等生的な良い子」の枠を飛び出し、ライバルとの競争や、少し際どい大人の事情を描くようになった転換点があったことを、知る者は少ない。
1974年。
日本のアニメ界は『マジンガーZ』などの巨大ロボットブームの真っ只中にあった。
「戦い」という要素が、子供たちを熱狂させていた時代。
東映動画のスタッフたちは、魔法少女アニメにも新しい風を吹き込もうとしていた。
そうして生まれたのが、『魔女っ子メグちゃん』である。
主人公のメグは、これまでのサリーやアッコちゃんとは違っていた。
彼女は魔界の次期女王候補。
そして、人間界に修行に来た目的は、もう一人の女王候補であるライバル「ノン」と競い合い、勝つことだった。
「ライバルとの競争」。
これは、当時の少女アニメとしては極めて斬新な設定だった。
クールで知的なノンと、行動的で情熱的なメグ。
二人は時に反目し、時に協力しながら、様々な事件を解決していく。
そこには、単なる「仲良しグループ」ではない、緊張感のある人間ドラマが描かれた。
さらに、スタッフたちはキャラクターデザインや演出にも挑戦的な試みを行った。
メグの服装や変身シーンには、ほんの少しの「お色気」や「大人っぽさ」が加味された。
主題歌の歌詞も「二つの胸のふくらみは 何でもできる証拠なの」と、少女の成長と自立を大胆に歌い上げた。
「女の子だって、綺麗になりたいし、男の子に負けたくないと思っているはずだ」
作り手たちは、女の子を「守られる存在」ではなく、「主体的に行動する存在」として描こうとした。
メグは、DVをする父親に立ち向かったり、社会の理不尽さに怒りを爆発させたりする。
その姿は、当時のウーマンリブの風潮ともどこか共鳴していた。
「メグちゃん、かっこいい!」
テレビの前の女の子たちは、優等生ではない、喜怒哀楽をはっきりと表すメグの姿に、新しいヒロイン像を見た。
そして、男の子たちもまた、その魅力的なキャラクターと、魔法を使ったダイナミックなバトルアクションに夢中になった。
『魔女っ子メグちゃん』は、魔法少女アニメを「幼児向け」から「少年少女向け」へと一段階引き上げた。
魔法はもはや、ただの不思議な力ではなかった。
それは、ライバルと競い合い、社会と向き合い、自分自身の運命を切り拓くための「力」となったのだ。
この作品が蒔いた「戦う魔法少女」の種は、やがて90年代の『美少女戦士セーラームーン』で大輪の花を咲かせることになる。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
メグのライバルであるノンは、青い髪とクールな性格で、現在の「青キュア」やクール系ヒロインの元祖とも言える存在です。対照的な二人のヒロインという構図は、ここから始まったのです。
さて、70年代を経て、80年代に入ると魔法少女はさらなる進化を遂げます。
次は、魔法が「職業」や「アイドル」と結びつく時代です。
次回、「時代が求める少女像」。
ミンキーモモやクリーミーマミ。新しい魔法少女たちの輝きを描きます。
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