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国産アニメ創世記~絵を動かした開拓者たち~  作者: かつを
第4部:熱狂編 ~ファンと文化の誕生~
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『アニメージュ』創刊とファン世代の覚醒 第7話:あなたが語る、その作品(終)

作者のかつをです。

第十三章の最終話です。

 

一冊の雑誌がいかにして文化を成熟させ、そして自らが文化の作り手となっていったのか。

そのメディアの役割の進化という壮大な物語を描きながらこの章を締めくくりました。

 

※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

2025年、東京。

 

物語の冒頭に登場したあの大学生。

彼は自らのブログに書き上げた渾身のアニメ考察記事を投稿した。

「この記事を読んで〇〇(作品名)をもっと好きになってくれる人が一人でも増えたら嬉しいな」。

彼の指がエンターキーを押した瞬間、その言葉はインターネットという大海に放たれ、世界のどこかのまだ見ぬ同じ作品を愛する誰かの元へと届いていく。

 

私たちは、「誰もが批評家であり発信者である」という幸福な時代を当たり前の日常として生きている。

 

しかし、その私たちが今当たり前に使っている「語るための言葉」と「語るための場所」が、かつて一人の編集者の野心と一冊の雑誌の挑戦によって初めてもたらされた物語であったことを知る者は少ない。

 

 

鈴木敏夫が創刊した『アニメージュ』。

その紙の上の宇宙戦争は日本のアニメ界に計り知れない遺産を残した。

 

それはファンに言葉を与え文化の担い手へと育てた。

それは作り手に光を当て彼らを匿名の職人からファンの尊敬を集める「作家」へと変えた。

 

そしてその雑誌が残した最も偉大な遺産。

それは一人の無名のアニメーターの才能を見出し、彼に漫画を描かせ、そしてその漫画を原作として一本の歴史的な映画を生み出したことだった。

 

そのアニメーターの名は宮崎駿。

そしてその映画の名は『風の谷のナウシカ』。

 

『アニメージュ』がなければナウシカは生まれなかった。

そしてナウシカの成功がなければスタジオジブリもまた存在しなかった。

 

鈴木敏夫の野心は単なる一雑誌の成功に留まらず、作り手を発掘し作品を生み出し、そして自らがその作り手本人となって歴史の中心へと躍り出ていったのだ。

 

ファンとメディアと作り手。

その三つの点がかつてないほど幸福な形で結びついた奇跡の物語。

その全ての始まりはあの創刊号にあった。

 

 

歴史は遠い資料館の中にあるのではない。

あなたが今当たり前のように開いているそのアニメの考察サイト。

あなたが今当たり前のように目にしているその作り手のインタビュー記事。

 

その全ての情報の源流にそれは確かに息づいているのだ。

 

かつて子供雑誌の片隅で誰にも語られることのなかったアニメという文化に初めて光を当て、それを「語るべき物語」へと変えた名もなき編集者たちの静かでしかし熱い魂が。

 

あなたが今その作品を語る言葉。

その言葉こそが彼らが始めた紙の上の宇宙戦争の、確かな続きなのだから。

 

(第十三章:『アニメージュ』創刊とファン世代の覚醒 了)

第十三章「『アニメージュ』創刊とファン世代の覚醒」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

 

鈴木敏夫さんはご存知の通りこの後スタジオジブリのプロデューサーとなり、高畑勲、宮崎駿と共に数々の傑作を世に送り出していくことになります。まさに歴史を自らの手で動かした伝説の編集者です。

 

さて、ファンは目覚め自らの言葉を持ちました。

次なる物語は、そのファンの熱狂が一度は死んだはずの作品に奇跡を起こす物語です。

 

次回から、新章が始まります。

**第十四章:ヤマト、発進せよ! ~再放送が起こした奇跡~**

 

視聴率低迷で打ち切りとなったSFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』。

しかしその作品に込められた熱は決して消えてはいなかった。

ファンの声がいかにして社会を動かし伝説を生み出したのか。その熱狂の記録が始まります。

 

引き続き、この壮大な旅にお付き合いいただけると嬉しいです。

ブックマークや評価で応援していただけると、第十四章の執筆も頑張れます!

 

それではまた新たな物語でお会いしましょう。

ーーーーーーーーーーーーーー

もし、この物語の「もっと深い話」に興味が湧いたら、ぜひnoteに遊びに来てください。IT、音楽、漫画、アニメ…全シリーズの創作秘話や、開発中の歴史散策アプリの話などを綴っています。


▼作者「かつを」の創作の舞台裏

https://note.com/katsuo_story

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