韓国からの援軍 第6話:エンドロールの向こう側(終)
作者のかつをです。
第十九章の最終話です。
かつての「援軍」が、今や世界を牽引するクリエイターへと成長した姿。
それは日本のアニメ業界にとっても刺激であり、誇るべき歴史の一部です。
※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。
2025年、東京。
田中は、制作会社のプロデューサーとして、今も現場の第一線に立っている。
彼はタブレットで、世界中で大ヒットしている最新のWebtoon原作のアニメを観ていた。
その映像のクオリティは凄まじい。
そして、そのアニメを制作しているのは、かつて彼が無理を頼んだあのソウルのスタジオだった。
キムさんの息子が後を継ぎ、今やそのスタジオは下請けではなく、元請けとして世界的な作品を生み出すトップスタジオへと成長していた。
「立派になったもんだな……」
田中は目を細めた。
80年代、90年代の日本の「作画崩壊」の危機を救った彼ら。
彼らは日本の仕事を通じて技術を磨き、ノウハウを蓄積し、そしてついに自らの翼で世界へと羽ばたいていったのだ。
今やアニメ制作は完全にグローバル化した。
中国、韓国、ベトナム、フィリピン。
世界中のクリエイターたちがネットワークで繋がり、一つの作品を作り上げる。
それはもはや「日本のアニメ」という枠を超えた、地球規模のプロジェクトだ。
しかし、その巨大なネットワークの原点には、あの日、羽田と金浦を往復したボストンバッグと、深夜の国際電話があったことを、田中は忘れない。
エンドロールが流れる。
そこには、日本人だけでなく、様々な国の名前が対等に並んでいる。
Kim, Lee, Park, Zhang, Nguyen...
かつては「下請け」として小さく表記されていた彼らの名前が、今はメインスタッフとして堂々と輝いている。
それは、かつて日本のピンチを救ってくれた「援軍」たちが、強力な「盟友」となり、そして時には手強い「ライバル」へと成長した証だった。
「負けてられないな」
田中は苦笑いしながら、新しい企画書に向かった。
海を越えた友情と競争。
その切磋琢磨が続く限り、アニメーションの世界は広がり、進化し続けるだろう。
かつて海を渡った原画は、今、世界を結ぶ架け橋となったのだ。
(第十九章:韓国からの援軍 ~作画崩壊と戦った制作デスク~ 了)
第十九章「韓国からの援軍」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
現在、Netflixなどで配信される作品の多くは、国境を越えたスタジオの協力によって作られています。そのルーツを知ることで、エンドロールを見る目が少し変わるかもしれませんね。
さて、アニメ制作の歴史を辿る旅も、いよいよ最後の章となります。
最後は、アナログからデジタルへの移行、そして失われゆく技術と未来への希望の物語です。
次回から、最終章が始まります。
**第二十章:セル画よ、永遠に ~デジタルアニメの夜明けと職人たちの選択~**
絵の具と筆から、コンピュータとペンタブレットへ。
アニメ制作が根本から変わった静かなる革命の瞬間。
効率化の波の中で、職人たちは何を思い、何を選んだのか。
引き続き、この壮大な旅にお付き合いいただけると嬉しいです。
ブックマークや評価で応援していただけると、最終章の執筆も頑張れます!
それでは、また新たな物語でお会いしましょう。
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