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花時、君と出逢う。

作者: 東雲

桜が舞う春。

涼風 優 高校2年生。今日から新学期だ。


僕の通っている高校は1年ごとに、クラス替えがある。期待と不安胸に抱きながら校門をくぐり、玄関に張り出されたクラス替えを見る。


ざわざわしていて玄関はすごい人だかりだ。


「好きな人とクラス離れた…」

「うちらまた同じクラスじゃん!!やったね」

「クラス離れちゃった最悪…」

などと聞こえてくる。



クラスのメンバーが今後の学校生活に関わってくると言っても過言では無い。

仲良い人、好きな人とクラスが離れたり、苦手な人や嫌いな人と同じクラスになったり、担任が厳しかったり…などなど人によって重要視することが違うだろう。


僕も、思い当たることがあり不安だ。


やっと空いてきて見れるようになった。


えっと僕のクラスは…


2組だ。


続いてメンバーを見てみる。


名簿順に誰がいるか見る。


全然知らない人が多い、名前は知っているが話したことがない人、全く知らない人ばかりだ。

女子も見てみる。


……………………………再悪だ。


西園寺(さいおんじ) 愛美(めぐみ)と同じクラスだ。


こいつは、中学生の時に僕の名前が 優 で女っぽいとか顔が童顔で女みたいといじってきた。こいつのせいで中学生生活は散々だった。


1年前同じ高校に入学したと知り、なるべく合わないように西園寺のクラスの近くに行かないように学校内で会わないように徹底して避けてきた。

もう関わりたくないのに……


気が重い


これからまた、あいつにいじめられないといけないのか…

正直あいつにされたことはトラウマになっている。顔を見るのさえもいやだ。


これから新しいクラスに行かないといけない、時間も迫ってきている。


どうしても無理なのでどこかでサボることにした。


サボるにしても空き教室とかはバレるだろうし、トイレに逃げても先生に探されて「こいつトイレにいたぞ」と噂なるだろう。

そんなことがあればまた西園寺のいじめが加速してしまう。


合法的にサボれるところは無いかな…


廊下を歩いているとちょうど保健室がある棟に来てしまった。


そうだ!保健室に行こう

保健室なら体調が悪いと言えば休ませてもらえるし保健室の先生は優しいと噂だ。


僕は去年保健室を利用したことがないから始めて入る。なんだか緊張する。


失礼します…


ドアを開けた。


ドアの先には肌が白く、髪はほんのり茶色でボブぐらいの髪の長さの小柄な女の子がいた。


目が合ってしまった気まずい。


何年生だろうか。保健室の窓から見える桜にがすご似合っている。


体調不良かしら?

保健室の先生が聞いてきた。


そうです…頭が痛いというかなんというか…


先生は何かを察したかのように言った。

新学期だし不安なこととか多いわよね。ゆっくり休んでいきなさい。悩みとかあったら聞くわよ。


ありがとうございます。


僕が気になって見ていたからか、先生が続けて言う。

そこにいる子はね、体が弱くて保健室登校しているの。


そうなんですね。こんにちは。僕は涼風優。2年生です。


こんにちは。私の名前は一ノ瀬小春。3年生だよ。


始業式が始まるから私は行くわね。終わるまで2人でお話でもしてたらいいわ。


と言って先生が出ていった。

噂の通り優しい先生だな。


涼風くん、体調悪いの?大丈夫?


いやー、体調悪い訳でもなくて…クラスに入りずらいんだよね…


そうなんだ。理由を聞いてもいい?


実は中学の時に僕のことをいじめてきた人と同じクラスになって…僕の顔が女みたいとか、名前が優で女みたいっていじられて…

話しすぎしたよねごめんなさい。


全然大丈夫だよ。 話してくれてありがとう。

私は優って名前名前素敵だと思うな。


見た目をばかにしてくるひとっているよね。

私も病弱で、肌が白くて髪も少し茶色だから、


「ガイジン」「自分の国帰れ」「髪染めるな」

とかってからかわれた事があるよ。


悲しそうに一ノ瀬さんが言う。


僕は、一ノ瀬さんの髪も肌も素敵だと思いますよ!ほら、窓から見える桜に似合ってきれい…


そう言うと、一ノ瀬さんが微笑んでありがとうと言った。


その後はたわいのない会話をして盛り上がった。


好きな食べ物の話や好きな季節の話、、、

一ノ瀬さんは甘いお菓子が好きらしい、今度持っていこう。


季節は春が好きと言っていた。一ノ瀬さんにぴったりだ。


数時間話しただけだけれど、仲良くなれた気がした。


もう下校時刻よー帰りなさい。

と保健室の先生が帰ってきた。


時計を見ると12時30分。



半日も話していたようだ。一ノ瀬さんと話すのは楽しかった。また来たいな。


また一ノ瀬さんに話に来てもいいですか?


もちろん!また来てねと言ってくれた。


保健室の先生も、一ノ瀬さんにお友達が出来て嬉しいわ。クラスにあまりいけないから、馴染めなくてクラスに話せる人も少ないし…

涼風くんも、クラスで嫌なこととかあったら相談しに来るのよ。

とまた来るのを喜んでくれた。


ありがとうございます。また来ます!と言って保健室を出た。



結局クラスには行けなかったな。

また明日から頑張ればいいや。もし、クラスでまたいじめられても保健室に行けば一ノ瀬さんもいるし。


クラスでの不安よりも明日一ノ瀬さんとどんな話をしようか、どんなお菓子を持っていったら喜んでくれるかなとか楽しみの方が大きくなっていた。


明るい気持ちで玄関から出る。


校門には桜花爛漫。桜が咲き乱れている。



4月のこんな頃を花時と言うらしい。



花時、君と出逢えてよかった。

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