094.獣人国(24) 獣人国視察(16)
「やっときたにゃー」
ニャーヤが飛びついてきた。
「久しぶり、
新しいメンバーを紹介しておくね、こちらがラン、ロレイン商会の家族で現在ユグエンドーラ領の財務管理を任せている。そしてこちらがイーフラシーノ師匠、吟遊詩人の師匠だよ」
「ユグエンドーラってなんにゃ?」
「私の新しい領地だよ」
「吟遊詩人の師匠ってなんにゃ?」
「なりゆきで吟遊詩人になったんだよ」
「分かんなゃいけど、今たいへんなんだにゃぁ
貴族たちがなかなか言うことを聞いてくれなくて、助けてにゃ」
「国王の代理ってだけではだめなの?」
「やっぱり力がすべて、国王交代の闘技場での決闘を見ていた貴族はなんとか言う事聞いてくれるにゃけど
そんなの信じられないという貴族が多いにゃ」
「じゃあぶん殴りに行けばいい?」
「頼むにゃ、特にこれから視察に行く北部は言うことを聞かない強い者が多いにゃ」
まずは前回ここを去ってからの状況を聞く
栗鼠人族の薬草が出回ってきて匂いも少なく効果も高くて好評だということだ。街の財政も環境も改善してきているそうだ、良かった。
ヨウコの店にも行ってみた。うまく貴族婦人たちから好評を得ているらしい。ランの目が爛々と輝き出した。商人モードに入ったようだ。でも残念、個別対応なので調香師がいないと商売は出来ない。私は作れるけど忙しい。ランが使う分ぐらいは作ってあげると言ったら一生付いていきますと言われた。仕方がない作ってあげよう。
「人間の小娘が!国王などと認めるかぁ」
バコン
「ぐえーー」
これで5人目だ
「お主見かけによらず強いな、わーはっは、飯でも食っていくか」
そしてこうなる。負けたら相手を持ち上げないといけない、貶めると負けた自分はそれ以下になってしまう。だから負けた者は皆、自分がナンバー2であろうとよいしょする。
もちろん今回は断る、1日のうちにそんなに食べられない。
「ニャーヤ、もういいかな?」
「だめにゃ、あと5人ほどボコって欲しいにゃ」
面倒だがこれも国王の仕事。腹パン祭りだ。
まあこれで国が安定するなら安いものだ。
そして説いていく
「南の弱い種族でも国の力になっている、例えば栗鼠族のポーションは明らかに力になっているだろう。
腕力の強さだけが全てではない」
と、ボコっておいて言うことでもないが
「だから弱い種族でも国の力になるなら徴用していくから助けてあげてくれ」と
ほぼその繰り返し
「ニャーヤ、もういい? 精神的に疲れた」
「とりあえず良いにゃ、ありがとにゃ
明日から、北の領地を視察に行くにゃ」
師匠は一部始終を見ていたが「国王も大変だな」と慰めてくれた。
師匠はどんな詩にするんだろ。怖くて聞けない。
師匠がメモを取っている、これは詩ではなく詩を作るときの資料だ
『演目名:獣人国遷国記』
『謀反に揺れる国を取り戻そうと
一人の少女が獣人国に降り立つ
ここは力が支配する国、獣人国
王に挑みこれを下し新たな国王となる
新王はその力を示さんと諸領を巡る
新王は力になる者を探し諸領を巡る
強者は我こそはと戦いを挑む
敗退するも清々しく負けを認め、新王に跪く
我こそが2番手であると、
弱者は困窮し助けを求める
新王に助けられた者は喜び、新王に跪く
我らが新王の力にならんと、
・・・・・』
これは冒頭部、この続きからから個別の話が始まるらしい
こういったメモを元に誇張したり、聞き所を作ったり、メリハリをつけたりして盛っていく。
更に推敲を重ねて完成させるらしい。いきなりできるわけでは無い。
私は吟遊詩人レベル20なのに即興程度しか出来ない。スキルとは違う能力が必要な様だ。
元々才能があって詩が好きなひとが得るスキルだ、その才能を有効に伸ばすためのものだ。
私には無い。
早く破門にしてほしい。




