093.獣人国(23) 獣人国視察(15)
14歳になった、学園生活もあと2年を切った
もうすぐ前期長期休暇だ予定通り獣人国の北部の視察に行く、今回は吟遊詩人の師匠も一緒だ。
戦艦は出来上がったがクルーが不足している。
エルフの里から弓使いを数人借りてきた。それでも砲手が全然足りない。かろうじて航行できるレベルだ。
料理人はジーナンを借りてきた、獣人国での経験は今後の役に立つと私が言い張ってなんとか借りられた。
ついでに厨房設備の使い勝手の確認をしてもらう。
この戦艦航行速度は時速150キロ出せる。なんと80ノット。実は推進機以外の船体にバリアを張りながら運行すると抵抗がほとんどなくなり速度が出せるのだ。ただ波が高いとちょっと怖い。
普通の船は帆船なので一ヶ月ほどかかるのため長期休暇でも往復しか出来ない。
これで一週間ぐらいで獣人国にたどり着ける。今回は転移ではなく航行テストなどを含んでこの戦艦で行くことにする。
もちろん、クラークケンタに私達が通るから襲わないでねと念話を飛ばしておいた。そしたら、他の魔物を近づけないようにしてくれるみたいだ。ありがとう。
遠洋にはビーコンがないので位置がわからない。羅針盤はあるが、陸を離れると何も無い海が広がる。そして六分儀もある。作った。そして北極星もある。北極星の高度を図りそれを頼りに進む。大体の海図は前回空から見たので作ってある。かなり高度から見て作ったので海岸線の形とかは分かる。星は普通に球形である。学園の学習要領はどうなっているのかな?ちゃんとこの星が球形って書いてあるのかな。
今回もたまに上空に飛んで現在位置を確認している。速度と時間から大体の距離を積算しているので、地図上の大まかなスケールが分かる。ただし球を平面地図に描いているので難しい。形・面積は正しくないけどメルカトル図法で書き直すことにする。まあ今はそれほど細かな地図は気にしないので、そのうちやろう。
予定通り一週間後に獣人国の人族居留地の島に着いた。およそ8000キロメートルの距離だ。自動航行システムがあるわけではないので常に高速移動しているわけではない、昼間は高速移動、夜は停止して錨を下ろす。そして位置の確認、睡眠・見張りはローテーションで行う。海流がわからないので移動速度はあまり正しくない。
ただスキルの物体探索を得た事で、遠距離でも距離と方向だけはなんとか分かる様になったので、海図と比較しながら進んだ。進行方向の修正が必要なときは、海流に流されたとして。矢印を描いていく。季節的なものがあるかもしれないので日時も記入しておいた。
居留地に船を停泊し、上陸組は渡し船で岸に渡り、王都へ移動する。残留組は、船の管理をする。
上陸組は、私、エレン、マギドラ、ドーラ、ラン、ジーナン、イーフラシーノ
今回は3バカトリオは連れてこなかった。必要ないし、ドロシア帝国が戦争の準備をしていると情報を流したら、帝国に呼び戻されたみたいだ。
もしユグエンドーラやヴァルハラで何かあっても、通信魔道具で知らせてくるので大丈夫だ。
それと、吟遊詩人のレベル20になったときに開放されたスキルがある、『共通知識管理』というもので、共通知識のローカル掲示板を閲覧できるようになった。つまり、通常ローカル掲示板はその作成者の承認がないと閲覧できないのだが、この共通知識管理というのは、その制限が無いらしい。
その機能を使ってすべてのローカル掲示板をチェックしている。もしドロシア帝国が戦争の通信に吟遊詩人を使うのであれば、ローカル掲示板に出てくるはずだ。もちろんこのスキルの事は師匠にも誰にも話していない。知られてしまうとローカル掲示板を悪用される可能性があるからだ。
今作られているローカル掲示板は3つしかない。このどれかがドロシア帝国のものだ。
『吟遊詩人の嘆き』:管理者シャベラン
『遠方の彼方』:管理者ハナスナ
『賢者の呪い』:管理者ダーミー
どう考えても最後のがあやしい。なぜか吟遊詩人の名前は『話す』事に関する様に聞こえる、もちろん日本語ではないので、意図しているとは思えないが、演題名などの登録者はすべてそんな名前だった。
ダーミーは『話す』ではなく『話す内容』だ。
おそらく、吟遊詩人のレベル7以上のものを捕らえられず、吟遊詩人のスキルをもらえないため。吟遊詩人にローカル掲示板を作らせて吟遊詩人を通信機に使うのだろう、管理者はニックネームを使えるので、ダーミーなどと不自然な管理者名で登録してしまったのだろう。あるいは吟遊詩人が利用されていると感づいてもらいたかったかだ。
それに『賢者の呪い』って私に当てつけた様な名称。
私はこの掲示板に注目して監視したが、まだあまり投稿はされていないみたいだった。登録者は10人、ほぼ行方不明者の数に合う。
これを管理しているのは帝国側の人間である事は間違いない。しかもそいつは吟遊詩人のスキルを持っている。そしてレベル3以上レベル7未満。
もともと吟遊詩人か、またはスキルを与えられたもの、おそらく後者、名前は本名だダーミー。と推測。
そうすると吟遊詩人レベル10の者からスキルを与えられたのだろう。
「師匠、吟遊詩人のレベル10って何人ぐらい居るんですか?」
「私が知っているのは私ぐらいだよ」
「ダーミーという名に心当たりは?」
「おおっ何処かの貴族に頼まれてスキルを与える代わりに金貨100枚くれると言うので、やったことはある、たしかそいつの名前がダーミーとか言ったかな。金を返せとか言われると怖いのでさっさと逃げたが
まあ、金に困っている時でな。
ああ吟遊詩人のレベル8で開放されるスキルに『トンズラ』というのがあってな、これは便利だぞ
やばくなったら逃避行動に補正がかかって滅多なことでは捕まらない。色々危ない事が多いからな。
で、そいつがどうかしたのか?」
「どうやら吟遊詩人行方不明事件の黒幕らしいです
それと私は2番弟子なのでトンズラしてもいいかしら?」
「だめだ、やつは弟子ではない、スキルを売っただけだ」
ちっだめか。




