906.再び異世界(0) 救難船
パラランドの事をいろいろと妄想していたらシリルから緊急連絡が入った。
『マイ様、本艦に向かってくる船があります』
私達、航行許可などは取ってあるから問題ないはずだけど・・・何かな。
シリルのブリッジに転移で移動した。
ここにはエランモンク神聖帝国の端に位置し、帝都がある母星である。 守りは強力なため外部からのものとは考えにくい。
最も近い勢力からするとエスタージアの可能性があるが同盟国である。侵攻では無いだろう。
『連絡が入っています』
『こちらエスタージア船、救助を求む、
繰り返す、こちらエスタージア船、救助を求む、
船体損傷甚大』
救難救助の要請だ、私が対処しなくてもこの星の警備組織が対応してくれるはずだ。
『マイ様、この星の巡視船の配置から考えて私達が対応しないと間に合わない可能性があります』
警備組織が間に合わない様な配置で良いのかという疑問はあるが、それには触れないでおこう。
「そうなの、じゃあ巡視船に連絡して私達が救助に向かうと連絡しておいて」
「警備中の巡視船に告ぐ、こちら寄港中のシリル艦、
本艦が一番近いため救助依頼に応じて救助に向かう」
「遭難船、こちらシリル艦、救助依頼を受けた。
詳しい状況説明を請う」
『ガー、ガー
こちらエスタージアの巡視船クリムゾン、国境付近で未確認の攻撃を受けた。
動力停止、生命維持装置停止、生存者約20名
あと数十分しか保たない、
至急救援を求む』
「シリル、接近、状況確認後、速やかにダミー戦艦エリアに転送」
侵入のための偽装事故も考えられるからね。念の為にダミー戦艦エリアを使用した方が良いよね。
救助は恙無く行われ救出は完了した。
「私は艦長のミリノエ・ダスニ、救助を感謝する」
「私は、ろくぶんぎ座銀河、塔の国所属艦の艦長マイ・ロントロ、
エランモンク神聖帝国に寄港中の船です。
怪我人は居る?」
「打撲程度でたいした怪我はない、我々以外は即死だった」
「それで。攻撃を受けたということですが・・・なにか情報はありませんか?」
「艦にスキャンデータがあるはずだが、解析する余裕はなかった」
「じゃあアクセス権限を」
「それは機密事項もあるので許可できない」
「そうですか、ではこのままエランモンク神聖帝国の警備組織に送り届けます」
なんか怪しい
「シリル、シールドアップ。
クリムゾン艦システムをハッキング、データをダウンロード」
びぃーぷぉん、びぃーぷぉん
『マイ様、クリムゾン艦に異常が発生、もうすぐ爆発しちゃうよぉー』
「データは?」
『半分ほどダウンロードできたよ』
ぶぅおーーん バラバラーー
見事な光のショーだ・・・
「シリル、エランモンク神聖帝国の警備組織にエスタージアのクリムゾン艦のデータ照会を」
・・・
『照会したらクリムゾン艦は存在するけど、15年前に行方不明になってるみたい』
タイムリープ? 15年前と言うと、まだエランモンク神聖帝国は無く、ネクラモンク帝国だったはず・・・
こちらの国名を聞いてもエスタージアではまだどちらも発見していないので別の国と思っただけでスルーした?
「シリル、スキャンデータは得られた?」
『はい、でも一部データが破損していたから、修復にちょっと時間かかる』
「結果が出たら教えて」
救助したクルーにはそのままダミー戦艦エリアで待機してもらった。




