090.学園(47) 吟遊詩人(3) アルドノルドの街
隣町、アルドノルドの街だ、
ここまで密偵の類は、私の密偵シャドゥたちしか居ない。
街へは、身分証で難なく入れた。
一番近くの吟遊詩人はこの街に居ると思われる。
師匠と街中を歩き、探索で『吟遊詩人』を探してみた。
少し離れた所に反応があった、職業名で探索できたんだ、名前が、探している吟遊詩人リスト名と合致している。『名前、カタルーナ、吟遊詩人レベル5』、間違いない。
ん? ここは領主邸か?
お世話になっているのか、それとも拉致されているのか、わからないね。
下手に訪問して警戒心を高められても困るから、ここはプロに任せよう、
「レッドシャドゥ、調べてきて」
「ラジャー」
さて、我々は宿を探そう。
部屋は別々に取った、当然だ。私にはミッションがある、
「シャドゥ、どうだった?」
物質的な探索は出来ても様子はわからない
「盗聴器仕掛けてきた?」
「はい」
「吟遊詩人の様子は?」
「どうやら軟禁状態の様です」
「食事とかは?」
「普通だと思います、今のところ危険は無さそうです」
「領主邸の人からは何か聞き取れた?」
「一応客人扱いらしいです、ただ外出は禁止されているようです」
ーーーーー盗聴器の音声抜粋ーーーーー
「おい、ユグエンドーラ領からの書状は見たか、海賊扱いだと、ふざけやがって」
「ですが、領海侵犯しているのは事実です、というか領主命令ですよね」
「前の領主は弱気だったから、領海侵犯し放題だったのに、海流の関係であちらの方が漁獲量が見込めるんだ、国に収める税金の負担が上がって大変なんだ」
やっぱり領主が犯人か、いっそのことユグエンドーラ領に吸収される?
「ですが、船を壊されては漁獲量がかえって減ってしまいます」
「聞けば小娘が領主と聞いた、そんな度胸があるものか、小賢しい脅しだよ、これは」
「そうでしょうか、戦争で攻め込んできたのもその領主と聞きましたが」
「そんなの飾りに決まっているだろ、そういうのを祭り上げると扇動しやすいもんだ」
「そうであればよいのですが」
「心配性だな、心配なら攻撃艇を出せ、返り討ちにしてやれ」
「分かりました、攻撃艇3隻を配備します」
「過剰戦力だろうが、まあ良い、気の済むようにしろ」
「はっ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
あっ大変、とりあえずマギドラに念話入れとこ。
〈マギドラ、領海侵犯漁船に攻撃艇の支援が3隻出動しそうだ、警備艇の準備して〉
〈了解、じゃなかった、ラジャー〉
そう、戦闘の時はラジャーなのだ
〈戦艦出動になったら転移で行くわ、連絡して〉
〈ラジャー〉
よし、あちらはしばらく任せておこう。
明日は、師匠の演目を鑑賞したら、カタルーナに接触して話を聞こう。
次の日広場で師匠がギターをぽろりん、ぽろりんと
『
そこは、かつて多くの戦死者をだした戦死者の地ヴァルハラ
王国はその地を失った
今そこには、王国に攻め入ろうと帝国の軍隊、
その数なんと10万・・・・』
ヴァルハラ戦譚かーい、辞めて欲しい。恥ずかしい。
ヴァルハラ拷問の後、隠密を発動し、領主邸に侵入する。中の警備は緩い。
コンコン、一応ノックする、部屋の前に警備は居ないし隠密も居ない。
「はい、どうぞ」
「えっと見かけない顔ですね」
「カタルーナさんですね、イーフラシーノの弟子でエラといいます」
「ドジデス王国に居た、吟遊詩人のイーフラシーノか、弟子など居たのか」
「最近弟子にしていただきました」
「まあやつは儂より優秀だからの、それで何か用か?」
「最近吟遊詩人の行方不明が増えているらしくて、心配して様子を見に来ました」
「おお、あいつは無事だったか、わしも気がついての、こうして匿ってもらっておるのじゃ」
そうか、拉致されていたわけじゃないんだね。
「そうですか、何故か理由はご存知でしょうか?」
「なぜかはわからん、吟遊詩人の存在が問題なのか、吟遊詩人の能力が問題なのか、とにかく個人に対してでは無いだろうな」
「そうすると、共有知識の問題か、話しを広げるのが問題かなぁ
私も吟遊詩人になりたてで吟遊詩人特異性がよく分かっていないの、何か心当たりは無い?
特にドロシア帝国での行方不明が多いと思うのだけれど」
「共通知識のスキルって単一の共有知識しか無いの、それとも複数持てるの?」
「レベル3以上なら単一共通のものとは別にローカルな物も作れるぞ、作った者の承認が必要だがな」
「なにそれ、便利」
「なぜじゃ?」
「それを使って楽に通信出来るって事でしょ、どんなに遠くに居ても」
そうか、吟遊詩人を通信装置に使うつもりだ。戦争には便利だね。
ドロシア帝国の悪口を言いふらされたくなかったからだと思っていた。
でも、帝国の仕業ってことだよね
「多分戦争の道具にするつもりよ、ここもいつまでも安全とは限らないわ」
「そうなのか? どうしたら」
「ユグエンドーラ領なら受け入れてもらえるわ」
「新しく出来た領だろ、伝は無い」
「私に伝があるから大丈夫」
「そうか、じゃあすぐにでも此処を出た方がよいかのぅ」
「でも急に居なくなると騒ぎになるかも、それに川も渡れなくなるかもしれないわ(いざとなれば転移)
知り合いに言って監視をつけてもらうから安心して、隣の領の吟遊詩人から安全らしいと聞いたとか言って出発して」
「そうじゃな、明日街で合流しよう、ところでどうやって此処に来た?」
「吟遊詩人は神出鬼没よ」
「そんなの聞いたこと無いぞ」
「私も、じゃあ明日」
バタン
扉を抜けると再び隠密を発動し、外へ出る。
ーーーーー盗聴器の音声抜粋ーーーーー
「例の吟遊詩人、そろそろ帝国に引き渡すか、それで国に収める税が軽減される」
「良かったですね、向こうからやってくるなんて」
やばい
緊急救出だ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「コンコン」
外には見張りが付いたので、小声で囁いた
「どうしたのじゃ」
「緊急脱出です。領主の話しを盗み聞きしていたら、貴方を帝国に引き渡すそうです」
「大変じゃ、今日から警備を厳重にすると言っておった」
「ん?それでお前はどうやって此処に?」
「吟遊詩人は神出鬼没ですから
一応書き置きお願いします
『お世話になりました、急な用事が出来たため出立いたします カタルーナ』
とでも」
「わかった
じゃが、吟遊詩人は神出鬼没なんて聞いたこと無いって」
「ではこちらに」
今回は緊急なので転移で移動する、もちろん師匠も一緒だ、師匠も危ない。
あっ私も危ない。
わざと捕らえられて潜入しても良いが、今回は領海侵犯の対応もあって忙しい、明日は学園に出席しないといけないし。
とりあえず、ドジデス王国とステライズ帝国にはドロシア帝国が戦争の準備をしていそうだと報告をいれとくか。




