008.冒険者
この世界の冒険者登録には年齢制限は無い、登録することで小さな子供がより安全に仕事が出来る様になっている。貧しい者は幼くても働かなくてはならないのは仕方がない、年齢制限を設けたら分不相応な仕事受けてしまい危険を伴う事が多い。
レベルを管理してレベルに合った仕事を斡旋した方が良いという判断だ。
とは言っても基本5歳以上だけど、今8歳だから私は登録できる。でも外出許可が無いから今まで出来なかった。今日は剣聖様とデートなのだ。彼はかっこいいけど恋はしないよ。
「エラン様、外出して何をなさりたいのですか?」
「冒険者登録をするためよ」
「そのために騎士団最強になられたと?」
「そうでもしないと外出許可出ないから」
「なぜ冒険者になりたいと? エラン様には必要ないと思うのですが」
「魔道具師を目指しているのよ、図書室にあった本に書いてあったの、
魔道具に素材は重要なの、だから自分で採取できないといけないの」
「そうなのですか」
「そう『賢者の書』とかいう冒険譚に書いてあったの」
「そういえば宮廷魔術師団長から聞いたのですがあちらでもやらかしているとか」
「人聞きが悪いわね、快く色々許可してもらっただけだよ
魔道具の開発には魔法は不可欠でしょ」
「なるほどそうですね、でもなんかすごく遠回りしている様な気がしますが」
「気のせいよ」
たぶん
そんな会話をしているうちに冒険者ギルドに着いた。
ここに入るとテンプレが起きそうな気がする。ラノベの常識だ。
だから剣聖様と来ている。どこが遠回りって言うんだ
ぎぃ〜〜
扉を開ける、ほら、いかついおっちゃんとかが武器を満載してこちらを睨んだじゃないか。
怖いな。でも大丈夫剣聖様が居る。
「おい、ソラードじゃないか、貸してた金持って来たかぁ?」
「すまん、今日は持っていない」
なんかすごい下手じゃないか、金のほうが剣聖より強いのか?
「そこの娘でも良いんだぞ」
剣聖様、私を売らないで
「この方は駄目だ」
「なんだとぉ」
これは一人で来たほうが良かったかも。
仕方がない助けてやるか
「金は私が払う」
「ほう、お前が返してくれるならそれでも良い、金貨十枚だ」
もう、なんで私が払わないといけないかわからないが、トラブル回避のためには仕方ないか。
ポケットマネーから払うと、手を掴まれた
「お前も売ってやろう」
「なにすんじゃぁーボケー」
ずどん、腹パンだ
「ぶげらぼげぇぃ」
変な声を発して沈んだ。私は出来る娘、ちゃんと手加減をしたので壁を突き破って飛んでいくことは無い。
しらない。
視線をくぐり受付にたどり着き受付嬢と対峙する、綺麗な人だ、受付嬢のテンプレだね。
「冒険者登録をしたいんですけど」
その場の全員が引いた
「では必要事項をこの登録用紙に書いてください」
「名前はエラン・ドジデスっと、特技は剣術と魔法っと・・・」
「それと冒険者同士の闘いは一応厳禁ね、さっきのは登録前だし、明らかに相手の方が悪いので不問だわ」
「ありがとうお姉さん、ああいうときどうしたらよいの?」
「ずどんっ、で良いわ」
「わかりました、ずどんっ、ですね。今度は手加減せずに飛ばしちゃいます」
「殺さないでね、骨折とかは大丈夫だけど死んじゃうと事情聴取出来ないから、
ばらばらになると後処理が面倒ですし」
「はーいわかりました注意します、でも手加減はあまり得意じゃないから再起不能になっちゃうかも」
全員が視線をそらした
それにしても力より金か、よし、金を儲けることにしよう。
あと魔道具屋に行きたいな、
「役立たずのソラード行くよっ、あと金返せよ」
ーーーーー
「ダン、起きたか?」
「あれっ俺どうしたんだぁ? 痛ってえなあ、腹に青痣ができてるし」
「小娘に絡んで返り討ちにあった」
「俺Aランク冒険者だぞ、情けないな」
「まあ小娘と言っても、今、騎士団で有名なあの『武神エラン』だけどな」
「あの小娘が? なら仕方ないか、武神に負けても恥ではないしな、逆に羨ましがられるかも」
「次は無さそうだ、冒険者の中でも噂が飛び交ってもう誰も手出ししないだろう、手加減されてたらしい」
「そうなのか、下手したら冒険者生命終わりだからな、そりゃそうか」
「それとお前は『命知らずのダン』で有名になったからな」




