007.魔術の訓練
失敗したなぁ調子に乗って騎士団から出禁を喰らってしまった。
せっかく口調を「オレっ娘」から「私っ娘」に変えておしとやかにいこうと思ったのに台無しであった。
でも剣聖様と外へ出られそうなので良かったのかな、
そう、目的は「外出許可のために充分な力を得る事」なので大成功。のはずだがちょっと間違えた感がある
レベルも少し上がったし許可は出るだろう
魔術に関してはまだ図書室での机上の知識しかない。
宮廷魔法師と練習したいとおねだりしてみよう。
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「国王にも困ったものだ、身贔屓で第七王女には才能がある教えてほしいなどと、
団長の俺に子守をさせるつもりか? 国王の頼みだから断れはしないが、面倒だなほんと
まあすぐに飽きて来なくなるだろう」
こんっこんっ
「マジルカ様いらっしゃいますか? エランです」
「(あっ来た様だ) 入れ」
バタン
「第七王女のエランです。この度は魔法を御教授いただく事、許可していただきありがとうございます」
「(歳の割にしっかりしている様だな)王女様はどの様な教えが欲しいのかな」
「エランとお呼びください。今は生活魔法しか使えませんが、10歳になり学園に入る前に第七王女として恥ずかしくない魔法を使える様になりたいと思っております。
図書室での机上理論は全て終わったと自負しておりますが、実技は一人では許可されていないので何も出来ていません。ですから実技を中心にと考えております」
「ほう(机上理論を終了だと、あの図書室には高度な魔術本もあったんだがな)
本当か?(嘘つくんじゃない)」
「はい、Aー23の召喚術式は特に興味があります。術式は記憶しています」
「術式は全文で1000文字ほどあったと思うが」
「はい、1024文字です。『遍く天の神々の名の下に・・・・・・召喚せよ』です」
「では、Bー15には?」
「はい、メテオラの魔術本です術式は『天を翔ける・・・・・今ここにメテオラ』です」
「(全部記憶しているだとーー)合格だ(俺だって本を片手に詠唱しなきゃ出来ないのに)」
そう、前世は記憶力なかったから反転して記憶力抜群になったみたいなのだ
「では、実技訓練場に行こう(まあ実技は初心者なのだな)」
「はいっ、よろしくお願いします」
「まず魔法の発動に必要な事は何か分かるな」
「はい、正確な詠唱と魔力を込める事です。と、言われていますが詠唱は必ずしも必要ではありません。
恥ずかしいので無詠唱を覚えたいです」
「ほう、無詠唱が可能だと?」
「はい、生活魔法には詠唱要りませんよね、あれは規模が小さくて生活に密着していて正しくイメージ出来るからだと思うんです、だから結果を正しくイメージ出来れば魔力を込めることで魔法名だけで発動できると思うんです。(確かラノベにはそう書いてあったと思う)
あとは、適量適速で魔力を込める魔力制御が必要」
「適量適速はどうやって知る?」
「はい、まず一度詠唱して発動し、その魔力の動きの感覚を覚えれば良いと思います」
「ほう、やってみるか?」
「お手本をお願いします」
『射抜く魔力の矢、稲妻の如き速さ、灼熱の炎、ファイヤーアロー』
すごーん
的に火矢の穴が開く、さすが宮廷魔法師
「わかりました『ファイヤーアロー』」
すごーん
「(なにぃいきなり無詠唱だと)すごいな」
「はい、魔力の込め方は見えましたから、見本が良かったんですよ
ですが、もっと強く出来ると思います」
『ファイヤーミサイル』
ずごごごーん
ミサイルをイメージしてみた。
「魔法名が違うが結果が全てだな、素晴らしい(俺にも教えて)」
「魔力はどれぐらい持っている?」
「これは秘密にしてほしいのですが、50です」
「もっと必要な気もするが、秘密は守ろう、教えてくれ」
「はい、秘密でお願いします。今は80です」
「どういう事だ?」
「実質無限です」
「理解できん」
「詳しい説明は私には出来ませんが、加護が関係していると思います」
「加護持ちか、それならばあり得るか、隠れて練習していたのか」
「バレましたか、でも公には出来なくて」
「わかった、訓練場は自由に使用できる様に手配しよう、訓練場を壊さない限り使用を許可する
野外で使用する魔法に関しては一人では行くな必ず都度許可を取って護衛を伴ってくれ」
「ありがとうございます、マジルカ様」
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「おいっ、エラン様には必ず監視を付けて報告を入れろ」
「ええー子守は嫌ですよー」
「降格して代わりにエラン様を入れるか・・」
「やめてくださいよぅ冗談は」
「(冗談では無いがな)命令だ」
たしか図書室には禁忌の魔術書『賢者の書』や『錬金王の書』もあったな、現代誰も実現できる魔力を持っていないから隠してもなかったが彼女は実現できてしまいそうだしかも全て記憶されている、やばいな。
国王にはどの様に報告しておこう。あの様子だと知らないな、エラン様も秘密にしてって言っていたから、黙っておこう。
そう、『優秀なお子さんですね将来が楽しみですね』と言っておけば良いだろう。
嘘では無いよ、ただより正確に言うと『優秀過ぎるお子さんですね将来が怖いです』だけど。
早めに引退してエラン様に宮廷魔法師団長の座を譲ろう。
それから宮廷魔法師の間では『魔神エラン』と呼ばれる様になっていった