065.獣人国(15) 獣人国視察(7) 狐人族
満足した我々は遺跡を出て鳥人族の街に戻った。
ちょうど軍の人が罪人を引き取りに来たところだった。事情聴取が終わった後、我々は視察業務に戻り南下を続けた。
ちなみに鳥人族の長は国家反逆罪で処刑が決まったが残されたものをどうするかは決まっていない。
次は狐人族の街だ。狐人族は獣人国の中では珍しく多彩な魔法を使う種族だ。
街の入口には九尾の狐の彫り物が飾られていた。今度は何事もなく視察を終えたいものである。
彫り物だと思っていたのは実は彫り物ではなく出迎えだった。
先触れが届いていたのか街の入口に迎えが来ていたのだ。
「いらっしゃいませコン」
「我々は視察団の者だ、案内を頼む」
クマさん護衛が対応した。
「領主邸にご案内しますコン」
ひょこひょこと歩いて行く案内の後をついていく、しばらくすると領主邸と思われる屋敷に着いた。
「こちらですコン」
応接室に案内され、茶を出された。今度は普通のお茶の様である。
「よくいらっしゃいました、長のゴンです」
語尾にコンが付いていない。
それにしても先程から気になる、この香水の匂い。かなりきつい。
香水が毒かどうか微妙な問題だ、過ぎたるは及ばざるが如し、である。嗅覚細胞にかなりのダメージが入った、HPに関係なく効いてくる。
私は絶えられないので周囲の匂い成分を分解する。錬金術って便利、前世でも欲しかった。
特にデオドラントの類は強烈である、明らかな攻撃だ。
強烈な匂いを別の強烈な匂いで覆いかぶせる、狂気の技だ。
失礼とは思いながらも長を鑑定すると
異常状態(臭覚異常)
ですよね。
「長、申し訳ないけど鑑定させていただいた。
体調不良のようですが治してもよろしいでしょうか?」
「そうなんですか、よろしお願いします」
「リペア」
真龍の加護で新しく覚えた魔法だ。
「ぐぇおぇ~、何をしたぁ〜」
嗅覚細胞が復活して匂いがわかるようになった様だ。
「嗅覚細胞を正常にしました」
「こっこれは、わっ、私の匂いなのか」
「そうです、きつい香水に徐々に慣れていくのは自覚しにくいものです」
服を脱いでしまった。
「調香師を呼べっぇー、死刑じゃ」
穏やかではないな
「お待ち下さい、私が最適な物を準備しますので落ち着いて下さい」
素材類はアイテムボックスにたくさんあるのでなんとかなるだろう
匂い自体を消すか、隠したい匂いと何かと合わせて良い匂いにするかだな。決して力技では解決しない問題だ。最初解析をした時に気づいたが、どうやら腸内環境が良くなかったらしいが今は正常になっている。
とりあえず整腸剤を錬金する。それから花の香りから体臭成分を差し引いた成分で香水を錬成する。
錬成もレベルが上がるとクロマトグラフィーのグラフから逆生成出来るのだ。便利。
出来た。
「これを使ってみて下さい」
くんくん
「なんか変な匂いじゃな」
ぺたぺた
「ん?ほんのりと花の香りになった」
「これは個人で異なるかもしれませんが狐族には合うかもしれません」
「すっ素晴らしぃ、専属調香師に任命するー」
「私は、魔道具師でついでに王です。調香師にはなれません」
「サンプルを沢山作っていきますので専門家に頼んで下さい」
「レシピはもらえんのか?」
「鑑定レベル5以上かつ錬金術レベル8以上の錬金術師には教えられますが、調香師の事はわかりません」
「たしか狐族にはそんなハイレベルな者はおらんぞ」
「同じものなら私が作れます、ロレイン商会を通じれば手配いたしましょう」
「価格は?」
「現在の香水と比較して値を付けていただければよろしいかと」
「わかった、香水が一瓶で金貨3枚だから、これは一瓶で金貨6枚払う、どうだ?」
「個人で使うなら妥当かと、量産するのであれば安くはなるかと」
「いやそれは必要ない、そんな事をしたら私の優位性が無くなるではないか」
香水も武器なんだね。
こういう商売も良いのだろうが、毎回匂いをかがなくてはカスタマイズ出来ないのは嫌だ。止めておこう。
「私を弟子にして下さい!」
死刑にされそうになった調香師が泣きついてきた。
「弟子になって作れるようにならないと死刑になるのですぅ」
ひどい脅迫だなぁ、断りにくいじゃないの
そのまま引き受けるのは悔しい
「交換条件がある、幻術を教えてくれ、そしたら弟子にしてやる」
「でもそれは門外不出の・・」
「錬金調香も門外不出だ」
「そしたら禁忌を犯したとして死刑になっちゃう」
「長に相談してみろ」
・・・帰ってきた
「即答でオッケイが出たよ、王様だから特別許可するって」
香水に関してはすごい執念だな、しかたない
「よし、同行しろ、名前は?」
「ヨウコです」
妖狐?




