063.獣人国(13) 獣人国視察(5) 鳥人族
龍人族の街を出て南に向かう。
王都から離れるほど、より弱い種族になっていく。
次は鳥人族の街である、一応空を飛べるがそれほど速く飛べるわけではないし高くも飛べない。
多分私やドーラのほうが遥かに速い。ただ飛べるのと飛べないのでは大きく異なる、彼等はプライドが高い。飛べないものを見下す傾向がある。
崖から落ちて、死ぬか死なないかの差であるが、ここに崖は無い。
狩りの時は獲物に感づかれやすい。急降下で地上に降りようとすれば、地面に突き刺さる。
そういった微妙な能力だ。
よって、我々の扱いも悪い、
街に入ろうとすると衛兵が
「ふん、お前が新王か、ちっさいな
しかも人間だと、お前が王なら、儂は超大王じゃな」
まあ子供だからね。
新王だからといって見下したくなるよね。
小者程その傾向がある。自分より下だと思ったら優越感を感じたがるってやつだ。
「お前ら敬意を払え、不敬だぞ」
護衛のクマさんが怒鳴りつける。 よっし言ってやれ
「熊戦士も落ちたものだな、こんなガキを祭り上げて」
ちょっと言い過ぎではないだろうか。クマさんも目尻をぴくぴくさせている。
ちょっとここままではまずいな、ヘイトはこの私が受けてやろう。クマさん達にはちょっと引け目があるからね。
「焼き鳥食いたい」
必殺のツッコミを入れる
「なんだと、貴様ーー」
来るか、来るなら来い
ぼごっ
「きゅぅ〜」
失礼な鳥さんは、この街の長と思われるグリフォン族にげんこつを喰らっていた。
一言で鳥族と言っても、色々な種族が居る、鷹族、梟族、鷺族など、この失礼な鳥は鷹族だった。
「これは失礼をした、こやつには罰を与えておくので、ご容赦願いたい」
強者なのに優しい鳥さんだ。強いからこそ余裕があるのだろう。
「問題ない、こちらこそ大人げない事をした」
「王都から新王が視察に向かうとのこと通達は来ております、まずは領主邸にてお休み下さい」
「歓迎に痛み入ります」
我々は領主邸に案内された。そこで改めて挨拶をする
「本日は遠い所はるばる来訪いただき感謝します、新王様」
「こちらこそ急な訪問に応対いただき感謝します」
「今回は視察ということですが、どの様な内容をお望みですか?」
「あまり気を使わなくても、私は人族なので、獣人国がどの様な場所でどの様な種族の方がおられるのか、
それを知るのが目的です。また私の同伴者も同じです」
「なるほど、ではここではあまり見る所は無いですな」
「そうでしょうか?私を見くびってもらっては困ります、これでも王です
見えるものは見えます」
危険がないか探索した時に見つけたんだよね。
「それはどういうことでしょうか?」
「例えば、ここの地下室には人族の方が多く捕らえられている様ですが、なぜでしょうか?
そしてこの茶に毒が仕込まれているのはなぜでしょうか」
「うわっ、早く言えよ」
アルスが手に取ったコップを落とした。危機感のない皇子だな。
「エラン様、私は匂いで分かりましたから大丈夫ですよ、家でもよく盛られそうになりましたから」
エレン、それ怖い
「者共、捕らえろ」
衛兵が我々を囲んだ、我々が逃げられないように建物の中に連れ込んだわけだね。
でも残念、それは悪手だ、だって彼等も飛んで逃げられないのだから。
どうしようかな、色々手がありすぎて選択に困る。
とりあえず動けない様にしよう。
「重力増大」
彼等を床に貼り付ける
それに武器は危ないエレンが怪我をしたらどうするんだ。武器はアイテムボックスに入れていく。もちろんこれらは返さない私の魔道具づくりの素材になるのだから。
容赦なく縛り上げていく。
地下にいる人族は拉致されてきて、地下で奴隷として働かされていたらしい。
人族とは友好的な関係を作りたいのでこれは看過できない。
ここは私が捕らえたというより、獣人国の者が救出したという方が良さそうだ。
「護衛のクマさん彼等を助けてくれてありがとう、この事は王宮に報告するわ」
唖然とするクマさんをよそに勝手に報告書をまとめて転移で王宮に持っていき、鳥人族街への取り調べを指示した。
2〜3日すれば軍が来てくれるだろう。クマさん護衛は英雄扱いだね。捕らえられていた人たちは事情聴取後に居留地に送ってもらう事にした。どこから拉致してきたのかな
しかしここで宿泊するのは嫌だな。街の外で野営する事にした。
街で見かけた子どもたちにこのあたりに何か変わったものがないか聞いた。流石に子どもたちは毒されていなくて素直に教えてくれた。
山の奥に遺蹟があるらしい。
面白そうだ行ってみたい。軍が罪人を引き取りに来るまで暇だし行ってみるか。
「君たちお菓子あげるから案内してくれる?」
「子供からお菓子をもらうわけにはいかないよ、案内してあげる」
と子供扱いされた。彼等のほうが年上らしい。
クマ護衛達を長達の見張りに残して、街を出て半日ほど歩くと山の麓にきた、此処から先は一本道を3時間ほど歩いたところらしい。彼等は野営の準備をしていないのでもう帰ることにした様だ。ありがとう。
遺蹟へは明日早朝に出かける事にした。今日はここで野営だ。
焚き火をしていると梟族の老人が山の方からやってきた
「ほー、遺蹟見学かほー」
「そうだよ、おじいちゃんは魚捕り?」
「夜は魚捕りやすいからほー」
「沢山捕れたあ?」
「大量じゃほー」
「わたしたちに売ってくれる?」
「わかったほー、でも金はいらん、その焚き火で焼いて一緒に食べるほー」
「やったぁ、焼こうぜ焼こうぜ」
鳥人族でもいい人は居るみたいだ、名前は『ほー』らしい
魚を木の枝で作った串に刺して焚き火にかざす。
「おじいちゃん、遺蹟の事教えて?」
ぱちっ ぱちぃ 焚き火の火の粉が舞う
「そうじゃな、遺蹟と言っても洞穴みたいなものじゃよ。
中には祭壇みたいなものがあっての、壁には絵が描かれておるだけじゃほー」
「どんな絵?」
「そりゃ明日行ってみれば分かるじゃろほー」
そうだね
それから焼き上がった魚を皆で食べた。ほーおじいさんは、「ではな」と行って去っていった。




