523.御神幸(223) ミルナリア帝国(43) エルナミア探検隊(18) コキュトス(1)
さて、もしゲート船が原形のまま残っているとしたらどの星に調査に行くのが良いか?
氷の惑星コキュトス、か、砂漠の惑星デュトネ かな。
アンドロメダイトで出来ている所はどんな環境でも大丈夫であるが、全てアンドロメダイトで出来ているわけではない。 それ以外の部分が朽ちれば原形を留めないかもしれない。
私の船は錬金術で造っているので継ぎ目もつなぎ目も無いから大丈夫であるが、
アンドロメダイトは加工性が悪く技術が未熟だと継ぎ目や接続部に通常素材を使っている。
多くは外壁がアンドロメダイトで内部はステンレス製でそこにとめられている構造だ。 したがって内部がくずれれば、外壁はバラバラになる。
組み木みたいにして接続していればまだ大丈夫であろうけど、組み木構造に加工するのは難しい。
砂漠の惑星コキュトスは、地下には少なからず水分があり流動しているはずだ、酸化が徐々に侵攻する可能性がある。
氷の惑星に行ってみよう。 氷の惑星にも水分があるが、常に凍っていれば大丈夫かもしれない。
そんなわけで、私達は氷の惑星キュトスの軌道上に移動した。
氷の惑星というだけあって星全体が凍結している。
氷の下は氷・・・の下は海だと思っていたが違うようだった。
氷の下は大気がありその下に陸地・海などがあった・・・不思議。
『氷のバリアに覆われた惑星』というのが正しい言い方だろう。
巨大な氷の球体が惑星を包み、人工衛星の様に軌道上を回っている・・・不思議。
氷の厚みは薄く、1キロぐらい、透明度が高く地上に光が届いている。
『スノードーム』じゃなくて『アイスドーム』だ。
何故こんな事になっているかはわからない。
物理的におかしい気もするが・・・物理苦手なので説明できない。
魔法があるお話なのだ、不思議なことがあっても不思議じゃない。
氷のバリアに囲まれているとは言っても、北極と南極には穴が空いていた。
北極から中に入ってみよう。
ガツン!
入れなかった。
バリアか
転移で抜けてみる
そこには地表らしきものはない、巨大な穴が・・・
惑星のコアが見える。 太陽みたいだ。
その先はおそらく南極?・・・
りんごの芯抜き状態?・・・ いや、コアは抜けてないか。
氷のバリアーー大気ーー地殻ーー大気ーー惑星コアーー大気ーー地殻ーー大気ーー氷のバリア
こんな感じだ、マントル層が無い状態?
バリアがあるということは、高度な生命体が居る可能性がある。 もしくは居た可能性だ。
北極と南極のバリアは惑星の熱が外に出にくいようにしてあるのかな。
この状態では長期間持たないだろう。 応急処置的なものか。
まだ人が生存しているのだろうか?
スペースワスプの幼虫が食い荒らした跡??・・・魔素のない世界でも居るのか?
いや幼虫の段階では魔素が必要ないのかも。
誰かが、スペースワスプの卵を持ってきた・・・とか。
『スペースワスプ魔素拡散論』 という論文があった。 スペースワスプによって宇宙に魔素が拡散されているという説だ。 そんなに多く居ないだろう・・嘘だろう。
こんな実験をする可能性があるのは2柱、キョキュア師匠と駄神だ。 怪しい。
スペースワスプは魔素不足で死に絶えているだろう。
いや、耐性卵が残っていたかもしれない。
それがこの世界に適合してしまったらとんでもないことになる。
とりあえずそれはいいか、とにかく救助を要する人たちが居れば手を差し伸べよう。
いや良くは無いか、別途スペースワスプ駆除隊を結成する必要があるかもしれないな。