004.ぽしょなれ異世界へ拉致される
そうだよ、物語は嘘なのは前提であるはずなんだよ。
それを本気にしてしまった人が居るんだよ。
報告書ではなく物語なんだよ。
実は趣味で小説なんかを書いてるんだけど、なぜか異世界の神様に読まれてしまったんだ、
それで『駄神とは俺のことかぁー』て怒られて。それって自分で駄神って認めたってことだよね。
そして、今此処にいる。そう白い空間だ。
『お前なんか、ステータスをマイナスにして俺の世界に送ってやる、異世界流しの刑だ』
社長に奢られるしか脳のない善良な平社員に対してなんともひどい乱暴な扱いである。俺は弁明する機会も与えられず、なすすべもなく異世界へと流されていった。
そんな流れの隙間に、この世界の女神様が介入して下さった。
『ほんとにもうあの駄神ったらひどいことをして、ステータスをマイナスにしたら即死しちゃうじゃない、実質的に殺人よ。仕方がない私が助けてあげるわ、でも元の世界にはもう戻せないわ、ごめんね』
「俺、小説書いただけで何もしてないのに」
『わかってるから、「女神の加護」でマイナス補正をあげるわ、それでもこのステータスでは大変な思いをするでしょうから生まれる場所を考えてあげる、あとなんとか生きていけるようにスキルや魔法に適正を与えておくからね、頑張って生きるのよ』
「ありがとうございます」
『それからあの駄神にはお仕置きをしておくので許してね』
駄神はどんな目に遭わされるのか知らないけど自業自得だよね。
それにしても異世界転移ではなくて異世界転生らしい。魔法がある世界みたいだ。小説なら自分で好きな世界を作れるけど、これは現実みたいだ。どんな世界だろう?
自分に起きた事を考えるともっと悲観的になってもおかしくないんだけど、何故かわくわくしている自分がいる。マイナス補正って感情にも適用されるんだろうか?
そして白い空間を抜けたと同時に意識を失った。
「あなた、エランよ」
「鑑定結果は?」
「それが、どうやら神の呪を受けているらしくて、それを女神様に助けていただいたみたいなの、ステータスが低いわ」
「生きていけそうか?」
「大丈夫よ、私たちが守ってあげれば、女神様の加護があるのよ、きっと大丈夫だわ」
名前
エラン・ドジデス
称号
駄神の被害者、女神に救われし者
Level 1(−1)
HP 10(−10)
MP 10(−10)
ステータス
STR 1(−1)
AGI 1(−1)
INT 1(−1)
LUK 100(−100)
加護
女神の加護
異常状態
駄神の呪
スキル
生活魔法
生まれた様だが、脳が未発達のため以前の記憶や意識は覚醒していない。
そして5年が経過して覚醒した。
ある日、成長と共にINTが上がり一定レベルを超えた事で前世の記憶・意識を取戻す事が出来た。
一瞬で覚醒したため少し混乱している。
だが、まずはやるべきだろう、
「ステータス」
名前
エラン・ドジデス
称号
駄神の被害者、女神に救われし者
Level 1(−1)
HP 10(−10)
MP 10(−10)
ステータス
STR 1(−1)
AGI 1(−1)
INT 10(−10)
LUK 100(−100)
加護
女神の加護
駄神の呪
スキル
生活魔法
これが俺に与えられた能力である事を自覚した。
女神様の加護のマイナス補正で助けられている。LUKが高くなったのは正に幸運。それにしても駄神はひどい事するなあ。それに多分バカだ、これじゃあ懲らしめる前に死んじゃうよね。ほんとにもう女神様々だよね。