034.学園(18) 隣領のダンジョン(1)
遠征授業だ、学園を出発するところから既に始業が始まっている。移動も授業だ。
といっても、基本馬車に乗っているだけだ。遠くから学園に来ている者にとっては日常的なことだ。半分ぐらいは王都在住だから、彼らにとっては新鮮な体験だ。
私も以前ならワクワクしていただろうが、最近色々体験しているのでそれほどでもない。ロンとランは意外にも王都から出るのは初めてらしい。商会の家族なら体験していると思ったのに。ローランさん過保護なのかな。
この遠征授業はSクラスだけのカリキュラムだ、ぞろぞろと行くわけにも行かないし、戦闘力の低い他のクラスではダンジョンに入れない。したがって生徒12名と教師と護衛だけだ。馬車は3台だ、パーティ毎に1台、と教師と護衛で1台。2日程度の距離なので途中野営で1日入る。宿も無いことはないが、野営を含めての授業だ。
ただ、帝都に行った時はアルスのおかげで高級馬車だったが、今回は授業なので普通の馬車だ、
揺れるし、おしりが痛い。
野営では自分たちでテントを張る、大テントではなく各自1人用のテントを張る。ロンとラン以外は問題ないので2人にテントの張り方などを教えてあげる。もう一つのパーティーの野営経験者はアルスの従者その2だけだ、なので珍しく人気があるみたいだ。
護衛は雇った冒険者パーティらしい面識は無かったと思ったが話を聞くと、王都ダンジョンでゴブリントレインに巻き込まれたパーティの中の1つだったらしい、改めてお礼を言われた。私に文句を言ったやつのパーティーでなくて良かった。
夕食も自分たちで準備する。火を起こすのも出来ない人がいる、貴族子女だからね。私は近寄って火種の魔道具は要りませんかと商売を始める。教師に叱られた。ちっ魔道具師が魔道具を売って何が悪い。
どうやら従者その2が手伝って火起こしをしたようだ。
また彼の株が上がってしまった。納得がいかない。
夕食はベーコン野菜スープとパン。1日ぐらいならこの程度であるが、長期の旅となると事情は変る。干し肉と乾パンになる。正直美味しくない。私達はマジックバッグとかアイテムボックスを持っているので長旅でも問題ない。「ケーキ1つ銀貨1枚でいかがですかぁ」商売を初めたらまた教師に叱られた。授業にならんと。
「お前がめついな」
アルス、なんてこと言うの
「そんなこと無いですよ商売人はそのぐらい常識ですよ」
ロンがフォローしてくれた。
「アルス、気づいていないかもしれないから言うけど、
あなたが居なくても今回の飛竜便の事業は成り立つのよ、私とロレイン商会だけでも」
「ぐぐっ」
教師には文句を言いたい、これはサバイバル授業ではない、便利な道具は積極的に使うべきなのだ
「それと先生、水筒魔道具使用禁止です」
「えっ!?」
「便利な道具を使わない、教育に悪いです」
「わかった、ケーキは俺が買いあげるから許してくれ」
「はい、ケーキ100個お買い上げー」
「なにっそんなに入っているのか」
教師は泣く泣く買い上げて皆に配った。教師の持つマジックバッグには入り切らないからだ。
「お前容赦ないな」
アルス、またひどいことを
「そんな事ありません、商売は良いお客様にはとことん優しく、悪い客には厳しくが基本です」
ロンがフォローしてくたれ。ありがとう。




