032.学園(16) エラン領(1)
前代官の事件から学園の休日には自領、エラン領に来る様になった。
基本的には成人するまでは新しい代官が行うので領に来なくても良いのだが、成人になっていきなり問題点の山に囲まれるのは避けたい。そこで今から少しずつ問題点を解消していこうというわけだ。
代官は維持管理はしてくれるが領の発展までには手を出してくれないのだ。当然だ、頑張っても代官の任期が終わってしまったらそれまで、努力が報われなければ人間頑張ろうとは思わないし、義務でもないらしい。
そこでまず第一手、代官の任期終了後も領政に関わってもらうと契約することだ。もちろん不祥事があったり貢献がなければその限りではないが、これでまずやる気は出るだろう。
代官ではなく、領主代理(副領主?)になってもらう。なんといっても私は引きこもる予定なので寮の運営に問題がなければ良いだけだ。
現在の代官はホワイト・ラディッシュという男爵家の3男だ。人物的にも問題ないようであった。
こちらの提案に快く了承してくれた。
次は現状の問題点の抽出だ。
今把握している主な問題は
・前領主のアホな重税で領民が疲弊している。現在は減税されているが影響は深い
・前領主が頭が悪く、特筆する産業を育てられなかった。
・前領主の取り巻きの影響力が残っている。
基本方針を『新しい産業を起こして発展させ既得権益を無効にして経済を正常に発展させる』に設定して取り組むことにした。
まず代官の護衛にマギドラを付けた。既得権益者からの妨害が予想されるからだ。
そしてバリアの魔道具と毒消しポーションと通信魔道具を渡した。
そして領の状況把握のため聞き取りをした結果
・海に面しているので海の幸がある
・山の幸もある
・湖と大きな川がある
・広い森がある
・畑に使える土地が広い
悪いとこ無いんじゃないの?
自然環境は問題無さそうだ
バカ領主は馬鹿なのか?能無しなのか?こんな優良物件を潰すつもりだったのか?
腹立たしくなってきたがこの領が我が領となったのは彼のおかげだ、感謝する。
第一にエアロ商会の支店を置くことを決定する。
海の近くに輸送拠点を設けて、新鮮な海の幸をクール飛龍便で王都や帝都に輸送する。ただし王都及び帝都での新鮮な海の幸の需要の開拓が必要になる。
ただ生は危険なので焼き魚や煮魚、蒸し魚、甲殻類を食べる文化を広める必要があるな。ロレイン商会で飲食店を開いてもらってもいいな。こちらの魚介類の飲食店に研修に来てもらおう。
漁村に行って村長さんに協力をお願いしよう。
次の休みは漁村でグルメだ。
そして次の週に漁村にやってきました。
人が少ない。店も無い。
どうしよう。
たまたま通りがかった村人に話を聞くと、どうやら人の頭数にたいして税金がかけられているそうで、働き盛りの若者の多くは領都や王都に出稼ぎにもしくは移住している様だ。もったいない。人材の無駄遣いだね。その人に村長さんを紹介してもらうことになった。
「新しい領主さんかい、可愛らしいのう、家の息子の嫁にどうじゃ」
「きっぱりきっちりお断りします」
「そりゃてきびしいのう」
当たり前だろう
「冗談はそのへんにしておいて、村長さんに提案があります」
「ほう、何かのう」
「領主としては現状を良しとしておりません、漁村に活路を期待したいと思っています」
「じゃが、見ての通り人はおらんし、力になれるとは思わんがのう」
「実は、新しい輸送手段が出来て、ここで穫れる海の幸を領都・王都に輸出しようと考えています」
「くさってしまわんか」
「ここから領都・王都までなら新しい輸送方式では半日もかかりません」
「なんと、それはすごい、じゃがこの村の人口ではとても輸出に回せる漁獲は得られんぞ」
「ですから、出稼ぎに出ている人を戻すんです」
「じゃが契約しとるからのう」
「領都の出稼ぎの契約は今季だけでしょ、現在の領都で長期に契約するとは思いません」
「だいたいそうじゃの」
「来季から漁村で働く様にして下さい」
「それと、王都に出稼ぎか移住している人にも協力を打診してもらえないでしょうか
海産物を輸出したらそれを消費する事が求められます、飲食店で海産物の料理などをお願いしたいと考えています。これはロレイン商会と協力して行う予定です」
「そうか、出稼ぎはロレイン商会を通じて行われるのが殆どだから可能じゃな」
「まずは試験的に運用してみたいと思います、料理人をお貸し願えませんか?」
「じゃあ儂が行こうかの」
「えっ料理人だったんですか?」
「この村唯一の食堂じゃよ、食べていくか」
「お願いします」
それから食堂で海幸料理を食べながら相談を進めた。
それから領都に戻り代官とすり合わせをしてから学園に帰った
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「おい、噂だとこれまで氷魔法師を雇って海の幸を領都まで送って高い金を取っていたが、新しい領主がもっと速くて安いコストの輸送手段を導入するらしいぜ」
「それだと今まで独占していたのにボロ儲け出来なくなるじゃないか、前領主の時は稼がせてもらってたんだがな」
「領主を殺るか?」
「いや、前領主でさえ歯が立たなかったんだぜ、俺達に出来るわけ無いじゃないか」
「俺達廃業か?」
「いや密猟すれば儲けられるぜ」
「密猟は重罪だぞ
俺達今までボロ儲けしてきたけど犯罪者じゃなかったよね、それは御免だ断る
俺は料理できるからな、料理人として雇ってもらうわ、じゃあな」
「俺は、えーと何にも出来ねえ、どうすりゃ良いんだ?」
「短い距離の輸送はまだ有効なはずだぜ下請けをしたらどうだ、設けは少なくなるが一人ならまだいけるだろ」
「そうだな、元気でな」
「お前もな」




