023.学園(7) 代官の罪
もうすぐ後期の長期休暇が始まる。
長期休暇は年2回、前期と後期の間にある。休みが多い様だが交通手段が馬車しかないので遠方から来ている学生に配慮したものだ、基本的には欠席していてもカリキュラムに即した試験に合格すれば問題ない。
そう考えると教師のための休暇とも言える。補修樹技とか部活などは無いので日本とは違いホワイトな職場だ。
ただし自己責任のため、遊び回っていたら落第する。学費は無料だが留年した分は自己負担でかなり高い、だから皆必死だ。昼食は食堂があるが自己負担だ、日替わり定食のみでランクは3種類ある。予算の都合で決める。上級貴族向けと中下級貴族向けと平民向けだ。もちろんそんな名前で呼んでいない、A定食B定食C定食だ平民でも金持ちはA定食を食べても問題ない、貧乏貴族がC定食を食べても蔑まされる事はない。差別はなく平等である。
この国は身分や職業による差別はあまりない社会における役割分担と考える。その代わり本人の能力や資質に関しては厳しいものがある、実力主義だ。身分は世襲制ではあるが実力がなければ没落するだけだ。だから貴族は沢山子供を作る事で、家を継げる優秀な人材を確保する。数撃ちゃ当たる方式だ。
何が言いたいかと言うと目の前に居るアルスはその残りカスだろう事だ。
「アルス、5人で内緒話したい、カフェに行こう」
ここのカフェは個室で盗聴防止対策がされていて、プライベート空間が確保されている。
かといって完全に守られるかどうかはわからない、盗聴魔道具が仕掛けられているかもしれないからだ。
私達が案内された部屋に入ると、
「えっと、これとこれをっと」
バキバキっと盗聴魔道具を潰す。
盗聴魔道具は結構高い多分金貨100枚ぐらいするだろうが知ったことではない。文句も言えないだろう。
「エラン様、ここにそんな物が」
「あと部屋の外壁にあるかもしれないから防音シールドを張るわ
街なかのカフェなんてこんなものよ、野原の真ん中のほうが安全よ
逆にリークしたい時はカフェが利用できるわ」
「ここまでする話か?」
「もちろん、外には密偵が居るでしょうから密談したという事実は必要」
「どこの密偵だ?」
「知らないの? 複数居るわ、全て探索魔法で把握済みよ、密偵は無料で利用出来る便利な道具
相手の密偵を使えないような皇子は無能ね」
「やかましい、それは部下の仕事だ」
「従者その1と2にそれが出来るとでも?
それとなぜ従者がその2人か考えたことある?」
「どういう事だ?」
「同じく出来が悪いからに決まっているじゃない、
もし優秀な従者を付けたら密偵から情報が得られないでしょ」
「お前たちっ」
「ああ、彼らは知らないわ、彼らにそんなスパイみたいな器用なことが出来ると思う
彼らを動かした、または誘導した者よ 類は類を呼ぶ習性を利用しているら特定は難しいわ」
「だれだっ」
「私は知らないけど、おそらくあなたの優秀な兄弟では無いかしら
皇帝はあなたを可愛がっているみたいだったから、皇帝の密偵は居るわね、主に守るために
そして、兄弟の密偵はあなたを陥れるために
駆除しても無駄よ、ゴキブリみたいに湧いてくるだけだから、把握していればあとは放置がいいわ」
「どうしてそこまで分かる」
「そうね、図書室の本を全部読みなさい、小説を読みなさい、そしてそこに書かれていない内容を考えなさい、そうすれば私のように少しは見えてくるわ
大丈夫、だれも期待していないから」
「落ち込んでもいいか」
「駄目、脳天気な普段の状態を偽装して、これからが本題」
「わかった努力する」
「まず、
アルスが長期休暇に私達を再び帝都に招待する
仲良しを装い確実に帝都に向かうと思わせる
そして密偵に気づかれない様にして途中で抜け出す
そして私の領地に向かう
抜き打ち監査をする
以上」
「エラン様、私は必要?」
「エレンは必要、癒やし要員だから、
それにアルスと仲良くしてたら嫉妬されるかもしれないじゃない
アルスは魅了を使って人を操ろうとしたのよ
エレンに魅了をかけて、アルスと私が仲良くしてるのを見て嫉妬心を持たせて不和を生ませるかもしれないじゃない、だからこれが作戦だと知っていてもらいたいの。
普通なら敵を欺くためには味方からって話さないんだけど、そんなの嫌だから」
「俺そんな策士じゃないってお前言ってたよね」
「万が一があるかもー」
「お前は賢いかバカかわからんな」
作戦決行前に賢者の書にあった隠密のスキルを得る。
領地に転移できるように、風精霊の羽を使い、隠密を使いつつ夜中に飛んで転移ポイントを確保する。
領主邸の近くに拠点を作り、探索魔法と感覚共有を駆使して領主邸の中を解析していく。主に裏帳簿とか裏帳簿を探索する。
見つけた、書斎の奥の隠し扉の中にそれらしきものがある様だ。執務室の奥には隠し部屋がありお宝があるみたいだ。これは悪徳領主の全財産没収時にもらったリストには無いものの様だ。リストを作成したのは現代官だ。
ということはこれらはもらってもいいよね。
代官がお宝の存在を知っていたかどうかが問題、
隠密を発動して侵入、証拠品を持ち出されないようにバリアで封印。リストを作成する。
裏帳簿は隠し扉をバリアで封印。
これは王都の監査官も連れて行った方が良さそうだ。秘密裏に色々根回ししておこう。
そして長期休が始まり、我々は帝都に向かって出発した。今回は馬車4台と騎馬6、冒険者護衛2パーティーの小規模キャラバンだ。私の領地とは逆方向なので数日進めばよいだろう。見晴らしの良いところでテントを張り、馬車で周りを囲む。護衛は囲んだ馬車の外側に陣取ってもらう。この体制で野営を続けながら進むが中間地点で長い休憩で二泊する、このとき我々は王都に転移して監査官を伴って領地に転移する。
この距離ではもし抜き打ちがバレても連絡は間に合わないだろう。
さて、領都邸にやってきた
「王都監査官だ、監査を行う、皆、その場を動くな」
十数名の監査員がなだれ込む。
私は、監査官とともに執務室に向かう、そこに居ることは探査魔法でわかっている。
他の監査員には書斎にまわってもらう
「領主エランよ、会計監査を行うわ、帳簿を出してちょうだい」
「お前は、あっエラン様、いきなりではないですか」
「抜き打ち監査だからね当然よ」
「何もやましいことはありませんよ、どうぞ」
表帳簿を持ち出して提示した。
「これだけですか」
「もちろんそれが全てです」
「監査官聞いたわね」
「はい」
「代官、ズルラン、もう一つ帳簿があるわね」
「なんの事でしょう(やばい、こいつ知ってる)」
なにかスイッチをおした様だ、誰かが書斎に行って裏帳簿を持ち出す手はずなのだろう。人が書斎に向かうのが探査魔法で感じ取れた。あっ監査員に取り押さえられたみたい。
「監査官に渡しなさい」
「さあ心当たりはありませんが」
もう一人の監査員が来て「確保しました」と叫ぶと
代官のズルランは窓から逃げようとしたが太っているので動きは鈍い、呆気なく取り押さえられた。取り押さえなければ窓から落ちて死んでいたかも。
「お前は帝都に向かったはずだ」
「偽装よ」
「こんなに早く来れるはずがない」
「賢者エランには可能よ」
「いったいどうやって」
「罪人に教える義理はないわ、お前は前領主とつながりがあったのか?」
「ふんっ腐れ縁だ」
「そしたら、隠し財産の事は知っている?」
「そんなものあるわけ無いだろ、全て没収されたはずだ」
「じゃあ、書斎奥の隠し部屋は何?」
「そんなものあるのか?」
本当に知らない様だ、あっ、うろたえた使用人が居た
「確保!」
どうやら前領主の使用人だった様だ。使用人に罪は無いと、ほとんどの使用人を再雇用したのが間違いだった様だ。
没収品は一旦国に収めなくてはならないので、帰りに持っていくことにする。最終的には私のものだけど。
その使用人が横流ししていないかきっと拷問されるだろうな。
「監査官、あとはお願いしても良いかな、
国から派遣された代官の罪だから、国から保証されるのでしょう?」
「そうなりますな」
「私が成人するまで、代官の交代要員をお願いするわ」
「了解しました、代官の私財も没収になります、損失補填に足りなければ、国庫から補填されます」
「早く前領主の膿を出し切りたいわ
新しい代官に領の正しい運営状況の報告をお願いして下さい」
「エレン終わったわ、こんな感じで良かったかなあ?」
「エラン様手際良すぎですわ」
「頑張って準備したからうまくいったみたいね、王都に帰ろっか」
「おい、俺はどうするんだ」
「あっゴメン、馬車まで送るわ」
「帝都には来ないのか?」
「あなたの親戚がなんか悪巧みしてるみたいだから止めておこうかなって」
「それなら助けてくれるとかしないのか?
俺は協力してやったぞ」
「親戚関係の喧嘩はちょっとやりにくなぁ、だってボコったら国際問題になっちゃうじゃない
戦争なら問題ないけど、後処理がねぇ大変でしょ」
「お願いだ、面倒な処理はするから力を貸してくれ」
「エレン、どうする?」
「エラン様、私は助けてあげても良いと思います。学友でしょ」
「エレンがそういうなら、助けましょうか」
「助かる」
「でもちょっとやりすぎても文句言わないでね」
「なんか怖いけど、お願いする」
名前
エラン・ドジデス(ドジデス王国第七王女)
称号
駄神の被害者、女神に救われし者、一生独身、剣聖を凌ぐ者、ドラゴスレーヤー、
エンシャントドラゴンの友、世界樹を救いし者、水精霊の救済者
Level 10(−10)
HP 100(−100(ダメージが加わる事によってマイナスされる))
MP 80(−80(使用した魔力でマイナスされる))
ステータス
STR 90(−90 (人族の上限100))
AGI 210(−210 (人族の上限100))
INT 80(−80 (人族の上限100))
LUK 120(−120 (人族の上限100))
加護
女神の加護(マイナス補正、魔法適正、スキル取得条件緩和、レベルアップ条件緩和)
異常状態
駄神の加護(ステータスを邪神が肩代わりする)
スキル
生活魔法(全属性、ライト(LV2)、火種(LV10)、プチウォーターボール(LV10))、
武神(LV3)、賢者(LV5)[バリア(LV2)、転移(LV3)、アイテムボックス(LV3)、重力魔法(LV5)、隠密(LV2)]、
錬金術(LV5)、探索(LV3)
装備
ゴブリンの大剣(ゴブリンの魂)、魔剣ドラゴンソード『エンドラ』(エンシャントドラゴンの魂)
魔弓『ユグドラ』(古の世界樹の魂)、風精霊の羽(シルフの分体)、水精霊の指輪(アクアの分体)
ダンジョンマスターキー(シーランド)、ダンジョンショートカットキー(シーランド)




