021.学園(5) シーランドのダンジョン
シーランドのダンジョンはもちろんシーランドの街の近くにある。
王都からは馬車で2日の距離だ、従って周の休みには行けない、次の長期休暇まではまだ長い。
転移では行ったことの無いところには行けないので、少しづつ距離を伸ばし1週間掛けてシーランドに転移でいけるようにした。
ダンジョンの規模は王都の物よりも深く50階層まである。
アクアの本体はダンジョンマスタールームにあるらしい。普通は1日では降りられない、
でも大丈夫、王都のダンジョン・マスターからショートカットキーを借りてきた。これでどのダンジョンでも好きなところに直行出来るらしい。欲しい。
ダンジョンに入り適当な壁にキーを刺す、右に階層分だけ回転して更に押し込む。
これだと51回回さないといけないが、マスタールームは左に一回回せば良いらしい。
がちゃっ
「おじゃましまーす」
一応声を掛ける。誰も居ない?
中央にダンジョンコアがあり、近くに透明な球体があり繋がっている。球体の中は、多分あれがアクアの本体だ分体とそっくりだ。
アクアをエネルギー供給源にしているみたいだ。
「アクアの回収に来ました、持って帰りまーす」
「待てっ、誰だ?」
「アクアの使者です、持って帰りますね」
「駄目だ、それはダンジョンに必要なものだ」
「精霊を使うなんて多分やっちゃいけない行為だと思うんですけど」
「黙れ」
攻撃してきた、バリアで弾く、たいしたことないな。
攻撃されたら反撃して良いよね
ダンジョンマスターをバリアで隔離する。ダンジョンに触れていると何をされるかわからないからね。
ダンジョンマスター権限で、変な階層に飛ばされるらしい。
「出せ」
「アクアの本体を回収したら出してあげるよ」
「それを持っていかれるとダンジョンを拡大できなくなる」
「それで? 何が問題? 広げるためなら何してもよいの?」
「いいのだ」
「そう、じゃあ私もアクアを助けるためなら何をしても良いって事で」
「あーやめてー」
ぷちっ
配線を切って透明の球体を回収してダンジョンから脱出した。バリアはそのうち消えるだろう。
球体を割り、アクアを開放する。
〈ありがとう、また今度お礼をするわ〉
「大変だぁー、ダンジョンの活動が停止した10階層より下は単なる洞窟になったみたいだ」
冒険者ギルドは騒がしくなっていた
身の程を知らないダンジョンマスターが背伸びをするからだ。
街は大変かもしれないけど、それが本来の姿。
だが、街の人が悪いわけではないので少しフォローしておくかな。
再びダンジョンマスタールームに行くと、ダンジョンマスターが泣きじゃくっていた。
「全部お前のせいだが、いきなりダンジョン資源がなくなれば街が困るから、コアに少しだけ補充してやろう、そうすれば徐々に消えていくだろう
元に戻したければお前がコアに魔力を込めればよいだろ」
「そんな力ないよう」
「努力することだ、精霊を蹂躙するのななら潰すぞ」
「だってお菓子を作るのに魔力が沢山必要なんだもの」
「わかった」
ダンジョンマスターを透明容器に封じ込めてコアに直結しておいた
「慈悲は無用、そこで反省してろ」
「いつ出してくれるのー」
「次に来たときにな」
腹いせに彼のマスターキーとショートカットキーは私がもらった。
ダンジョンが修復され、街は再び活気を取り戻した
いろいろな説が飛び交っていた
・ダンジョンが更新されただけ
・ダンジョンの死が近く不安定になった
ただ不安からダンジョンだけに頼った経済の根本を見直そうという話になった
そして私は記憶を封印した。思い出すだけで腹立たしくなるからだ。
ーーーーー
「エラン様、シーランドのダンジョンの話お聞きになりました?」
「少しだけ」
「前にシーランド行くって言ってたと思いますけど」
「そうですね、依頼で行ってきただけですよ」
「ダンジョンってどんな仕組みかしら?」
「私はそういうの知らないほうが良いと思う」
「神秘は神秘のままが良いってことですね、さすがエラン様」
現実を知ると腹立たしくなるからだけどね
「時々ダンジョンですすり泣く声がする様になったんですって」
うんあいつか
「幽霊って居るのかしらね」
いるかも知れないけど、あいつは何だったんだろ。古代人かな。
こんど王都のダンジョンに行ったとき聞いてみよ、あっショートカットキー返すの忘れてた
「行ってみる?」
「いえ、止めておきます、夜トイレにいけなくなってしまいます」




