017.長期休暇(3) 帝都
「遂にたどり着きました帝都、
さあ帰ろう」
「おい、魔道具屋忘れてるぞ」
「あっそうだった」
「それと皇帝に会ってくれって頼んだよな」
「それもあったね」
まずは皇帝に会わなくてはいけないらしい、嫌だな、でも依頼だからしかたないか。
「公式謁見ではなく個人的に会いたいそうだ」
「その方が気が楽でよいね」
「この部屋で待っていてくれ」
「全員戦闘準備、パターンデルタワン」
殺気を感じた?
これだけの人数を守りきれるか、
「はっはっは、すまん試すような事をして」
「皇帝?」
「ようこそ帝都へ」
「それ冗談じゃ済まなくなるかもしれないから止めてくださいね、次は無いです」
「さすが武神様じゃな、まだ魔法の起動準備しかしていないのにのう」
「それで、何か目的があって私を呼んだんでしょ、私忙しいの、用件を言って」
「実は皇妃が呪いを掛けられて、余命があとわずかな状態なのじゃ
回復魔法では効かず、解呪のためには世界樹の葉を使った特殊なポーションが必要なのじゃが
エルフとの交渉がうまく行かず世界樹までたどり着けなくて困っておるのじゃ、それで・・・」
ユグドラ、世界樹の葉持ってる?
〈はいどうぞ〉
「皇帝、これでよい?」
「おおーーーこっこれは、世界樹の葉ではないか、感謝する」
「来る途中で手に入れた、エルフは追い払ったが、ゴーレムが世界樹を守っているので近づけないと思う。
これ、冒険者ギルドから指名依頼を出しておいてもらえる?
じゃあ行っていいよね」
これでランクアップ要件クリアだ。帰ったらAランクだ。
「待て、お礼をしなくては」
「要らない
依頼料だけで良い
これから魔道具屋に行く用事があるの、アルスに案内してもらうわ」
唖然とする皇帝を残して魔道具屋に向かう
「エラン様良かったの?」
「なにエレン、皇帝のお礼の事?
下手にお礼なんかもらったら後が怖いわ 権威ってそうやって人を取り込んでいくのよ
あなたも注意しなさいよ、『知らない人から物をもらわない』これ基本だからね」
「ギルド依頼はいいの?」
「ギルドは知らない人じゃないから大丈夫よ、あれは単なる依頼の対価、お礼とは違うわ」
「なるほど、わかりましたエラン様物知りですね」
「ちょっと違う気もするが納得してしまう自分が情けない」
「なに、皇帝とは関わらない方が良いでしょ」
「感謝の気持ちというのは依頼料だけでは表せないのだ」
「ちゃんと感謝の言葉をもらったわよ」
「そうだが違う」
「貸しを作らないとかいうやつ? 貸しだなんて思っていないから大丈夫よ
あっわかった、連れ戻すよう説得してくれって頼まれたんでしょ
皇帝に言っておいて、
他人に感謝の気持を表すんじゃなく、お礼をしたと自己満足したいだけでしょ、
今、私が、いちばん喜ぶことは魔道具屋に行くことであって、皇帝の自己満足を満たすことじゃない
ってね」
「言えるわけ無いだろ」
「でしょうね」
「おまえが一番のいじめっ子だとわかった」
「いじめっ子は願いを聞いてあげたりしないわ、
私は帝都に来てあげたわ、それがあなたの一番の望みだったんですよね
私は世界樹の葉をあげたわ、それが皇帝の一番の望みのはずよ
さて、私はいじめっ子?」
「反論できない自分が情けない」
「ただ面倒なだけよ、面白い面倒は歓迎だけど、面白く無さそうだもの」
「来週武術大会があるのだが・・・」
「出ないわ」
「見学に・・・」
「行かないわ」
「取り付く島もないな」
「あるわよ、魔道具屋工房に行こう」




