118.学園(60) 疑似エリクサー(4)
放課後にアニーの様子を見に行った
どうやら大分落ち着いてきたようだ、
少し話をしてみよう
「アニー、具合はどう?」
「まだ心がついていかないことが多いが、なんとかなりそうだ、ありがとう」
「そう、良かった、ところで出身は?髪の色とか瞳の色とかあまり見かけないけど」
「そいつは魔人族だ」
なぜかライアが答えた
「申し訳ない、同族だとは知っていたが、助けなかった」
「何か理由でも?」
「同族ではあるが、私とは敵対するものだ、私を追って魔人国から来たのだろう」
「えっ?見かけによらず・・・あっごめんなさい」
「私はバウンティハンターをしている魔人族の冒険者よ」
「こんなところにまで」
「アニー、ライアはもう仲間なの、捕まえないでくれる?」
「恩人に逆らう気は無い」
「良かった」
「ライア、なぜ追われているか説明できる?」
「わかった、話そう、前にも少し触れたが、私は無実だ、嵌められたんだ」
「でも隷属化のスキルがあればなんとかなるのでは?」
「ああ、低レベルのものならな、レベル8では高レベルのものには効かない、周りを高レベルの者や魔物、ゴーレムなどで囲まれたら終わりだ、その他のスキルも戦闘用ではないからな」
「なるほど、高レベルってどのぐらい?」
「レベル100超えだ、ただエラン様は隷属化レベル10だから相手のレベルは関係なくなる
隷属化レベル10なんて存在があったとはな」
「それで?」
「ある貴族を隷属化して殺した事になっている、証拠は全て捏造されたものだった
詳しい事情はわからない、調べている間など無かったからな。
隙を見つけてなんとかこの大陸まで逃げ延びたんだ」
「マギドラは何か知らない?」
「たしか、魔王支持派の貴族が3人殺害された事件だ、反魔王派のライアが犯人だと言うことになった」
「それだけだと良くわからないけど
魔王支持派の内輪もめか、反魔王派の隠れ蓑にされたかってことね」
「ライアは嘘はついていないはずだから、無実なのだろうけど、魔人国にはもう行けないわね
誰か身内とか気になる人とかは居る?」
「おそらく私を嵌めたのが家族だからな、おそらく恋人も、今から思うと色々と心当たりがある」
「なにそれ、かわいそう」
「別に構わないさ、そういう人生だ」
気の毒になってきた。
「じゃあ私の領で活躍してね、歓迎するわ、アニーもよろしくね」
ユグエンドーラ領で、アーガイル隊のメンバーに彼らを紹介した。
アーガイル隊の元主は魔王支持派だったがライアの件とは関係ないようだった。良かった。
「ライアは改名しない?」
「エラン様が命名してくれ」
「えっとじゃあ『トゥルー・アーガイル』でどう、アーガイル隊の仲間よ」
「わかったトゥルーだな」
「みんなもこれからはその名前で呼んでね」
「じゃあトゥルー、まず最初のトゥルーの仕事は魔人国の情報をできるだけ詳しく文書で纏めてくれる?
アーガイル隊と協力してやってもいいわ今週中にお願い。
これだけ魔人族が来ているということは少し対策を立てた方が良いと思うの
魔人族は強く我々の戦力は微々たるもです、このままでは守りきれないかもしれないわ
アーガイル隊は来週末までに防衛プランを立てて、可能性の高い上位3つまで想定して来週末にこのメンバーで検討会を行う」
「エラン様、こちらの戦力がわからないと議論できませんが」
アーファが進言したが、
「えっととりあえず増援がない場合、戦力は私のパーティとアーガイル隊、トゥルーとアニー
ぐらいかしら」
「他には?」
「冒険者ぐらいかな」
「少なすぎませんか?」
「少数精鋭」
「広範囲攻撃を受けたら手が足りないのでは?」
「そうね、前回は3カ国同時多発戦闘だったわ、なんとかこなせたけど、いつもうまくいくとは限らないから対策は必要でしょうけど、今適した人材が居ないわ」
「衛兵から募集しては?」
「能力が低すぎるわ」
「街の揉め事程度の鎮圧には役立つけど、紛争とかは難しいわね
戦闘ゴーレムとか、戦闘機とか・・・ほしいな」




