114.学園(56) 誘拐事件(3) 被害者のケア
「サン、サンは居る?」
「私です、なぜ名前を?」
「妹のマルちゃんが待っています。
身体の調子はどう?大丈夫?」
「私は今日来たところだからまだ何も、それよりもこの人をみてあげて」
横を見ると、かなり酷い状態の子が居る。
拷問を受けた様だ。
「そうね、でも彼女少し時間がかかりそう
悪いけど直ぐに終わりそうな者からするわ」
「サン、解呪、妹の所に彼女と送るから、少し付き添って貰える?」
サンと状態の悪い人を、転移で領主邸に送り、応急手当てを頼んだ。
マルはサンの胸に飛び込んで行った、相当不安だったんだろう。
彼女らを領主邸に残し、伯爵邸に戻る。
一人一人面談をして、問題の無い者は解呪して行った、精神魔法に『安寧』がある事に気づき各人にかけていく。
そして今後の話をする。家に戻れる者も居ればもう帰りたくない者、など様々だ。
とにかく家族知り合いのある者は無事であると連絡を入れ、個別に面談していくことになった。ここに精神科医など居ないので、協会に頼んで自助グループ方式でメンタルケアを行うことになった。
身の振り方の選択肢の一つとして、ユグエンドーラ領の使用人として働く道を付け加えた。
さて重症の子だが、応急処置はしたもののちょっと酷い。
他の子の話を効くと、隷属化にも逆らい言うことを聞かなかったことで拷問を受けたとか。
レベル8の隷属化に逆らえるとは凄いな。
鑑定してみると、精神耐性レベル8、だった。元々ひどい扱いを受けていたのかもしれない。
私の回復で処置できるだろうか?
それともエリクサーでも作らないといけないかな。
ライアにも協力してもらおう。
「ライア、彼女を治したいんだけど良い方法あるかしら、隷属化を解いたら自殺しちゃうかなぁ?」
「そうだな、解呪は最後が良いだろう
骨折を戻し、回復を掛けて、エリクサーを飲ませるのが良いだろう」
エリクサーは材料もあるし錬金術で作れるな。材料は世界樹の葉と魔力草とドラゴンの爪などだ
エリクサーがもっと沢山出来たら良いな、今は少量をユグドラからもらう程度なので少量しか出来ない。世界樹を守る者としては、その葉を多くもらうわけにはいかない。他の材料で同じ効力のものが作れれば、世界樹を守る事にもなる。今回は急ぐので世界樹の葉をもらって作ろう。
「貴方、名前は言える?」
「アニー・ケイトリン・・・私助かるの?」
「アニー、よく耐えたわ、もう少しの辛抱よ、これから骨折部を戻すから激痛が走るわ、なんとか耐えてね」
ライアに頼んだ
ぐぎぎごぎ
「ぎゃわーーー、ぐわーーー」
痛そうだ、
「精神魔法で『鎮痛』」
「ぐぐくぐーーぅ」
少しは治まった様だ
「よしっ、回復を」
『回復』
「ううううーー」
さあ、これを飲んで、とエリクサーの便をを口に当てて、少しずつ流し込む
「うっぷ、くぷっ」
飲みにくそうだ、がなんとか飲みきった。
寝てしまった。
体全体が光輝き、エリクサーが効果を出したのがわかった。
「そのまま寝かせてあげましょう」
これでなんとかなるだろう。
「マル、ありがとね、アニーの面倒を見てくれて」
「エラ、私こそ、お姉ちゃんを助けてくれてありがとう」
「マル、あの時貴方があそこに居なかったら、誰も助からなかったのよ、マルのおかげよ」
「エラが来なくても誰も助からなかったぁ」
「そうね、私達二人のお手柄ね」
「ところで、二人はこの街に何しに来ていたの、家族は?」
「私達は、両親を失い、この街に仕事を探しに」
ちょうどよい
「じゃあ私の所で働かない?」
「ここで?」
「ここでも良いけど、マルとサンが私の領ユグエンドーラって所に来てくれたら嬉しいなぁ
今回助けた人も何人か来るみたいよ」
「お姉ちゃんどうするぅ?」
「マルがよかったら。私も恩返ししたいし」
「じゃあ決りね、お姉ちゃん」
「しばらくはアニーの面倒を見てくれると助かるわ、お願いね、
必要なものがあれば家の者に言ってね、私は学園もあるのでずっとは居られないから」




