011.ダンジョン(1)
1年が過ぎ、もうすぐ10歳、学園に通う歳になる。
あれから、以前狩った地竜を納品したり、護衛依頼をこなし、冒険者ギルドランクを上げてCランクになった。過保護な親の介入で護衛は街中のものしか許可が出なかったのでそれ以上ランクアップ出来なかったが。
そしてCランクになればダンジョンに潜ることが出来る。
憧れのダンジョンだ、王都近くのダンジョンは初級者向けのものしか無いが、それでも初ダンジョン
わくわくである。
流石に単独では認められず剣聖様といっしょだ。
「儂もダンジョンは久しぶりだな、このダンションは初級用で10階層が最下層だ、ダンジョンボスも最下層のみだ。Cランクとしては少し物足りないだろうが王都の近くにはここしか無いから仕方ないな」
「初めてなので此処で充分です、体験するだけですから、それと素材収集も楽しみです」
「そうか、一応魔鉱石も出るがほとんど取り尽くされているぞ」
「大丈夫です、探すの得意ですから」
「それから魔物はあのキモいゴブリンだぞ」
「大丈夫です、消臭魔道具を借りてきました、食料もアイテムボックスに入れてあるし、いざとなれば魔法も使えます」
「そうか、では入るぞ、まずは入場届を提出する」
登山届みたいなものだね
「はい、エランとソラードっと、予定は4日間っと
では行きましょう」
1〜3階層は、薬草を中心とした採取領域
4〜6階層は、小動物魔物の狩り場
7〜9階層は、コブリン
10階層はボス部屋だ、ボスはランダムで発生する。強くてもBランクの魔物だそうだ。
それぞれ1日の配分で良いだろう
アイテムボックスがあるので食料やテントを持ち歩けるので、いちいち戻らなくて良いから楽だ。
一般的には目的階層に直行して1日で返ってくるパターンが多いらしい。
ダンジョンの中は不思議空間だ、別次元に作られた世界が投射されているらしい。なので太陽も出る昼もあれば夜もある不思議だ。
階層間はぽかんと空いた穴に階段がある、場所は既にマッピングが終わっていてギルドに地図として売られている。もちろん購入して持っている、階層をつなぐ階段の途中にはちょっとした広場かあり休息所となっている。ここには魔物が来ないので安全地帯となっているが、一番危険なのが人だそうだ。怖いね。
1〜3階層は魔物は出ないので薬草採取も楽々だ。地上で薬草関係は知り尽くしているので、探査魔法を使うことですぐに探すことが出来る。もちろん大量にゲットする。
この素材は錬金魔法でポーションを造る練習に使う予定だ、ここは魔力に満ちているため薬草が群生していて探し出すことさえ出来れば地上よりも大量に採れるのだ。
今日は3回層と4階層の間で泊まる予定だ。
地上でキャンプをして練習しているのですぐにテントを張る事が出来た。ここには水場もあるので簡単な調理も出来るが、ダンジョンの低階層でわざわざテントを張って宿泊する者は居ない。
高階層へ行く者はもっと先で泊まる。なので我々だけだ。貸切状態で嬉しい。
小説だったらここで出店を開いて通過者に売りつけるのだろうが、皆準備して来ているし、時間が惜しくて売れはしないだろう。
ここは暗くて時間間隔がなくなるけど、心配性の父上から時計を持たされているので大丈夫だ。
明日は小動物魔物エリアだ。
晩飯は、スープと焼き肉、調理済みのものをアイテムボックスに入れてきたのですぐに食べられる。便利だ。体力は実質無限だが、流石に精神的に疲れていてぐっすりと眠れた。
朝も暗くてほんと時間間隔が無くなりそう、早々にスープとパンを食べて出発する。
「狩りの時間だ」
片っ端から討伐しアイテムボックスに直行だ。階層間階段まで直進、狩り続けた。
結構な数が収まった。ドロップ品は大したものは出ないので無視だ。
6階層と7階層の間の休息エリアに早めに到着した。
ここは数組のパーティーが宿泊準備をしていた。結構広いので距離を空けてテント設営をしている。
我々も離れた位置でテントを張った。一応挨拶回りをした。そのうちの一組はダンの所属するパーティー『暁の星』だった。気まずいながらももらった短剣を見せて仲直りアピールをして、焼き肉を差し入れしておいた。もう絡むことは無いだろう。
その他は見知らぬパーティーだったが柄の悪そうなのは居なかった。どうやらテンプレの夜襲は無さそうである。が、念の為にバリアを張っておく、新しく覚えた魔法だ、宮廷魔術の団長が教えてくれたのだが3分しか保たないらしい、でも私は実質無限の魔力が使えるのでずっと張り続けられるのだ。




