103.獣人国(33) ドロシア帝国戦(1) 開戦前
『エラの独り言』で色々と情報が集められた。
全員の居場所がわかった。
一人はこの獣人国猪人族の街の裏山。
ドロシア帝国帝都に一人、おそらく軍の参謀とかの所だろう。ダーミーもここだろう。
ドロシア帝国の東海岸に一人西海岸に一人、
ドジデス王国に一人、ステライズ帝国に一人、北極付近に一人これは進軍のための中継基地かな。
あっ、獣人国との海に一人、海軍を動員したか、危ない、クラークケンタに食べられちゃう。
なんか開戦が近いみたい。
同時に多方面から攻める作戦か、まずいな。
「ティグレ、ここの防衛を任せられる?」
「えっ何処か行くの?」
「同時に多方面から侵攻してくるみたいなの」
「通信魔道具を渡しておくから、随時報告してね
作戦はわかっているわね」
「ああ、いろいろなパターンで練習したから大丈夫だと思う」
さて、他のメンバーを連れて軍艦で海から侵攻してくる軍に対処しよう。
〈クラークケンタ、獣人大陸に向かっている船団ってある?〉
〈50隻ぐらいの船団がおるぞ、食べてよいか?〉
〈まだ食べちゃ駄目、ひとり救いたい人が居るの〉
〈わかった、早く来ないと獣人大陸に着いてしまうぞ〉
〈すぐに行く〉
さてまず戦艦に向かおう一気に転移で移動する。
「出港準備、戦闘態勢を取れ」
「敵船は?」
「沖合に居る、一人救出してから開戦だ」
「出港準備完了」
「早いですね」
「居ない間暇だったので準備だけはしておきました」
「進路東、推力30%」
〈クラークケンタ、船団の近くに居る?〉
〈わしの1キロ程北におるな〉
〈ありがとう〉
クラークケンタの位置は大体分かる
「進路東南東、推力50%」
「戦闘準備をしておいて」
「了解」
「ここでのミッションは救出作戦のみ、ミッション完了後ユグエンドーラに向かう」
〈ユグエンドーラの警備艇、聞いてる〉
〈こちら警備艇、なんでしょうか〉
〈ドロシア帝国の海軍が向かってない?〉
〈今のところ目視は出来ません、ただ、隣の領の漁船が出ていませんね〉
〈こちらも漁船を退避させておいて、戦闘があるかもしれない
船団を確認したら連絡して〉
〈了解しました〉
あとはドジデス王国とステライズ帝国に連絡を入れてっと
〈ヴァルハラ監視員、聞いてる?〉
〈はい、聞いています〉
〈ドロシア帝国の動きがあるみたい、最大限の警戒をしておいて、西の森からも侵攻があるかもしれない〉
良かったヴァルハラの西の森の堀と壁をそのままにしておいて、
西の森の落とし穴を再構築してこよう。一旦転移でヴァルハラダンジョンのマスタールームに移動して、落とし穴を再構築した。
それが完了すると次はユグエンドーラダンジョンのマスタールームに転移し、川辺の壁の近くにも落とし穴を多数構築する。
そして戦艦に戻ってきた。戦艦にはビーコンが設置されているので場所が移動しても転移で戻れるのだ。
半日ほどで船団の5キロ西側に着いた、相手には視認されているだろう、船団に居ると思われる吟遊詩人を探索してみた。どの船に乗っているかはわかった。ここからは小回りの効く潜水艦で向かうことにする。
『エラの独り言』に書き込みをする
『大海の船団の吟遊詩人の船を沈める、甲板に出て海に飛び込め、助ける』
『いま船室に閉じ込められている嫌だなあ』
『扉から離れておいて』
すぅぃーーーガガガッ
とりあえず近づいて船底に穴を開ける、乗員はパニックだ
物体探査で正確に位置を捉えて監禁されているへやの前に転移しドアを蹴破る、あっ部屋の中に転移すれば良かった。カッコつけたかったから思いつかなかった。
「解呪!、助けに来た、来い」
隷属化を解き、彼を連れて空へジャンプ、ドーラに拾ってもらう。カッコつけたかっただけだけど。
戦艦の甲板に降りる。私は潜水艦に戻る、まだ私のモニターが無いとうまく戦艦に戻れないからだ。
無駄な動きのようだが、吟遊詩人にあまり変なところは見せられない。変なふうに語られたくはない。
保護した吟遊詩人は師匠にまかせる。
「ミッションクリア」
これから大至急ユグエンドーラに向かう。もちろん普通に移動していたら間に合わない、転移で移動する。
ちょっと強引な移動になるのでみんなに船内待機を命じる。
「全員船内に退避、衝撃に備えて」
高さがちょっとでもずれるとバシャーんってなるからね、海に浮いて動いているから難しいのだ
どぉっぱーん、ぐらんぐらん
おーちょっと揺れたね。
〈クラークケンタ、船団をお願い〉
〈了解した ・・・ぱくぱく〉
ご飯の時間のようだ
〈警備艇、様子はどうだ?〉
〈目視では未確認、漁船は退避完了〉
〈警備艇もドックに退避〉
〈了解〉




