100.獣人国(30) 獣人国視察(22) 猪人族(1)
狼人族の街でいろいろな経済対策を考えて準備を進めることにした。
イチロー達には悪いが、視察の続きをしなければならない。帰りに寄るからそれまでにドローソースを入れる壺の試作品制作を頼んだ。
釉薬はよくわからなかったので、耐水性のある粘土を探してもらうことにした。
釉薬は草木を焼いた灰でもできるらしいから、それを実験してもらおう。
ドローソースの試作品は昨日仕込んだ。
とりあえず、お腹が空いても街の人を食べたりしないように言いつけて旅立つことにした。
次は猪人族である。ちなみに猪人でも猪の肉は食べる。動物は動物、人は人らしい。
もちろんテンプレ、猪突猛進の戦士の街だ、とは言っても戦士だけで街が成り立つわけはない。優秀な戦士ともなれば野営も得意、料理も得意になる。そういうものは引退したら飲食店を営む、つまり食の街でもある。傭兵をしているものが多く、傭兵の仕事がないときは、いろいろなことをしている、大工、農業の手伝い、冒険者などなど。先の戦争では駆り出されたものの戦争がすぐに集結してしまったために失業したものが多い。私のせいか。
でもそういう類の仕事をしているのだから、彼らは何も思うところは無い様だ領主は快く訪問を受け入れてくれた。まあ被害がなくて良かったぐらいに思っているようだ。
なにか困っていることは無いか聞いたら、やはり仕事が不足している様だ。前王は仕事不足対策で戦争特需を利用して人気取りでもしようとしたのだろうか。戦争に対する備えは必要だけど戦争を仕掛けては駄目だよね。
ここは北の端に近い領域だ、ドロシア帝国が北極経由で攻めてくると仮定して備えるべきだろう。彼らの戦闘スタイルは猪らしく強引に突っ込んでいく戦法らしい、それを戦法と言うかどうかはわからないけど。欠点はかわされたら抜かれてしまうので防衛ラインを保ちにくいことだろう。対策としては防御を抜かれない用にするか、抜かれても良いようにするか。
例えば面ではなく楔を打ち込むように突進することだ。敵軍を全滅させる必要はない本陣に向かって一気に攻め落とせば良い。この場合の負けパターンは本陣が複数ある場合、またはわからない場合、誤認した場合、強力な個体に阻まれた場合である。どんな方法をとっても対策されれば負ける。どこまで想定出来るかが問題だ。
彼らの戦い方を否定するのは彼らの良さを殺してしまうことになる。
・本陣を見失わない
・強力な個体があっても突き進める
・落とし穴があっても対応できる
・バリケードがあっても突き進める
対策は結構難しい
飛行が出来て索敵ができればいけそうかな。
魔道具で飛行鎧を作ることにする。更に連携を取れるように通信魔道具を備える。
索敵は空から行い情報を共有する。
落とし穴は、普通は全域にはない、全域にあれば敵はこちらに攻め込めない。だから、敵の進撃ルートを逆走する。できれば敵を敵の落とし穴に追い込んでも良い。
または、飛行鎧で落とし穴やバリケードを無いものとして突き進む。敵はこちらが突っ込んでくる事を想定していないから人員は少ないし体制も出来ていないだろう。馬鹿ならば本陣をそこに置くかもしれない、賢ければダミーだ。ただしそれは飛行鎧があるという事を敵が知らない場合だ、知っていれば、落とし穴と網を張るかもしれない。対策は鎧に網を切り裂く機能を付けるか。網ではなく落とし穴からやりが飛び出してくるかもしれない。対策はバリア機能付きにするか。
最初から空から飛んでいって敵陣近くで降りるとか。相手が飛龍などの飛行する魔物で防御するかもしれない。そうすると突進する以外にも飛び道具が要るな。
「エラン殿、どうされました?」
猪人族の長が心配して声を掛けてくれた。
「申し訳ない、ちょっと妄想に耽けていました、領の専任の軍隊は居ますか?」
「専任は数十人は居るが、足らない分は傭兵を雇うことになる」
「私設軍隊、いや、国王直属部隊を編成したいのですが」
「なぜでしょう?」
「今後戦争に対する備えとして今の体制だと少し不安があります、とはいえ専任部隊を領軍として常に持つことは負担になると思いまして」
「儂は今のままで十分だと思うが」
そこで、妄想した内容を説明していく
「なるほど、それで国王直属部隊ですな」
「もちろん主力メンバーはこの地で採用しますので、領としても良いことだと思います
ただし指揮官はこちらで選定します。有事ではこちらの指揮官を優先します
国軍の駐屯地を提供願います」
「街の北側の山の麓の使用を許可しよう、地図ではこの範囲だ」
地図で範囲を示された。
「施設はこちらで準備します」
「ティグレ、貴方、指揮官やってみる?」
「俺が?」
「良い勉強になると思うけど」
「出来るかな?」
「さあ、でもやってみないとわからないでしょ、まだ戦争じゃないから失敗しても良いし」
「わかった、やってみる」
「いい、頭を使うのよ、指揮官だから」
「うー」
さて駐屯地の整備をしよう駐豚地か?。整備といってもダミーだ、全体を高い壁で囲む。微妙な高さにする。
敵の隠密による監視は絶対にあると想定する。完全に隠蔽すればなんとかして探ろうとして隙を見つけて探られる可能性がある。だから全く不可能というわけではないが、ちょっと頑張らないと見えない微妙な作りにする。近くの山からならなんとか見えるようにしておく、ベストポジションには盗聴器を仕掛けておく。
まず、部隊の寮・演習所・格納庫を作る。作りは単純な箱型だ。格納庫には戦車を数台入れておく、屋根はなく鳥型の魔獣を使い感覚共有するとか、飛龍などで高高度から見るとかすれば見られる。
寮の一部屋はダンジョンの演習所に繋げてある。実際の訓練はここで行う。
敵が戦車戦を想定してくれれば落とし穴線をするかもしれない、普通は攻める側が落とし穴を使うことは無いので、敵は引っかかってくれるだろうと思うはずだ、土魔法を使えば短時間に落とし穴をつくれるだろう。まあそう思ってくれなくてもこちらが半空中戦をしかけると思われなければ良い。
スパイを送り込まれると厄介なので全寮制にしてセキュリティは万全にする。更に切り札と言うべき秘密兵器は上級士官のみアクセス可としている。
ダミーの演習場を全く使わないというのは怪しまれるので基礎訓練はここで行う。ランニングとぶちかましの練習はここで毎日行う、その後、戦車に乗るふりをして皆はダンジョン演習場に移動、戦車は無人で自動で動き、訓練しているかのように装う。
次は装備だ、飛行鎧を作る。飛行と言っても完全に飛べるわけではなく一時的に重力を遮断できるというものだ、浮いている間は慣性で進むことになり方向転換は出来ない。
バリア機能は訓練時は秘密だ。指揮官が機能解除しないと使えない。秘密にするのはスパイ対策だ。
ちなみに指揮官クラスの鎧は風魔法の利用で方向転換できる様になっている。指揮のためにあちこちしなければいけないしね。
訓練は実技だけではない。敵味方に分かれてそれぞれの立場で戦況を考えシミュレーションをして対策を考える事を繰り返し行う。敵がドラゴンに乗ってやってくるとか。飛龍から爆弾を落とされるとか・・・
まあ全て想定の話。実際はわからない。




