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ビビり魔王、冒険者になる  作者: 藤谷 葵
初稿(第三章)

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第一話

「よくぞ参った、勇者とその仲間たちよ!」



 現在、国の王様と謁見をしている最中である。

 国王が玉座に座り、謁見の間の入り口から玉座の手前まで赤い絨毯が続く。赤い絨毯の左右には、強そうな兵たちがずらりと立ち並んでいる。



「勇者よ! 必ず、魔王ビビマオールの首を討ち取ってくれ!」

「はっ! この国に害を与える魔王を、必ず仕留めて参ります!」



 そんなことを宣言する勇者。

 


(いや、この国に害を与えたことはないよ? 血気盛んな部下が、勝手に暴れたことはあるかもしれないけれども……)



 我は跪き、俯いている。顔を上げると「魔王が侵入している! 皆の者、であえであえ!」などと、兵士たちに囲まれて殺されることを想像している。脂汗が滲み出てくる。がくがく震えそうになっている膝を、強引に押さえつける。


 そんな我を今日も置いてきぼりにして、話がどんどん進んで行く。



「勇者達が旅立つ前に、前祝パレードとしゃれこもうじゃないか」



 陽キャどものパーティーが始まりそうな予感がした。


 数日後。

 形は荷馬車だが、豪華さは王族の馬車並みの装飾がされ、幌の無いオープンタイプ。

 その馬車に勇者パーティーは乗り込み、城下町中を馬車はゆっくりと走り回る。



「きゃ~、勇者様!」

「魔王なんかぶっ殺してくれ!」

「がんばれ~」



 あちらこちらから、歓声が響き渡っている。

 勇者パーティーのメンバーは、立った状態で国民に手を振って、期待に応えようとしている。



(こ……この人間達が、全員、我に敵意を向けている)



 足がぷるぷると震える。我は顔を隠す為に、馬車の椅子に座った。


 そんな我を見て、マリアさんが声をかけてくる。



「マオさん、何を照れてるんですか? マオさんも、魔王を倒した後は英雄になるのですから、しっかりと国民に覚えて貰わないと!」



 そういうと、我の腕を掴み、引っ張って立たせる。



「い、いや、お構いなく」

「もう~、マオさんてば、謙虚なんだから」



 我の手を掴み、操り人形のように手を振らせる。

 照れや謙虚ではなくて、死にそうなほどの恐怖なのだが。


 状況的には『指名手配』のビラを撒く必要がないくらいに有名になった。

 ショックのあまりに、我は気絶した。


 目が覚めると、知らない天井が見える。いや、天井にしてはおかしな形をしている。

 ぼんやりしている視点を合わせようとしていたら、突然、マリアさんが横から顔を出してきた。



「あ、マオさん。起きましたか? ふふ、マオさんたら、緊張しすぎて倒れちゃうんだもん」



 目の前に突然美女の顔が現れ、再び昇天しそうになった。止まりそうな心臓を必死に動かす。いや、自分の意志で動くようなものではないのだが、そうそう気を失っている場合ではない。状況次第では、気だけではなく、命を失いかねない。


 上体を起こして、ここがどこなのかを確認する。



「え? 馬車の中? パレードはどうなったの?」

「ああ、なかなか起きないから、マオさんを馬車に積んで魔王討伐の旅に出発しました」

「えええええ!」



 噛み合っていないはずの歯車が、着実に魔王討伐へと回り始めていた。

いつも読んで頂きありがとうございます。


感想や応援をお待ちしております。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読させて頂いています。 何故魔王の名前が知れ渡っているんだろう? きっと部下たちが広めてるんでしょうね。 押しに弱い魔王が悪いはずはない(笑) ちゃんと章毎に纏められてて良いと思…
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