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ビビり魔王、冒険者になる  作者: 藤谷 葵
初稿(第八章)

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第二話

 勇者アランとその仲間たちと和解をした我は、今度は人間の国を支配している王様と和解することになった。

 アランが言うには、「大丈夫、俺も口添えするから」とのことなのだが、何しろ交渉相手は国の最高権力者。流石の勇者でも無理じゃない?


 不安と期待で、情緒不安定になりそうなのを耐えながら、ユーシャ城下町にある城へと向かう。



「さあ、城についた。マオさん、そんなに緊張しないで」

「あ、あ、あ、あい」



 もう緊張しすぎて、右手と右足、左手と左足が同時に動き始めた。カタカタと動くマリオネットのようだ。



「俺たちもついているから、大丈夫だ」



 オルガが背中をバンと叩く。



「そうよ。私たちだっているんだからね」



 ソフィアとメリンダが、左右から両肩に手を添える。


 マリアさんが、我の前に回り込み、こちらを見ながら後ろ歩きをする。そして、我の両手を持ち上げて握りしめる。



「私もマオさんが殺されないように、お願いをしますから」



 そんなマリアさんの一言で、今までの流れが台無しになる。



(なに? なに? 我は殺されるかもしれないの!?)



 これから死刑執行される囚人の気分になってきた。重い足取りで、とうとう王の間に辿り着いた。

 アランがドアの両サイドにいる衛兵に声をかける。



「勇者アランだが、王とお話したいことがあります」

「はっ! 勇者アラン様がいらしたら、お通しするように言われています。どうぞ」



 そう言うと、衛兵は両開きのドアを同時に開いた。この先が天国なのか地獄なのか。いや、どっちも死んでるじゃん!


 真っ先に飛び込んできたのは赤い絨毯。それは奥まで続いていき、玉座まで伸びている。そして、その玉座に座る初老で貫禄のある人物。

 その人物に、我らは近づいていく。



「おお、勇者アラン。よくぞ参った。魔王は討伐してくれたか?」

「……いえ、魔王が和解を望んでいるので、そのことをご報告に来ました」



 王様は目を見開き、勢いよく立ち上がる。



「……和解だと? 散々、人間を襲っていた魔族どもが!」

「……魔王の意志に背いた部下たちの仕業と聞いております」

「そなたはそんな虚言を信じるのか?」

「こちらに、魔王ビビマオールがおります」

「なんだと!?」



 勇者アランは、こちらを向き合図をしてきた。

 我はその合図に従い、王様の前に出る。



「わ、わ、わ、我が魔王ビビマオールだ」



 そう言うと、偽装スキルと変身スキルを解く。禍々しい角に尻尾、そして翼が現れる。



「わ、わ、わ、私の所に魔王を連れてくるとは! 勇者アランよ! ちゃんと私の身の安全は大丈夫なんだろうな!?」

「はい、大丈夫です。マオさん。いえ、魔王ビビマオールは人に危害を加えないから大丈夫です」



 勇者アランがそう言うと、王様はニヤリと口角を吊り上げる。



「では、魔王ビビマオールが本当に人類に危害を加えないか試してやる」



 冷たさを含む声でそういうと、王様は拳を握りしめて持ち上げた。



(こいつ、殴るつもりだ!)



 我は目をぎゅっとつぶる。痛い思いはしたくないが、これも人間と魔族が共存するためだ! 抵抗せずに我慢するんだ!


 すると、突然、蚊に刺されたような感じがした。



(こんな時に、蚊ごときが邪魔をするんじゃないよ)



 そんなことを思った刹那。悲鳴が城内に響いた。



「うぎゃ~! いて~よ~!」



 そっと目を開けると、王様の方の腕が折れてる。どしたの?


 アランと仲間たちはくすっと笑う。



「これで魔王ビビマオールが無害ということがわかりましたね。王様が殴っても、仕返しをしていませんから。では、これで失礼いたします」

「ま、待て。私の腕が折られたのだぞ!?」

「魔王ビビマオールは何もしていませんよ。殴ったのは王様ですよ?」

「アランよ! 私にたてつく気か!? お前をこの国に入れなくするぞ!」


 王様は、残された方の腕で、アランを指差す。

 だが、アランは笑顔でその答えを返す。


「ええ、いいですよ。この国が魔物に襲われたりしても守らなくて良いのでしたらね」

「ぐっ……」



 王様は、ぎりぎりと歯ぎしりをしながら、こちらを睨みつける。



「では、和解交渉が成立したということでよろしいですね。我々の助けを必要とする人々がまだいるので、失礼いたします」



 アランは颯爽とマントを翻し、王に背中を向けると、出口まで歩いてく。それに他のメンバーも続く。我は王様の方をもう一度見て、ぺこりとお辞儀をしてから、そそくさとアランたちについて行く。


 そして、酒場に向かった。


 一つの長方形のテーブルを取り囲み、エールを手にする。



「魔王ビビマオールの『討伐完了』とマオさんが『正式にパーティ加入』を祝ってかんぱ~い!」

「「「乾杯!」」」



 仲間の温かさに、目が潤んだ。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


これで、完結となります。

作者的には、最後の部分に物足りなさを感じましたが、今の力量では、これが限界でした(汗)。


この作品は、公募に応募するので、受賞して書籍化するといいなぁ~と思っております。


応援や感想を頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読させて頂いています。 完結おめでとうございます。 公募に出されるという事ですので頑張ってください。 最後は勇者カッケーで終わりましたね。 リヴァイアサンが効いたのかな(笑) …
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