第一話
勇者達にお礼の食事会をしようと、魔王城へと招いた。
来客である勇者達を、ダイニングテーブルに座らせ、給仕担当の部下たちに、幹部経由で失礼のないように対応することを指示してある。
「最高のおもてなしをするから、ちょっと料理長と話をして来ますね」とだけ言葉を残し、厨房へと向かった。
厨房のドアを開けると、色々な料理の香り。それと湯気や煙も漂っている。
「みんな! ご苦労様! 料理長、何の料理を出す予定?」
「はい、ビーフシチューをメインとしたコース料理にしようかと考えています」
それを聞いて、我は両腕でバツを作る。
「だめだめだめ! 勇者達には、人間と魔族の共存の為に頑張ってもらうんだから、最高のおもてなしをしないと!」
「はあ……と言いますと?」
「『アレ』だよ! 『アレ』!」
「『アレ』だけでいいんですか?」
「うん、『アレ』なら美味しいし、お腹いっぱいになるまで食べられるしね」
料理長は顎を手で撫でながら考え込んだ。
「う~ん。わかりました! それじゃあ『アレ』にしますから、ちょっと食材を獲ってきますね」
「うん、よろしくね」
我のおもてなし企画が通り、嬉しさのあまり廊下をスキップして戻る。
(これで、勇者も人間との和解に頑張っちゃうだろうね)
自分も席について、勇者達と談笑をして待つ。
メインの食材を獲りに行っている間、ちょっとしたおつまみとワインで時間を潰す。
すると、給仕の者が我の耳元に口を近づけて囁く。
「メイン料理の準備ができあがりました。お運びしてよろしいですか?」
「うん、頼む」
給仕係はドアの外に出る。その後、大勢の給仕係が料理を部屋に運び込んだ。
部屋の片隅で、そのメイン料理を切り分ける。その後、給仕たちは、勇者達や我の目の前に、料理を置いて行った。
「おお~! 美味そう!」
「いい匂いがしますね」
「香ばしさがたまらないですね」
食べる前から好評である。
「それじゃあ、料理も並び終わったし、食べましょうか!」
我がそう言うと、みんな食べ始めた。
みんな、がつがつと食べる。アランとオルガなんて、お替りもしている。
そこそこ食べると、アランに質問をされた。
「これ、美味いですね。初めて食べる感じですが、これって何魚の蒲焼ですか?」
誇らしげに我は答える。
「リヴァイアサンだよ!」
アランとオルガは、盛大に吹き出し、女性三人はむせた。
「ちょ! マオさん! なんて物を食べさせるんですか!」
「え? 最高級の食材だけど?」
「いや! リヴァイアサンは食材じゃなくて神なんだけど!?」
「あ……」
そう言えば、以前そんなことを聞いた気がする。すっかり忘れていた。
「……もう食べちゃったし、知らなかったってことでノーカンにならないかな……?」
「ならないよ! これから人間と和解する予定なのに、人間の神を食べちゃってどうするの?」
我は冷や汗をかきながら、一言呟く。
「きょ、共犯ってことで上手く和解に持ち込んで……」
「「「……」」」
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