第一話
ダンジョンの数多の苦難を乗り越え、やっと抜け出すことができた。
まあ、数多の苦難は、我だけが体験したのかもしれないが……。
「「「ふぅ~」」」
みんなも暗いダンジョンから抜け出せた解放感か、大きく深呼吸をした。
「みんな静かに!」
ソフィアさんが、みんなに聞こえる程度にボリュームを下げて、指差す。
全員が視線をそちらに向けると、巨大なドラゴンが、すやすやと眠っていた。
「魔王との戦いは目前だし、なるべく戦闘は避けて行こう」
アランの提案に、みんなは息を潜めて先に進む。
みんなについて行くとき、コツンとつま先が小石に当たった。
その小石は、地面を跳ねていき、ドラゴンの鼻先に当たった。
ドラゴンは、不快に感じたようで、ぎろりと目を見開く。
(ひぃ~、ごめんなさい! ごめんなさい!)
心の中で、ドラゴンと仲間に謝った。
「ドラゴンが起きたぞ!」
アランの掛け声に、みんなが武器を構える。
我はみんなに見つからないように、岩陰に隠れる。
だが、小石に我の匂いがついていたらしく、ドラゴンは石をぶつけた人物が、我であるということを確信しているようだ。
こちらに向かって襲い掛かってくる。
岩から飛び出して、我は逃亡しようとした。
だが、それより早く、ドラゴンに尻尾で叩かれた。
宙を舞う我。ドラゴンの真上で、逆さまの状態になってしまった。
すると、剣が鞘からすっぽ抜ける。我は慌ててそれを回収しようと握りしめる。
握りしめたまま落下した我の剣は、ドラゴンの心臓にぐさりと刺さった。
「ぐおぉぉぉ~!」
悲鳴をあげて、ドラゴンは暴れる。ぶんぶんと振り回される我。振り落とされないように、しっかとり剣の柄にしがみついた。ドラゴンは命尽きたのか、その場に倒れこんだ。
少しの間、静寂が訪れる。
「マオさん凄いです! 流石は将来の英雄ですね!」
マリアさんが、褒め称える。
それに調子づいて、顔がにやける。
「いや~、それほどでもありますよ」
唖然としていた他のメンバーも、騒ぎ出す。
「マオさん、凄い強い! ドラゴンを一撃で倒してしまうなんて。これなら、魔王ビビマオールも楽に倒せそうですね」
その言葉で、浮かれて上気していた顔が、一瞬にして青ざめる。
(困難な冒険の旅のはずが、サクサク進んじゃってるじゃないか!?)
自分の余生が後どのくらいだろうと、頭の中で計算をした。
いつも読んで頂きありがとうございます。
プロット(設計図)の練りが甘いのか、今回は短くなってしまった気がします(汗)。
まあ、伸びしろです……(言い訳)。
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