第二話
ダンジョンを進んで行くと、大広間に出くわした。
この大広間は、我が出口から逆流したときにも通ったが、その際には、何も起こらなかった。
だが、現在は「ゴゴゴゴ」と振動が発生し、何かが起ころうとしている。
人間だけに反応するのかな?
「強い魔力を感じます! 気を付けて下さい!」
ソフィアが警戒するように指示を出した。
すると、大広間の中心に、黒い魔力が集まっていく。それは人型になり、巨大なゴーレムとなった。
「ゴーレムだ! 気をつけろ!」
「このダンジョンのガーディアンか?」
アランとオルガが声を張り上げて叫ぶ。
そんな緊迫した状態の中、我はと言うと……。
(なんだ。土人形か。このくらい余裕だな)
そんなことを考えていると、ゴーレムが大きな拳を振りぬいた。
メンバーは、散開する。我だけがぼーっとしていたせいで、ゴーレムパンチの直撃を受ける。
「へぶっ!」
吹き飛ばされて、壁に叩きつけられる。壁からずるずると身体が下がる中、自分の馬鹿さ加減に気づいた。
(今の我は、人並みの強さしかなかった!)
人間の姿の実力だと、敵わないので、このまま気絶するフリをすることにした。
すると、大広間内の魔力が上昇していくのを感じ取る。
(なんだ? 新手の魔物か?)
焦りながら薄目を開けて、魔力の上昇原因を確認する。魔力が上昇していたのは、マリアさんとソフィアであった。
「「よくもマオさんを!」」
静かなる怒りで、更に二人の魔力が上昇していく。
「ホーリーハンマー!」
マリアさんがそう叫ぶと、ゴーレムよりも巨大な光のハンマーが、空中に出現した。
「天罰!」
その言葉と共に、ゴーレムに向かって光のハンマーが振り下ろされた。
粉々に砕け散るゴーレム。その破片が、我に向かってめっちゃ飛んできた。
(ぎえ~! 痛い痛い!)
寝たふりがバレないように、必死に我慢する。
目を固く瞑っていると、次はソフィアの声がする。
「メテオ!」
その言葉を合図に、激しい衝撃と、灼熱の炎が我を襲う。
(痛い痛い! 熱い熱い!)
やがて、土煙が収まると、薄目を開けて確認をした。ゴーレムは跡形もなくなっている。どうやら核も破壊したようだ。
恐らく、マリアさんの最初の一撃で倒せていたと思う。ソフィアのメテオは、オーバーキルな気がする。それとも我を狙ったの?
我に駆け寄る足音と共に声が聞こえてくる。
「マオさん! こんなひどい目に遭って……。今、回復魔法をかけますから!」
「うぅ……マ、マリアさん……」
怪我をさせた犯人の片割れが、回復魔法をかけてくれた。
暖かな光に包まれながら、もう片方の犯人に視線を向ける。
すると、心の底から喜んでいるような飛び切りの笑顔である。
(あわわわ。石化中に胸を触ったことを怒っているんだ!)
悪寒を感じて、目を背ける。
この時は、『我が助かったということを喜んでいる』とは、思いもしなかった。
アランは、治療を終えたことを確認すると、気合の入った声で叫ぶ。
「よし! そこの出口の先に、魔王城が見えてきたぞ! ダンジョンを出て、魔王城に乗り込むぞ!」
「「「おお!」」」
我以外の無傷の人たちは、元気であった。
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