第二話
翌朝。
窓の外ではチュンチュンと雀が鳴いている。
(一睡もできなかった! マリアさんは、いつのまにか寝てるし!)
そんな我は、恐らく目の下に、睡眠不足による隈ができていることを確信するほどにまぶたが重い。
マリアさんがもぞもぞと動き始めて、のっそりと上体を起こした。
「マオさん、おはようございますって、その隈、どうしたんですか? ひどい顔をしてますよ?」
隈はエロいことを期待していて寝れなかったとは言えない。ひどい顔は余計である。我の顔がひどいみたいではないか。
「い、いえ、魔王との戦いが近づいてきたから、緊張して眠れなかったのかな?」
「そうなんですか。私ったら、ぐっすり寝ちゃったからなんだか恥ずかしいです」
そう言いながら、頬を赤らめるマリアさん。
(そこだよ! そういう思わせぶりな態度だよ! 毎度毎度、誘惑されて期待外れになるわ!)
だが、純粋過ぎるマリアさんを憎めない。自分の心の穢れと比較すると、我には眩しすぎる。
準備を整え、アランとオルガの部屋へと向かう。
「「「おはようございます」」」
全員が集まり、挨拶をした。
「それじゃあ、早速、ウーミ港町に向かいましょうか!」
「「「打倒魔王! おお!」」」
みんなが威勢よく手を挙げる中、我だけが小さく手を挙げた。
幌の無い馬車を借り、街を旅立とうとする。すると、町民がわらわらと集まってきた。
辺りはお見送りの町民で、ごった返した。またパレードか……。
「魔王を倒して来て下さいね!」
そんな歓声が、あちらこちらから飛んでくる。
「きゃ~、勇者アランさん、かっこいい!」
「オルガさん! 頼りになりそう!」
「ソフィアさん、美人!」
「メリンダの姉御~、俺たちもついて行きたかったです!」
「マリアさんは、まさに聖女!」
パーティメンバーの名前が次々とあがり、褒め称えられる。我は?
そこでふと気づく。
(我は情報収集をしていないから、名が知られていないのか? いや、名前を知られない方が、我にとっては好都合なのか?)
そんな中、オルガが呟く。
「マオさんだけ名前が上がらないな?」
「マオさんが勇者パーティってことを、知らないからかな?」
メリンダも不思議に思っているようだ。
我は、情報収集をしなかったことがバレないかとハラハラした。
それにしてもハブられた感じがやるせない。俯いていると、手首をガシッと握られた。
何事かと思い、その相手に視線を向ける。マリアさんである。
マリアさんは、我の手首を掴んだまま、その手を上に掲げる。
「この方は、マオさんです! 魔王を倒して、英雄となって帰ってきます!」
そう大声で叫ぶと、町民たちはより一層、歓声の声を上げる。
「英雄マオ! 魔王をぶっ倒して来てくれ!」
(また、このパターンか!)
またしても、我の上がってはいけない知名度が、急上昇した。
いつも読んで頂きありがとうございます。
ここの部分は、作者的に物足りなさを感じる(汗)。
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