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ビビり魔王、冒険者になる  作者: 藤谷 葵
初稿(第三章)

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第四話

 しばらく歩くと、馬車が数台、遠目に見える。



「ん~? なんだろう? あんなところで馬車が停まっている。商隊の馬車が休憩でもしているのかな?」

「とりあえず、馬車の方に向かってみよう。空いている場所があれば、乗せて貰えるかもしれない」



 勇者がそう言うと、我に視線を向ける。その視線に釣られて、他のパーティメンバーも視線を我に向ける。

 我はと言うと、ぜぇ~ぜぇ~と激しく呼吸を整えようとしている真っ最中である。


 全員が視線を馬車に戻すと、再び歩き始めた。



「待て! 何か様子がおかしくないか?」



 勇者は突然、手を横に伸ばし、メンバーを制止させる。



「メリンダ。ちょっと確認してくれ」



 メリンダは双眼鏡を手にして覗き込む。



「馬車が盗賊らしき者達に襲われているよ!」

「助けるぞ!」



 全員が、馬車へと向かい走り出す。いや、我以外。

 我は体力が底を尽きていて走れない。

 仕方がないので、歩いていく。

 やっと追い付き、状況を確認する。

 すると、メリンダが言っていたように、盗賊、つまり人間である。



(人間が相手なら戦える! いや、我は平和主義だから殺しはしないけどね)



 そう思った我は、マリアさんにカッコいいところを見せようと、アダマンタイト製の剣をすらりと抜く。

 そこへ勇者からの指示が出る。



「マオさんは、馬車と乗客を守って下さい!」

「あ、はい」



 我は、馬車と乗客を背にし、盗賊を威嚇するように剣を向ける。だが、勇者達も戦いながらこちらに来ないようにしているので、我は何もすることがない。

 しばらくすると、盗賊は武器を投げ捨て、降参した。

 こうして、我の出番はなくなった。


 盗賊は捕縛され、ロープでぐるぐる巻きになっている。



(下っ端と遭遇した時もこんな感じだったらよかったのにな~)



 そんな顔バレ防止の願望を思っていると、勇者が交渉している。

 助けた相手を見ると、やはり商隊らしい。



「助けて頂きありがとうございます」

「いや、勇者として当然のことをしたまでです。それよりも馬車に空きがあれば、次の街まで乗せて行ってもらえると助かるのですが」

「ええ、いいですとも。むしろ大歓迎ですよ。勇者様に護衛をして頂けるなんて。仕入れたものを売り払った後ですから、馬車は空いてますよ!」

「それはよかった。では、よろしくお願いします」



 交渉が成立したようだ。他のメンバーも「よろしくお願いします」と喜んでお願いをしている。

 我も小声で「よろしくお願いします」と呟くが、誰の耳にも届かなかった。


 早速、我々は馬車に乗り込もうとする。我は戦闘をしていなかったので、遠慮気味に最後に乗り込もうとする。

 すると、商隊のリーダーらしき人物が、指示をしてくる。



「この馬車には、五人しか乗れないよ。だから、悪いけど一人はあっちの馬車に乗ってくれ」



 指差された馬車を見つめる。



(仕方がない。魔王が人間の指示に従うのも癪だが、我も大人だから素直に応じますか)



 一人寂しく馬車に向かい、後ろから乗り込もうとする。

 すると、多数の殺気を感じる。

 集まる視線の先に目をやると、先ほど勇者達が捕縛した盗賊たちが、鋭く目を光らせ、我を睨みつける。



(ひいぃぃぃ~! 我はお前らに何もしてないよ~)



 我は前世で何か悪行でも働きましたか? と、存在するかも分からない神に、心の中で問いただした。

いつも読んで頂きありがとうございます。


感想や応援をお待ちしております。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読させて頂いています。 よく歩けたなぁ〜と褒めてやりたい(笑)  そう思った我は、マリアさんにカッコいいところを見せようと、アダマンタイト製の剣をすらりと抜く。  そこへ勇者からの指…
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