星のバス
最終バスに乗った
誰もいない、がらんどうの車内は
エンジン音だけが聴こえる
空いている座席に座ると
バスは直ぐに発車して
県道の夜道を走行した
後ろの高い座席からは車内がよく見えた
木の古びた床に、白い吊革と持ち手
濃紺に、臙脂色のシートがある
窓の外には寒そうな道に街路樹が並び、畑と農道と、遠くの家の明かりが見え隠れしていた
考え事をしたり、ネット小説をタップしたりしているうちに、足元から暖かい風が出ていてぽかぽかとしてきたせいか、うとうとしてきた
ほっとしたのかもしれない
背もたれの心地良い揺れに身を委ねているうちに
気がついたら眠っていた
起きて窓を見たら
星空しかなかった
宇宙だった
運転席のある窓の向こうには
星雲が青く輝いていて
運転士さんの影が淡く照らされて
座席も床もみな、青く光るようだった
青い空間だ
夢だろうと思いながら
自分まで、青くなれる気がした
窓の外には今
銀河を横から見ているみたいで
とても大きな天の川があって
端から端まで
無数の青白い星あかり
淡く、光っている
瞬かないのは、風がないから
どこに流れていくのだろう
星のバスに乗って
どこまでも、行こうか
『星になりたい』というタイトルのアートな本を読んで。