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空に浮かぶ七夜インコ
ある雨上がりの真夏の日
天上から虹が降りていく
虹の滑り台を降り立ったあたりには
白砂の湾がある
「明日の虹を見せてあげるよ」
天使はそう言って笑った
無邪気な笑顔だった
きみが見たければ、見せてあげるよ?
見たいと言った瞬間、軽いめまいがして、瞬間的に目ををつむると
次に開いたときには知らない風景が広がっていた
「見て! あれが、虹だよ。
希望の虹だ」
見上げれば
巨大な七色のインコが空を覆うように
こちらを見ていた
目が、太陽の大きさで
好奇心をのぞかせて
きょろきょろ見ていた
「虹色の、鳥だ……」
その場に連れてこられた誰もが驚いて
つぶやくことしかできない
インコは首を傾げると、
クー? とひと鳴きしてから
太陽の方角に向かって飛んでいった
バッサバッサと風を生みながら
後には雄大な海に輝く
太陽の光のサン・ロードと
照らされた草木の枝や葉が
風になびていく音を残して




