面倒なやつに絡まれた!
とりあえず二話目です
コトラの案内で近くの町にやってきた。
「なぁ、ここって物を売れる所ってあるか?
持ち物を整理したいんだけど」
洞窟であった人さらい達から剥いだ物を処分したい
「それなら今から行くとこだから一緒に行こ」
コトラについて行った先はそこそこ大きい建物
「ここは?」
「冒険者ギルドだよ、で隣が買取もしてくれる店
一応ギルドの中にも買い取りカウンターがあるけど」
「じゃ俺は買取りしてもらってくる」
「じゃ私は依頼受けてくるね
お宝が空振りだった分稼がないと」
コトラがギルドに入って行ったので
俺は隣の店に入った
中は武器防具の他に雑貨類も売られている
「すみませーん」
「いらっしゃい!」
出てきたのはスキンヘッドの
マッチョなおじさん
「買取りお願いします」
俺はそう言ってストレージからモノを取り出した
「仲間の形見ですけど………」
「売っていいのか?」
「全部売るわけじゃないので」
まあ形見ってのは嘘だし
店員は置いたものを鑑定し始めた
「ほぉどれも状態がいいな」
査定額を上げるために
リビルドスキルで綺麗にしておいたからな
「全部で15000ルードこんなもんだな」
買取りの代金がカウンターに並べられた
でも高いのかどうかわからないな
「それでいいです」
ストレージからお金を入れてる袋を出し
買取のお金をそこに入れる
「それと投げナイフってありますか?」
「もちろんあるぞ何本いるんだ?」
「1本ください」
「1本!?投げナイフは回収出来ない事が多いから
普通は数十本単位で買うもんだぞ」
「練習用なので」
「ならいいけどよ100ルードだ」
投げナイフを買って店を出ると
コトラが待っていた。
「買取り終わった?」
「今終わったとこ」
「じゃあさ依頼手伝ってよ」
そう言うコトラの手には沢山の依頼書
「それ全部受けたの?」
「大丈夫、全部植物の採取依頼だから
討伐依頼と比べて危険もそれほどないし」
「少しは危険なのかよ」
しかしあの量を1人でやるのは確かにしんどそうだ
「わかった手伝うよ」
「そうこなくっちゃ、じゃ行きましょ」
町の外へ向かう途中投げナイフを再構築し
スキル精製の項目をチェック
(思った通り、《投擲術》が出た!)
投げた物の飛距離と威力
そして命中精度が上がるスキル
これが欲しかったんだ
《投擲術》を獲得
やってきたのは近くの森
「じゃリョウスケはこっちのお願い」
渡された依頼書は全部同じ種類の薬草の採取
「私はあっちの方探してくるから」
コトラはさっさと行ってしまった
「さてどうするかな」
この森の中から薬草を探すのは骨だ
一気にここら一帯を調べられれば
「ああ、そういや出来たなそれ」
地面に手を置き周囲の地面と草木を解析
その範囲を徐々に広げていく、
思った通りさまざまな情報が流れ込んでくる
「うっ、なんか、つらくなってきた」
どうやら大量に解析したため
脳にかなりの負荷がかかったらしい。
「とりあえずこれでいいや」
これ以上は頭がどうにかなりそうだ
《索敵》を獲得
《マッピング》を獲得
「おっ!役に立つスキルが手に入ったな」
《マッピング》でマップを呼び出した
「おおっ3Dマップ、
しかも今向いてる方向まで表示されるのか」
マップに薬草の群生地が表示されている、
早速行ってみると沢山の薬草が生えていた、
解析すると依頼の薬草に間違いない。
「よし、これで依頼の分は揃ったな」
数を確認し依頼書ごとストレージに収める
ガサッガサガサ
なにか来る!?《索敵》で辺りを探ると
柴犬より大きいサイズの生き物が
こっちに向かってくる!
生き物が通る場所から離れ身構える。
「来るっ!」バッ!
飛び出してきた影、その姿を見ると
子供なら背中に乗れそうな大型犬サイズの狼
《サンダーウルフ:イカヅチのようなスピードで
獲物を襲う、群れで連携をとって攻撃する》
群れって1頭しかいないけど…はぐれってやつか?
こちらに向かって突っ込んできた
サンダーウルフの攻撃をかわし
大きめの石を拾い投げつける!
ドゴッ!こっちに向き直った
サンダーウルフの頭に命中!
地面に倒れて動かなくなる
投擲術スキルがあれば石でもこの通りだ
ガサガサガサッまた魔物か?
「ああっ!なんてことすんのよ!」
出てきたのは赤髪の少女
「それはあたしが受けた依頼のターゲットよ!
それを横取りするなんて!」
「横取りなんてする気ないよ
襲ってきたから倒しただけだ」
「そいつはあたしが倒すはずだったの!
それをアンタが横取りしたのよ!」
抵抗せずに殺されろとでも言うのか?そんな理不尽な
「それは悪かったよ、でも死んだものは戻せないし
依頼は完了したんだから
今回は運が悪かったと思ってさ諦めてよ」
彼女はまだ納得出来てないようだったが
サンダーウルフの死体を拾うと去っていった
「やれやれ……後は…」
さっき投げた石を拾いスキル精製した
《ロックメイカー》を獲得
これで投げる物には困らないな
コトラと別れた場所に戻ると
「どお?薬草集まった?」コトラが戻ってきた
「ああ何とかねそっちは?」
「残り1つだけど、これはここには無いから明日ね」
ストレージから薬草と依頼書を出し
コトラに渡すと町へ戻った。
依頼達成の報告を済ませひとまず別行動、
「夕方の鐘が鳴ったらここに集合しましょ」
後で合流して食事の後
宿に案内してもらうことになった
町を適当にぶらついてると
「見つけた!さっきはよくも!」
…………さっきの赤髪女とエンカウントしてしまった
「アンタ、あたしと勝負しなさい!」
「やだよ、なんでそんなこと」
「あのサンダーウルフの代わりに
アンタを倒すのよ!」
無茶苦茶だ、ここは逃げるが勝ち!
背を向けてダッシュ!
「ああっ!待ちなさいよ!」
早い!すぐに追いつかれそうだ
俺はとっさに地面に伏せて背中を丸める
「え!ちょっ!」
彼女は俺につまづき盛大にすっ転ぶ
『狸退き』成功!
アニメで見た忍者の逃走法のひとつだ
彼女が起き上がる前に今来た方向へ逃げる
「このぉ!まちなさい!」
あまり距離を稼げてない……だったら!
角を曲がってすぐに壁に張り付く
「待ちなさーい!」
壁が死角になり目の前を素通りしていく
『肩違え退き』これも忍者の逃走法の1つ
気づかれる前に来た方向に戻る
早くどこかに隠れ………
「あー!いたっ!」見つかった……
また鬼ごっこ
町外れの方まで何とか逃げてきた
(池か…ダメ元でやってみるかな)
近くにあった両手で抱えるくらいの
大きい石を持ち上げ池に投げ込む
バシャーーン!
物陰に隠れるとアイツが駆けつけた
「まさか池の中に逃げたの?」
様子をうかがっていると
「逃がさないわよ!」ドボン!
飛び込んだ!?
まさかそう来るとは思わなかった…
とりあえず今のうちに逃げよう
コトラと合流するためギルド前に戻って来ると
隣にもう1人……赤髪のずぶ濡れのアイツが
「なんでこいつがここにいる!?
ていうかいつの間に追い越したんだよ!」
「リョウスケを探してるって言うから
ここに来るって教えたんだけど」
余計なことを………
「でさ、話聞いたんだけど
勝負の方法私が決めていい?」
「何でお前が決めるんだよ」
「公平でいいじゃんそれに」
「それに?」
「面白そうだから」
「そっちが本音だろ!」
「あたしはそれでいいわよ」
「じゃあ俺が勝ったら、もうつきまとうなよ」
「いいわよ、でもあたしが勝ったら
アンタはあたしの下僕あたしのいいなりよ」
「わかった、そういやお前の名前は?」
「リリアよ、んじゃ…はくしゅん!
明日逃げんじゃないわよ!」
リリアが立ち去るのを見ていると
「大丈夫?あの子【魔人】だよ?」
「【魔人】?」
「魔族と人間のハーフ!
あの子、左が緑の眼だったもん」
コトラによると魔族と人間のハーフには
以下の四つのパターンがあるとかで。
1:完全に魔族(両目が緑)
2:完全に人間(見た目で判断不可)
3:人間の体の魔族【人魔】
魔力特化の体質
4:魔族の体の人間【魔人】
身体能力特化の体質
人魔は右眼、魔人は左眼が緑のオッドアイで
リリアは左眼が緑なので【魔人】らしい
「つまり体力バカってこと?」
リリアはどう見ても頭を使うタイプには見えないし
「体力勝負じゃ不利だよね
そういえばリョウスケって冒険者?」
「違うけど」
失職したばかりの求職者です
「だったら冒険者になって
私とパーティー組まない?」
「冒険者か……」
「ひとりじゃ危ないのは身に染みたし
一緒にやってくれると助かるな」
まあいっか、どうせあてのない旅だ
「いいよ組もう」
早速ギルドで冒険者登録
職業は魔剣士、刀も魔法も使えるし。
「ではこれがギルドカードです
カードにはギルドの魔法印そして
あなたの魔力が記録されていて
どこのギルドでも身分証明書として使用できます」
「つまり本人しか使えないと」
「はい、魔力印は複製不可、魔力記録も
上書き不可ですから」
「これからよろしくね♪」
コトラが笑顔で差し出してきた手を
握り返した。
翌日
昨日買った水や食料を確認し、
一通り準備を済ませた俺達は
岩山の洞窟の前に来ていた。
「いい?この山の頂上の洞窟に生えている
この草を手に入れてきた方の勝ちよ」
「………!これって」
コトラが見せた依頼書に描かれた絵と
名前に覚えがあった。
「オッケー!んじゃスタート!」
どひゅん!あっという間にリリアの姿が消えた
「アイツ!合図も無しに!」
と、まずは慌てずに
《マッピング》で岩山の洞窟の地図をゲット
アリの巣みたいに縦横無尽に
洞窟が広がっていた。
「後は他になにか……」
ひゅおおお…
(風…そうだ!)
風を再構築してスキル精製
《ウィンドウェア》を獲得
風を操るスキルだ
スキルで前方の空気を後方に流し一点に集め放出
一気に走行スピードアップ!。
「よし!これならアイツにも負けない!」
最短ルートをめざして走っていると
リリアが魔物に囲まれていた
あれは……オークか?
「たあっ!」スバッ!リリアは右のオークを殴り倒し
「ていっ!」左のオークを蹴り飛ばす!
蹴られたオークが大砲の玉のように吹っ飛んだ
あれが魔人の身体能力ってやつか
よく見ると手には金属製の
グローブの様なものを装備している
近接戦が得意なのかな?
ってまだオーク残ってるし
リョウスケはさらに加速しラ〇ダーキックよろしく
飛び蹴りを進路上のオークにくらわせる!
ドゴッ!オークが吹っ飛んで動かなくなった
「んじゃお先~」
「ああっ!」
リリアは他のオークが邪魔で進めない
しかしすぐに突破してくるだろう
その間になるべく距離を離す!
勝負もだけどアイツがあの事を知らなかったら
アイツにアレを取らせるのは危ない!
進んだ先の分かれ道を左へ曲がり
進んだ先は行き止まり、
いや吹き抜けになっている
風の噴射でバランスを取りながら
壁を三角蹴りで登り3つ目の横穴に飛び込んだ
「よしこれでかなり引き離せたな
後は、えっとこっちか」
《マッピング》でルートを確認
頂上まであと3フロアくらいか
くらいというのは、ここは自然の洞窟なので
明確に階層になっていない、
なのでおおよそで3フロアくらいなのだ、
「ふぅ、やっと着いたか」
ようやく洞窟を出て《ウィンドウエア》を解除
マップではこの岩壁で狭くなっている先に
目的の洞窟があるはずだ。
「よっと!、やっと着いたぁ!」
洞窟の出口からではなく
崖になっている所からリリアが顔を出した
「まさか外をよじ登って来たのかよ!?」
「3階あたりで外に出られる穴見つけたから
ショートカットしてきたのよ」
確かに外から行けば直線ルートだけど、
90°近い斜面をこんなに早く登ってこれるとは
さすが体力バ……もとい魔人だ。
「目的地はこの先ね!」
リリアがダッシュ!
リョウスケも慌てて後を追う
しかし岩壁の間を抜けた先には。
「サ・サンダーウルフ…こんなに
昨日の群れより多いじゃない……」
広場のように開けた場所にサンダーウルフの大群
数はざっと見30頭ほど
肉食獣の群れにしては確かに多すぎる。
(ん?なんだ?あの一番奥にいるやつ
あいつだけ毛の色が違う)
《コマンダーウルフ:優れた統率力を持つ
サンダーウルフの上位種、複数の群れを統合し
大きな群れを形成する》
だったらあいつを倒せば混乱が起きるかも
「《ファイアショット》!」
コマンダーウルフに命中するかと思った時
近くにいた1頭が自ら盾になり
コマンダーウルフを守った!
やっぱりダメか………
「何?あんな奥狙って」
「ほら、奥にいる色違い、アイツは上位種で
この群れのボスらしい」
「だったら話が早いわ!」
言うが早いかリリアはサンダーウルフ達を飛び越え
大将首を狙いに行く、
しかしサンダーウルフ達もただ見ている訳がなく
空中で捕まり引っ張り落とされるリリア。
「んぎゃぁぁぁぁっ!ちょっ!やめっ!やめて!」
《ウィンドウエア》を再発動し
リリアのいる、いや襲われてる所まで大ジャンプ、
「なにやってんだよ」
「な・なかなかやるじゃないの
ここからは本気よ!」
うそこけ
しかし囲まれてしまったどうしよう…
どうやってこいつら片付けようか…