リビルドって何ですか?
異世界転生!?
授かった力はほぼ万能だった
俺榊涼介は
気づいたら見知らぬ場所にいた、
見渡す限りカラフルな何も無い空間
何でこんな所に?
就職でブラック企業に当たってしまい、
それから30代になるまで
休みは月1日サービス残業どころか泊まりが当たり前
休憩は食事と仮眠の間だけという環境
もはやさえないおっさんと言うより
ただのBOTと言ってもいいだろう
何日かぶりに家に帰りコンビニで買ってきた
弁当を食べて眠りについた、そこまでは覚えている、
……これは夢か…夢でいいから人生やり直したい…
「出来ますよ」
「え?誰だ!?」
目の前に現れたのは3~40代くらいの男性
「私は貴方たちの言う所の神様です」
「ファ〇マの制服着た神様がいるか!」
「担当が急用で休みまして
バイト中に代役に駆り出されたので」
「神もバイトするのかよ」
「神にも生活があるんですよ、それより
貴方は過労死で既に他界しています」
他界……?死んだ?……そんな……
「た…確かに意識はもうろうとしてたけど
そんなのはよくあるしそんな………」
「それは普通じゃありませんよ、
おそらく体に限界が来ていたんでしょうね」
「本当に死んだのか…」
「しかし、ラッキーですね、貴方に別の世界で
人生をやり直せる権利を与えられました!」
……………………
「それって異世界転生ってやつ?」
「はいそうです、もちろん辞退して
あの世に行く道もありますけど」
「いや、行く!行くよ異世界!」
異世界転生つまり生き返りも同然!
この状況であの世行きを選ぶ訳が無い
「ありがとうございます
では特別なスキルを1つお選びください」
「そのカッコでそういう言い方されると
まじでコンビニみたいだな」
俺を取り囲むように光の玉が表れ
時計回りに回り始めた。
「さあ光の玉に触ってください」
「ルーレットかよ」
そう言いつつ手を伸ばし光の玉に触れると
光の玉は1つを残して全て消え、
残った光の玉が俺の体に入ってきた
すると目の前にウィンドウが表れ
ゲームのステータス画面のようなものが
映し出された。
『獲得スキル:リビルド
対象を解析・分解・再構築出来ます』
「作り直せるスキルか」
「では試しに自分自身を再構築してみては?」
「自分自身を……?」
確かに人生やり直すなら若い体の方がいいな
使い方は既に頭に入っていた、
胸に手を当て心の中でリビルド発動と念じると
頭の中にPCの画面のような物が浮かんだ
画面にはゲームのキャラメイク画面のような映像
その画面を操作してキャラを変化させる。
「えっと歳は17かな、背は170…いや175で
体型は標準的、あとは顔…目鼻立ちの整った
愛嬌のある顔がいいかな
え?性別も選べるのか?……男のままでいいか」
実行を押すと体がみるみる変化し
設定した姿に変わった!
服もファンタジーRPGの駆け出し冒険者みたいな
服に変わった、ただ武器は無いが
「おお」
「後、オマケでストレージをおつけします」
ストレージ:異空間に物を収納出来る
ストレージに入れたものは劣化しない
「では異世界ライフ満喫してくださいね」
「言われるまでもない」
すると周りの景色が白くなり
しばらくすると森の中にいた
ここが異世界か、
「よーし!今日からはもう自由!
あんな奴隷みたいな生活しなくていいんだ!」
もうあんな怒鳴り散らすだけしかの能がない上司も
いつまでも減らない仕事の山も
寝落ちしただけでぶっ叩かれる地獄も
病気しても休日でも出社させられる悪夢も
もう過去のもの!これからは自由だ!
命と引き換えだけどなんて開放感!
「体も若返って体も軽いし
さっさと街へでも行こうっと」
しかしどっちに行けば森から出られるのか
わかるはずもなく彷徨い続け………
「腹減ってきたな
なんか食えるものは…おっ!キノコ」
しかし見たことの無いキノコだ食えるのか?
「そっか、スキルで調べれば…」
キノコを解析
《トリカ茸: 毒あり、食べると下痢・嘔吐》
「だったらキノコを分解して
毒を分離してそれぞれ再構築」
無毒化したキノコを食べ
固形物化した毒はポケットに、
「結構美味いな、焼いて醤油でもかければ
もっと美味いかも、…無い物ねだりしても仕方ないか
同じキノコを探して毒集めとこうかな」
護身用にはなるかも
ドドドドド…
「何だ?」
音のする方を見ると
牛のようなモンスターが突進してくる!
「なんだ?!アレは!」
《レイジングバッファロー
強靱な脚力で突っ込み大きな角で敵を串刺しにする》
「って解析してる場合じゃない!」
慌てて逃げ出すがスピードが違う
追いつかれるのは時間の問題、
横に逃げればいいのだが
不思議とその考えは浮かばない、
行く手に大きな岩を発見
「そうだ!」
岩のこちら側の面を大きなトゲトゲの壁に再構築
そして岩の近くまで何とか逃げ切ると
右に曲がりストップ!
そして足元の土を1m程分解
タイミングをみて魔物の下腹部あたりを狙い
魔物の体の下に土を柱の形に再構築!
魔物は体の後ろ半分を跳ね上げられ、
突進の勢いそのまま
背中から岩のトゲの壁に突き刺さり動かなくなった
「や・やったぁ!」
モンスターを倒せた!このスキル使える!
魔物の肉以外を分解して体外で再構築、
「うっ…内臓は地下深くに再構築しとこう」
石をさらに硬くして包丁に再構築して
肉を部位とか気にせず食べやすい大きさに切る
ちょっと切りにくくて疲れた…
「後は火が欲しいけど………
あっ!あれが出来るかも」
薪を集めてきて
陽の光を分解し熱エネルギーを圧縮
再構築したもので薪に着火して肉を焼く
虫眼鏡で紙を焼く実験の応用だ。
「岩塩とか辛味のある植物とか無いかな」
調味料を作りたいんだけど
あいにくこの辺りに使えるものは無かった
「おおっ前世で食べてた肉とは比べ物にならない!
これはかなり上等な肉だな」
食べきれないので残りをストレージに入れる
先に進むと洞窟があった
洞窟の前に道がある、ここを通れば
森から出られるだろうが洞窟の中が気になる
束ねた枯れ枝にさっきの要領で火をつけ
入ってみることにした
RPGでも行けるとこには
全部行ってみたくなる性分なのだ
ガン!「あたっ」
奥まで来た時足元に何かが当たった
「岩とはなんか違うような..…うわっ!」
皮の鎧を着た人間の白骨死体、
冒険者だろうか、落ちていた剣を手に取る
「この剣、貰っておこうかな……ってサビてる…
まあ死体が白骨化するまで放置されてたんだもんな」
剣を分解、サビを塊に再構築して
…いや待てよ、確かサビって
金属と酸素が結びついたものだったよな
なら金属と酸素を分離すれば…
狙い通り剣がピカピカになった、まるで新品だ
「でもこのまま使うには重いな、軽くしよう
どうせなら好みにカスタムするか」
解析すると刀身は鋼らしい
鋼を玉鋼に再構築…と思ったらエラーが出た
《素材が足りません炭素を用意してください》
玉鋼は炭素を含んだ鋼、このままでは再構築出来ない
「材料が足りないと再構築出来ないか、当然だけど」
炭素…炭か何か燃やすものは…っと
この鎧、革製みたいだけど燃えるかな?
解析してみるとこの鎧
木の鎧になめし革を貼ったものらしい
だったら皮と木に分解して木を3分の2程残し
松明から枝三本を取って
そこについてる火を熱エネルギーに再構築して
木と酸素と熱エネルギーを
組み合わせて木の有機物を変化
要するに炭化させる、これで炭素はOK
「では、あらためて鋼を玉鋼に再構築」
鋼に炭素を1.5%混ぜて再構築
今度は成功、これで日本刀を作る
玉鋼を半分にわけ片方の炭素含有量を1%に減らす
硬い玉鋼と柔らかい玉鋼が出来た
それぞれを二つに分け
柔らかい玉鋼で心鉄を2本作り
かしわもちの葉っぱみたいに
心鉄を硬い玉鋼で覆う
刃を作り刃紋を入れる
テレビで見た刀の刃紋こんな感じだったかな?
そしてさっき残した木材でつばと柄を作り
剣をその約半分の長さの日本刀2振りに再構築完了
鞘もそれに合うように2振り分再構築
「これぐらいの重さなら使えそうだな」
刀を一振ストレージに入れ
奥に進もうと思ったら火が消えそうになってきた
戻るにも途中で火が消えたら危険
「何か方法は…」
試しに火を再構築してみると
「スキル精製?コレを元にスキルを作れるのか?」
候補は《ファイアショット》と《ライト》
そこで火を《ファイアショット》に再構築し
火が消えた枯れ枝にファイアショットで着火
その火を明かりを作るスキル
《ライト》に再構築、早速使ってみる
「おお、さっきより明るい、そうだこの刀も」
再構築をかけるとさっきは気づかなかったけど、
スキル精製の項目があった
刀をスキル《刀剣術》に再構築
「これでよし」
刀が無くなったので
さっきストレージに入れた刀を取り出し
洞窟をさらに奥へ
キキィー!
奥からコウモリののような魔物が飛びかかってきた
「やあっ!」ズバババッ!
あっという間に切り倒した
「ふぅ、刀剣術作ってよかった」
剣術素人じゃこうは行かないもんな、
そろそろ1番奥かなと思ってたら光が見える
ここってトンネルだったのか?
「おおー」
穴の先にあったのは広い空間
ドーム何個分だろう…何個分と言われても
ドーム行ったこと無いからピンとこないけどな!
解析してみると辺りに生えているコケが
発光しているおかげで明るいらしい。
「なんかワクワクしてきた」
さっそく突入
あちこちに穴は空いてるけど
どこもそんなに深くない
「誰か……いるの……?」
声のする方へ行ってみると
女の子が倒れていた、服装からすると冒険者か
栗色のロングヘア、切れ長の目、端正な顔立ち
歳は(今の姿と)同じくらいか?
「大丈夫…ではないか」
「落盤が起きて足を挟まれたのよ
1人だったから来てくれて助かったわ」
「ソロじゃ危険だよ」
「あなたも1人じゃない、それもそんな軽装で」
それを言われると返す言葉が無い。
「しかし挟まれたのが
足で良かったな頭だったら一発アウトだ」
岩は1人で動かせる程小さくない
かと言って小さくしたくても刀で切れるかどうか
岩を再構築すれば簡単だけど
その後の言い訳が大変そうだ。
「なにか使えそうなものは……あっ」
ポケットに入れてた
キノコの毒を取り出し再構築してスキル精製、
何度かこのスキルを使ってわかったことがある
素材さえあれば作るものはかなり自由に出来る
毒の種類を色々変えられるように再構築
スキル《ポイズンメイカー》を獲得
腐食の効果のある毒を作り岩を溶かし小さく切る、
「よっ…と」ゴトン!
「ありがと助かっ…あれ?…足の感覚が無い?」
見ると足が変な方向に曲がっている
「ちょっと見せてみて治せるから」
自分の体だって再構築出来たんだ
足くらい治せるはず
彼女の足を解析、怪我の状態を確認
《骨折及び血管損傷・筋肉・神経の断裂多数》
一気に再構築しようとしたけど、かなり複雑そう
1つずつ片付けていくか、
神経を先に治すと痛みを感じるだろうから
まず足を真っ直ぐにして骨を元通り再構築
続いて血管、血も元通りに再構築して血管内に戻す
後は筋肉→皮膚の順で再構築し
最後に神経を治して無事完了
「終わったよ」
「すごい……全く痛くない、ありがとう」
「とにかく外に出た方がいいよ」
「なに言ってんの!?」
彼女は洞窟の奥を指さし
「ここまで来てお宝を手に入れずに
おめおめ帰ったら私の矜恃に反するわ!」
「でも1人じゃ危ないって!
そもそもなんで1人で来たんだよ」
「どこのパーティにも断られたのよ!
そつだ!あなたも一緒にきなさいよ」
「えぇっ!?」
「あなたもお宝目当てなんでしょ?
なら手を組もうじゃない」
お宝のことは今聞いたばかりだけど
1人で進ませるわけにも行かないな
「わかったよ行こう、俺はリョウスケよろしく」
「そう来なくっちゃ!私はコトラよ……ところで
食べ物持ってない?携帯食全部食べちゃって」
「焼いた肉で良ければ、味付け無しだけど」
ストレージからレイジングバッファローの焼肉を出し
渡すとカトラはそれを次々胃に収めていく
「ふぅーおなかいっぱい、ごちそうさま」
焼肉3人前位は食ったなよっぽど腹減ってたのか。
現状確認
装備 日本刀
スキル リビルド
刀剣術
ファイアショット
ライト
ポイズンメイカー
(でかいヤツとか来たらやばいかも)
リビルドで分解すれば楽だけどそれは
あくまで最後の最後の最後の手段
全部ワンパンで倒せるとつまらないからな、
RPGの後半のレベリングがつまらないのと同じ
なるべくこの手は封印したい。
奥に向かうと道が複数に別れていた
右に行ったり左に行ったり戻ったり、
遊園地で入った巨大迷路を思い出した
(あの時も散々迷ったな)
もっともあの時と違って
ここは魔物が出るという
ありがたくないおまけ付きだけど。
「にしてもアンタの剣、片刃なんて変わってるわね
それにすごく綺麗」
テレビで見た美術品級の
日本刀をモデルにしたからな。
「これは、刀って言って
俺の国ではこれが普通なんだよ」
「よその国から来たの?」
「まあね、ところで宝って本当にあるのか?」
「街で噂を聞いたの」
それもう誰かに先に取られててもおかしくない
いや高確率で取られてるな、それともただのデマか
その後もあっち行ったりこっち行ったり、
あらかた探索し終え残るは1番奥の部屋のみ。
「あ!宝箱!しかも5つも!」
カトラはこちらが止める間もなく宝箱に駆け寄り、
そのうち1つを開いた
すると突然煙が吹き出しコトラが倒れた。
「おい!どうしたんだ!?」
コトラに近寄ると宝箱から蛇が飛び出し
煙を吐き出す!
すんででかわし抜刀!一瞬で切り捨てる
「ふう…」蛇を解析
《ゲンガスネーク:獲物を眠らせてから捕食します》
ということはコトラは寝てるだけか、
解析すると他の宝箱の中にも同じ魔物がいるようだ。
「おいおいなんだよ、まだ1人残ってるじゃねえか」
部屋の入口(いや出口か)を塞ぐように現れたのは
5人組の男たち
「なんだお前ら宝の横取りか?」
「いや、そもそもそれは俺らが用意したものだしな
俺達が流した噂を信じてここに来た連中を
そのトラップボックスで眠らせ捕まえ
身ぐるみ剥いで奴隷商に売り飛ばすのさ」
男達の1人がご丁寧に企みを解説してくれた
(ろくでもない奴らだな)
「さあて、そろそろ奴隷商が来る、
お前も大人しくしてもらおうか」
俺はおもむろに腐食毒を床にまいた
「うわっ!」
「石が溶けたぞ!」
男達がたじろいだ、脅しは成功
これで時間は稼げるこの間に何か対策を……
戦うのは論外、コトラを守りながら
戦わないとならないのだから分が悪すぎる。
彼等を一気に無力化させるには…
(……さっきの蛇!)
蛇を再構築しスキル精製
《スリープスモーク》を獲得
男達に向かってスリープスモークを全力放出!
「うっなんだこりゃ」
「なんか…眠く…」
部屋を埋め尽くす眠り効果の煙で男達を
全員眠らせた
「ふぅ何とかなったな」
え?なんで俺が平気かって?
毒を持つ生物は自分の毒で死なないように
耐性を持っているもの
だから眠りの煙を使うあの蛇も眠り耐性があるはず
そうでないと自分の能力で自分も寝ちゃって
獲物に逃げられるなんてマヌケなことになるだろ?
予想通りスリープスモークの他に
《眠り耐性》のスキルも一緒に精製出来た
そのおかげで俺には眠りの煙が効かなかったって訳
しばらくして男達が目を覚ますと
「な・なんじゃこりゃ!」
「俺達なんで檻の中に?」
男達は身ぐるみ剥がされた上
自分達が持参したロープで縛られ
馬車に乗せられた檻の中にいた
「あ!おいお前!取引相手を檻に入れるなんて
どういうつもりだ!」
男が檻の外にいる奴隷商に向かって怒鳴ると
「何言っとんだ?わしはお前らの顔など知らんぞ」
「ふざけんな!何度も会ってるだろが!
俺だ!バッシュだ!」
「バッシュ?あの男はそんな顔しとらんぞ」
男達はお互いの顔を見合わせると
全員知らない顔になっていた
「それにバッシュならさっき会ったぞ」
「え?」
一方洞窟の中
「これでよし」自分の顔を元通りに再構築
奴隷商の片棒を担ぐのは嫌だけど
奴らに今までやってきたことのツケを払わせるには
うってつけの方法だ
買取のお金は迷惑料とでも思うことにしよう
「ふわぁぁぁ…あれ?私
なんでこんなとこで寝てんの?」
「罠にかかったんだよ、寝てる間に調べたけど
ここの宝箱は全部トラップだったぞ」
「ハズレか…残念…」
「そろそろ森から出るはずだけど」
洞窟の前の道を歩き森を後にしようとしていた
「私は街に戻るけどあなたは?」
「俺も着いてっていいか?」
「それは構わないけど」
2人は街に向かって歩き出した
街に着いた後のことは着いてから考えよう
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眠り耐性はあくまで眠らせる
スキルや魔法が効かなくなるだけで
普段の睡眠には影響ありません、
そうじゃなかったら
ゲンガスネークも寝不足になってますし。
ちなみにゲンガスネークは
ポケモンのゲンガー
トリカ茸はトリカブトが名前の元ネタです
先がどうなるかはノープラン
ちなみにコトラのアクセントは
ペトラと同じ1文字目を上げる感じです