89.大バビロンの罠・前
死の海からの海底通路をイシスの舟がバリアーを周囲に展開しながら潜行する。鯱型機械武装がイシスの舟の前方で邪魔しようとするが次々にバリアーに押しつぶされる。
その様子を中央制御室の大画面でマリアが見ている。
マリアが座っている席は、七つ全ての|エネルギーポイント≪チャクラ≫を使える能力者でなければ制御できない。
近くにいるのは、海水パンツのミツルとビキニ姿のカオル姫、豹族のパンテラ、雑犬族のユダだ。
パンテラが言う。「最後の下半身は、きっと七頭竜にある。」
マリアが言う。「お願いするわ。」
パンテラが言う。「分かっている。」
パンテラがマリアに何か言おうとしたが、止めてミツルとカオル姫に言う。「行こう。」
ミツルがカオル姫に言う。「さあ、子作り運動ブー。」
カオル姫が顔を赤くして言う。「恥ずかしいブヒ。」
一人残ったユダがマリアに言う。
「私が、先生に言われてしたことは、間違いだったのでしょうか?」
ユダはイエシユアを大祭司たちに渡すようにイエシユアに言われ、そのようにした。その理由は多くの人々の前で奇跡を行い、目撃させる為だ。
しかし、イエシユアの奇跡は神殺しの槍で止められてしまう。あの神殺しの槍さえなければ、多くの人々が奇跡を見ることができたはずだ。
これは闇ミトラ教会がユダヤ民族から取り上げた|神殺しの槍≪ロンギヌス≫を使ってイエシエアの|奇跡≪昇天≫を阻止した為であり、結果的に人々は見る事が出来なかった。
もし、イエシエアの奇跡が多くの人々によって目撃されたらば人々がどう動くか分からない。
しかし、奇跡は、限られた人しか目撃できなかった。
そして人の子は、人々の原罪をあがなうとされ、長十字架に張り付けにされ、封印されてしまう。
マリアが言う。「貴方はなすべき事をなしたのです。」
ユダが聞く。「では、今、私は何をするべきですか?」
マリアが言う。「貴方がなすべき事をするのです。」
ユダは、途方にくれて部屋を出る。ユダが搭乗する|深層機械武装≪シン・メカアーマー≫はない。
あればユダもまたパンテラたちに合流して出撃できるのだが、無いものは無い。
かといって他にできそうな事もない。
ユダは途方にくれてイシスの舟をさまよう。
巨大地下空洞にあるラオデ要塞の地下三十三階層の前にある湖にイシスの舟が浮上する。鯱型機械武装は全て倒されバラバラになって浮かんでいる。
イシスの舟は無傷である。
それを見た陰帝が言う。
「シャチは役立たずイ。」
甲板に虎型機械武装に騎乗した軍女神が現れる。搭乗しているのは虎型機械武装にはパンテラ、軍女神には、ミツルとカオル姫。
ラオデ要塞の前には七頭竜と多くの獄蛙がいる。
七頭竜の制御室にいる陰帝が言う。
「竜と蛙ならきっとやつら地獄へ送るイ。」
七頭竜の七つの頭にある目からレーザー光線が発射する。しかし、軍女神の持つホラ貝のような時空変換装置から周囲に超音波が響くとレーザー光線がまがり、獄蛙を破壊して、中身の王水や、濃硫酸、硝酸、硫酸などをばらまく。
周囲を埋め尽くす獄蛙も一斉にさまざまな液体を噴出するが、レーザー光線と同様、コースが曲がり、周囲の獄蛙にばらまかれる。
様々な液体が獄蛙に付き 獄蛙を溶かし始める。
軍女神にいるカオル姫がパンテラに連絡する。
「色々な液体ブヒ。気をつけるブヒ。」
金さえ溶かすと言われる王水や、濃硫酸、硝酸、硫酸などと言われ、パンテラが言う。「接近できないな。」
ミツルが言う。「任せてブー。」
軍女神が雷鈴を高く掲げる。
雷鈴から巨大地下空洞の全体に電撃の嵐が覆う。その電撃が終った後、全ての獄蛙は動きを止められていた。
残ったのは七頭竜だけである。
カオル姫がビキニを脱ぎ、ミツルのパンツを脱がして合体して言う。「今度は私よ。」
軍女神が手から飛光輪を投げる。光輪が|七頭竜≪デミウルゴス≫に七つ飛ぶ。
陰帝が言う。「もはや、七頭竜はおわりイ。」
陰帝はイエシユアの下半身の入った強化ガラスを見て山羊族たちが言う。
「御前たちはこれを守イ。」
周囲の山羊族たちに命令すると陰帝は脱出用カプセルに向かおうとする。
山羊族の兵士が聞く。「イエシユアの下半身はどうすれば?」
陰帝が言う。「勝手にしろイ。」
陰帝は制御室から出る。
陰帝にとってはイエシユアの封印が解けても、自分が助かればいいのである。
イエシユアの下半身を持っていれば必ず追われる。
闘増の失敗はイエシユアの像にこだわったことだと陰帝は思っている。陰帝にとって自分が生き残る事が一番だ。その為にはイエシユアの像は邪魔だ。
陰帝が脱出カプセルに移動している頃、軍女神が'虎型機械武装と共に七頭竜の背中に降りる。
軍女神が三叉戟で|七頭竜≪デミウルゴス≫に穴を開ける。
カオル姫が言う。「ちょっといいところだブヒ。」
ミツルも言う。「わるいけど頼むブー。」
二人してちょうどいいところらしい。
パンテラが言う。「任せてくれ。」
パンテラが壊れた|七頭竜≪デミウルゴス≫の内部に入る。
既に陰帝に見捨てられた山羊族の兵士たちの中には戦う者もいるが、大半は武器を棄て降伏する。
パンテラが制御室に入るとそこには武器を棄てた山羊族たちと強化ガラスの中にイエシユアの下半身の像がある。
山羊族の兵士が言う。「探している像はこれです。」
パンテラはこれが本物だと分かる。
パンテラが強化ガラスを外し、イエシユアの下半身の像を取り上げりる。その時、大音響と共に動きを止めていた獄型が自爆する。
そして巨大地下空洞に仕掛けられていた爆薬も爆発する。もちろんラオデ要塞の地下部分も爆発して崩壊する。
イシスの舟も軍女神も全てが埋まる。
イエシユアの下半身の像が取り上げられた時、色々なところに仕掛けた爆薬が爆発する罠を陰帝は仕掛けていた。
陰帝がパンテラたちに仕掛けた罠はイエシエアの像の下半身ともどもパンテラたちを生き埋めにする事だった。
|七頭竜≪デミウルゴス≫の脱出用カプセルで陰帝は大爆発より少し前に湖へ脱出する。
陰帝は死の海の底にある泥の中に隠していた巨大なウツボのような海獣型機械武装に移動する。
陰帝は|海獣型機械武装≪レビアタン≫に乗り込むと制御室へ入る。
「これで、連中は終イー。」
陰帝は海底通路部分に仕掛けた爆薬も爆発させる。
これで地下空洞と死の海との通路も埋まった。
陰帝が嗤いながら言う。
「邪魔な船と軍女神は地底に埋めたイ。あとは駄犬たちだけイ。」
地上から地下へ攻撃していたアスクレピオスたちは、ちょうど地下十三階層のあたりの罠にかかり生き埋めになっている。
人型機械武装のアクスペリオスと翼獅子型機械武装に搭乗しているマサヒロとサラたちも爆発によって岩石に埋まる。
陰帝が言う。「ざまあみイー。」
しかし、爆発の煙りがおさまったところに動くものがいる。
違和感を感じて円盤型機械武装に噛みついて、空へ飛び罠に巻き込まれなかった犬型機械武装だ。
陰帝が悔しまぎれに言う。「とことん悪運がいいイ。」
陰帝はすぐさま死の海から飛び立ってラオデ要塞のあったゴルゴダの丘の前に着地する。
巨大な海獣型機械武装がノンたちの前に現れる。
「駄犬と女狐!丸焼きにするイ!」
|海獣型機械武装≪デミウルゴス≫が口からノンたちに向け火炎放射する。
|犬型機械武装≪コーギー≫が|円盤硬機械武装≪フレスピー≫に噛みつき空へ回避し、レーザー砲で攻撃するが海獣型機械武装の表面を覆う鱗にまったく効果がない。
ノンがぼやく。
「硬いワン。」




