83.全裸のジャンヌ
少し長いですがよろしくお願いします。
スミル要塞の暗く暑苦しい地下室に神族のジャンヌは全裸で囚われている。ジャンヌが全裸である表向きの理由は、彼女が魔女として捕らえられたからだ。
魔女はサバト(夜会)を全裸になって森で開くというウワサがあり、そのウワサの結果で魔女と判断されたジャンヌは全裸にされている。
不幸にも、愚帝が支配地を持っていた頃、ジャンヌ・ミカエルは神の声を聞いてしまった。その上、それを話してしまい、地上の争いに参加してしまった事で敵対勢力につかまり魔女とされて鉄格子のある地下室に捕らえらたのだ。
そして愚帝の要塞が陥落する前に闘増によってイエシユアの像と共にスミル要塞の地下室へ移される。
地下牢の中てジャンヌは心の底から嘆く。
「お痛わしい。」
向かいの部屋にある右足だけしかないイエシユアの像の一部を見てジャンヌが言う。
ジャンヌはイエシユアの像が闘増によって隣りの地下牢に運ばれた時には全身揃っていたことを知っている。
ジャンヌは全裸であるにも関わらず思わず向かいの地下牢に移されたイエシエアの像に向かって跪いて祈った。
そして闘増がイエシエアの像をバラバラにするのを見てしまう。
とても信じられない光景にジャンヌは叫ぶ。
「止めろ、異教徒!神罰が下るぞ!」
闘増は、ジャンヌを無視してイエシエアの像をバラバラにしていく。
ジャンヌは途中から泣きながら懇願する。
「お願いだからイエシエアの像を破壊しないで。」
イエシエアの像をバラバラにした後、闘増はジャンヌの方へと近づき言う。
「さすがに魔女だな。全裸で喚き散らすとは。」
ジャンヌがすぐに胸と秘所を手で隠し闘増を睨み言う。
「異教徒、あのような誤ちを神は許されない!」
闘増が言う。
「誤ちは許されない。それは俺も賛成だ。」
「なら、神への冒涜(破壊)の罪を認めるのか?」
「間違っているのはお前だ。俺は闇ミトラ教の教父だ。」
教父とはその教会の教えについて根本を定義する存在だ。
ジャンヌは信じられないものを見る表情をする。
ジャンヌはイエシエアの像に酷いことをする以上、てっきり異教徒だとばかり思っていた。
「そんなバカな?」
闘増が言う。
「お前こそが間違っている。」
「お前は何を言っている?」
「神はお許しになる。」
ジャンヌが怒る。
「やはり、お前は異教徒だ。」
「やはり、お前は魔女だ。」
二人の視線がぶつかる。
しかし、闘増はふとイエシエアの像の各々を各要塞に配らなければならない事を思い出してその場所を去る。
「俺が再び来たときお前は火あぶりだ。」
闘増の姿を睨んでいたジャンヌは、闘増の姿が消えると、その場に座り込む。
「ああ、神樣。」
闇ミトラ教会にとってイエシユアは自分たちの欲望を達成する為の手段でしかない。
だからジャンヌが天使から声を聞いた事も、教会にとっては縄張り争いでしかない。
つまり、信者という縄張りを荒らした余所者がジャンヌだ。
ただ、闇ミトラ教会ではよくあることなので、精神病として扱う為、監禁していたのだが、今、火あぶりになる予定に変更される。
ジャンヌが右足だけのイエシユアに祈っていると、足音がする。狼人族のティウスだ。ティウスは陰険で好色な男であり、ジャンヌを全裸にした本当の理由(ティウスがジャンヌの裸を見る為)を作った張本人だ。
ティウスは鎖に繋がれた囚人で看守の雑犬族、ボゴミルにパンをわたす。
ボゴミルもまた、この地下牢に囚われている囚人だ。ただボゴミルは地下牢の鉄格子の外にいて、その鎖は長く地下牢の一番奥までは歩ける。
ティウスが聞く。「あの女は絶望しているかい?」
ボゴミルが言う。「いいえ、まだです。」
ティウスは次にジャンヌに近づく。ジャンヌは本能的に全裸の胸と秘所を手で強く隠す。
これは本能がティウスの邪悪な何かを感じているからだ。
ティウスはにやけ、よだれを垂らしながら聞く。
「ユーは、絶望しているかい?」
ティウスは心底から人を絶望させて喜ぶ男であり、監禁されている者たちを心も体もボロボロにして火あぶりにするのが大好きな男だ。
ティウスは呟く。
「水しか与えていないはずなのに強情な女だ。駄犬を火あぶりにした後、ゆっくりなぶってやる。」
ジャンヌの豊かな胸と尻を見て、ティウスがよだれを垂らしてそう言い、ジャンヌの裸を舐めるように見てから去る。
ジャンヌが再びイエシユアへの祈りを始める。
すると、また足音と腐りを引きずる音がする。
ジャンヌは裸を隠さずに鉄格子に近づく。
そこには、半分のパンが置いてある。
もちろん足りないが、それでもパンがあるから、まだジャンヌは意識を保っている。
これはボゴミルが置いたパンだ。本来ならボゴミルには水だけしかジャンヌに与える事は許されていない。
しかし、囚人で番人の雑種族、ボゴミルは自分のパンをジャンヌに分けている。パン一つは大人が一日に必要な最低限だ。だからボゴミルは栄養不足になって毎日痩せていく。
パンを置いてまた地下室の監視所に戻ろうとするボゴミルにジャンヌが問いかける。
「なぜ、あなたは自分のパンを私に分けてくれるの?」
ボゴミルが振り返り言う。
「俺は、イエシユアだったらする事をしただけ。」
ジャンヌが心配そうに言う。
「あなたが栄養不足で死んでしまうわ。」
ボゴミルが1つため息をついて言う。
「俺の唯一の願いは天の国へ逝くことだけだ。」
「地上の人生には興味はないの?」
ジャンヌは地上の争いに神の声を聞いて介入してしまい、結局、地下牢に入れられている。
神の声がジャンヌを動かしたのだから、ジャンヌにとって神は地上の出来事に関心があるはずだった。
しかし、神にこれだけ真剣に祈っても何も起きないし、神の声さえ今は聞こえない。
ボゴミルはジャンヌの目を見る。
ジャンヌが聞く。
「神は地上に感心がないの?」
ジャンヌは祖国を守る為、神の声を聞いて戦い、今は捕らえられている。自分の行為が神の声に従った結果だと思うジャンヌにとってなぜ神がジャンヌを助けてくれないのか疑問だ。
ボゴミルはジャンヌに近づき言う。
「神の御心は人には分からない。」
ジャンヌが聞く。
「私は本当に神の声を聞いたの?」
ボゴミルが言う。
「人でしかない俺には答えられない。」
ジャンヌがパンの半分をボゴミルへ渡す。
「もしかして、私は魔女なのかもしれない。だって、貴方に全裸を見られても恥ずかしくない。」
ジャンヌも魔女が全裸になって夜会をするという話を知っている。ジャンヌを何よりも悩ませているのは、神の声がこれだけ祈っても聞こえない事だ。その上、教父にまで魔女と言われてしまう。教父の判断は魔女裁判と同じだ。
ジャンヌの中にある自信が揺らいでいる。
ジャンヌが呟く。
「もし私が魔女なら私には食べる資格がない。」
暫くしてボゴミルは再びジャンヌにパンの半分を渡して言う。
「貴方は、魔女ではありません。だから生きなけれなりません。」
ジャンヌが聞く。
「その代りにあなたが死んでしまうかもしれない。」
ボゴミルは既にかなり痩せている。
ボゴミルが笑いながら答える。
「貴方が生きるなら、それでいい。」
ボゴミルがよろよろと地下室の入口へ戻る。
ジャンヌが囚われているスミル要塞は火山地帯にある。周囲は大火炎地雷が埋まっており、地雷源にノンたちが|深層機械武装≪シン・メカアーマー≫で入ればたちまち丸焼けになる。
このように攻略する事がかなり難しいので、どのようにスミル要塞を攻略するかノンたちは会議室で作戦を検討している。
ノンが思わず言う。
「簡単じゃないワン。」
普通にイシスの舟の粒子砲で要塞ごと破壊した場合、イエシユアの像の一部を見つけることが出来なくなる可能性がある。それにスミル要塞に囚われている人がいた場合、要塞ごと囚われている人まで危険がおよびかもしれない。
ノンはうるうるした目でナナ子を見つめる。
ノンの奥の手、困った時は可愛いで勝負。
「もう仕方ないわねコン。」
ナナ子が自分なりに考えた案を説明する。
その案にアスクレピオスやミツルたちが意見を述べ、まとめる。
そして、ノンたちは、スミル要塞攻略の準備にかかる。
数日後、スミル要塞の周囲に埋まっている大火炎地雷除去の為に遠隔操作できるクモ型飛行ロボが用意される。
ノンたちは|クモ型飛行ロボ≪ドローン≫で要塞の空を覆い、地上からは軍女神が中心になって攻撃する。
地雷が爆発してもその大火炎が届かない空中から地上の地雷を探査し、ミサイル攻撃するクモ型飛行ロボに次々と破壊される地雷が火柱をたてる。
当然、スミル要塞からは|クモ型飛行ロボ≪ドローン≫への攻撃があり、それに対して軍女神が反撃がする。
地上で激しい戦闘が行われている中、物凄い音と震動が秘密の通路に響く。その秘密の通路をノンたちが進む。
先頭は、獅子族のニコライである。彼はつい最近まで陰帝の部下だったので隣のスミル要塞の秘密の通路についても知っている。
ニコライが笑いながら言う。
「この通路は頑丈でね。この程度の振動ではびくともしない。」
そのように言われてもノンは思う。
(びくびくしてしまうワン。)
隣りのナナ子がノンに余裕がないので笑いながら言う。
「大変助かったコン。」
暫くノンたちは進み、ニコライが言う。
「やっと出口です。」
ニコライが敵がいない事を確認して秘密の通路から出る。
ニコライの次に秘密の通路から出てきたのがノンとナナ子、そしてアクスレピオスだ。
ノン、ナナ子、アクスレピオスは本来は深層機械武装を使う主力だ。それにも関わらずこちらに来ているのは、軍女神の強さが圧倒的だからだ。
ノンたちが地下室のある場所に着くと看守で囚人のボゴミルが聞く。
「誰だ?目的は?」
アクスレピオスが答える。
「俺たちは、未来ミトラだ。目的は右足だ。」
ボゴミルが言う。
「俺の願いを聞いてくれればその場所に案内する。」
アクスレピオスが聞く。
「願いとは?」
「娘を一人連れ出してくれ。」
アクスレピオスがノンを見る。
「分かったワン。」
ノンたちがイエシユアの右足がある部屋に入り、回収する。そしてジャンヌにボゴミルが上着を着せてノンたちの前に連れてくる。
「この娘を頼む。」
ノンたちがジャンヌと共に秘密の通路へ向かおうとするとジャンヌが言う。
「あの人も連れていって。」
「一緒に来るワン。」
ジャンヌは、自分を助けてくれたボゴミルを残しては行けないのでボゴミルの鎖をアスクレピオスに破壊してもらう。
ノンたちが秘密の通路へ向かうと、その入り口に狼人族のティウスとその部下たちがいる。人数はティウスたちの方が多い。
ティウスが嗤いながら言う。
「きっとユーたちが右足を取りに来ると思ってたぜ。」
ティウスはイエシユアの右足が置いてある台座に装置をつけ、イエシユアの右足を誰かがとれば連絡がティウスにくるようにしていた。
ノンとアクスレピオス、ナナ子、ニコライがティウスたち狼人族と戦う。狭い空間を自在にナナ子のカルタリ(飛斧)が襲う。
その乱戦の中、ティウスがジャンヌの裸の尻を掴む。
「ユー、捕まえたぜ。」
「逃げろ。」
ボゴミルがティウスに噛みつき、ティウスが痛みで尻から手を放す。
ティウスはジャンヌを逃がした怒りでボゴミルを剣で叩く。
「くそったれ!」
崩れるボゴミルをジャンヌが庇い、ティウスがジャンヌを傷つける事を躊躇い、そのスキにノンがティウスに斬りかかる。
ティウスは何よりもジャンヌの尻に魅力を感じているので、戦っている最中でもジャンヌに斬りつけられない。
全く骨の髄からスケベな男だ、
戦うのではなくジャンヌの尻を追いかけ、ジャンヌの裸尻を掴んだティウスにナナ子が怒る。
「見下げ果てた男コン!」
ナナ子から無数の火球がティウスの顔を襲う。
ティウスがたまらず逃げ、部下たちも逃げだす。
叩かれたボゴミルをニコライとアクスレピオスが担いで秘密の通路から逃げる。
ボゴミルに手を噛まれたティウスは、手に麻酔を打ち狼面機械武装に搭乗する。手には火炎放射器の噴射口、背中には火炎放射器の燃料タンクを背負いスミル要塞の格納庫から出撃する。
ティウスが叫ぶ。
「あの化け物を黒焦げにしてやる。」
いつもイライラしているティウスが、ジャンヌを逃がしてしまって怒りは最大になっている。
「あの尻を奪ったやつらを絶対許さない!」
しかし、軍女神より前に円盤型機械武装に搭乗したナナ子が怒りの火炎放射を浴びせる。
ナナ子は、ジャンヌをティウスが身も心もボロボロにして、焼き殺すつもりだったとボゴミルから聞き大変怒っていた。
その上、さっきジャンヌの裸尻を掴んだ事に大変、大変怒る。
「カス男、燃え尽きろコン!」
ティウスも火炎放射で迎撃する。
「女の価値は、胸と尻だ。それを横取りしやがった以上、焼き殺す!」
この一言がナナ子の怒りの炎を更に更に更に大きくする。
「チンカス男、殲滅コン!」
言ってはいけない言葉がナナ子から出る。
今回から取り付けてある巨大カルタリが火炎放射と共にティウスに迫る。ナナ子の火炎放射は、ティウスの火炎放射で迎撃できるが、巨大カルタリはそのままティウスの狼面機械武装の首を斬り、燃料タンクも斬る。
たちまち引火して全体が燃え上がるティウスが叫ぶ。
「熱い、助けてくれ。」
ナナ子が言う。
「燃えつきろ、チンカスコン!」
ナナ子の火炎放射がティウスと狼面機械武装をあっという間に炎で包み、ティウスは燃えカスになる。
さて、イシスの舟に戻ったノンたちは、まずはジャンヌを連れて会議室でモモ子、将頼、モエたちに報告後、自室へ向かう。
そこでノンは人生最大の危機に出会う。
ノンとナナ子が部屋へ入る。
後から入ったナナ子がガシャという音をたててドアを閉める。いつものドアを閉める音とは違い過ぎる。
その瞬間、ノンの本能に赤い信号が点く。
何事?ノンが振り返るとナナ子が笑みを浮かべているが、目がつりあがっている。
(とっても不味いワン。)
ノンがゴクリとツバを飲みこみナナ子の言葉を待つ。
「ねえ、会議室であの子のお尻をチラチラ見ていたわよね?」
急いでいた事とジャンヌを紹介する為、ジャンヌは上着しかつけずに会議室に入る。
もちろん、ナナ子はちゃんと着てからでもと言ったのだが、ボゴミルの状態が心配なジャンヌはナナ子に言ってしまう。
「今更、気にしません。早く紹介してください。」
その結果、上半身は隠されるが、豊かなお尻は半ば見えている状態だった。
この状態では男たるもの、やはり目がどうしてもお尻にいってしまう。もちろん、ノンはナナ子の視線を感じていたので、ちょっとだけしか見ていない。
やはり、ナナ子は気にしていた。
ここでヘタなウソはナナ子の怒りに火をつける。
「まあ、ナナ子のお尻と比べてちょっとだけ見ていたワン。」
ノンの心臓がバクバクしている。
ナナ子の表情は笑みを浮かべてはいるが、更に目がつりあがる。
「それで、比べた結果、どちらが魅力的だったの?」
(不味い、不味いワン。)
正直にジャンヌのお尻がナナ子より魅力的だと言えば、背中の飛斧が飛んでくる。
(触っていいお尻の中で)「ナナ子のお尻が最高ワン!」
ノンは半分を心の中で言って、後をしっかり口で言う。
ナナ子がじっとノンを見る。
(不味い、不味い、不味いワン。神樣助けてワン!)
思わず祈るノン。
ナナ子がやっと表情を緩める。
「やっぱりそうよね。さすが私の旦那樣だわ。」
ノンの危機がやっと黄色になる。
これから、自分の言った言葉を証明するべく言う。
「さあ、ベッドに行こうワン。」
「まあ、まだ昼間コン。」
「ナナ子のお尻が魅力的だからいけないワン。」
「まあ、仕方ないわねコン。」
機嫌をなおしたナナ子もベッドに向かう。
(ふー、やっと人生最大の危機から半分逃れたワン。)
後はベッドでガンバルワン。




