77.イミテーション・ゴールド
第七層のチンパンジー族、ライネリウス・サッコーニ・アリストは、慌てている。
ライネリウスが言う。「まさかここまで来るとは。」
まさか彼は第六層が突破させるとは思っていなかった。
第七層の守護者である彼の人型機械武装の最大の武器は、物理的な力ではなく、非物理的な力、つまり波動であるが、どうやら異端派も使っているらしい。
彼がそのように予想する理由は、あの大猿型機械武装を倒す方法はそれしかないからだ。
「まるで喜劇だな。」
彼は自分の最大の武器が有効ではない事を喜劇のようだと言う。
彼にとって第六層が突破させることがそもそも想定外なので第七層には通常の|機械武装兵≪メカアーマー≫も、要塞もない。
侵入者を知らせる警報がなる。
金色に輝く人型機械武装に彼が搭乗すると、ノンが搭乗している犬型機械武装が円盤型機械武装に噛みついてやって来る。
ライネリウスが人型機械武装の波動を発動して全てを金色の金塊の景色に変える。
ライネリウスの|人型機械武装≪イミテーション・ゴールド≫は人の聴覚を刺激して幻影を見させる。
ノンとナナ子には視覚では全てが金色の金塊として見え、区別が付かない。
ナナ子が言う。「偽物でもすごいコン。」
ノンとナナ子は、既に人型機械武装の能力、金塊の幻影の能力を知っている。だから警戒したままである。
ライネリウスはノンの犬型機械武装とナナ子の円形型機械武装の後ろに移動する。
ノンが言う。「後ろワン。」
ノンとナナ子が場所を移る。
ライネリウスはノンの勘が鋭いと考え、再びノンたちに近づく。
ノンが言う。「前にいるワン。」
ノンが十字剣で斬りつける。
ライネリウスが剣で受け言う。「なぜ、分かる?」
ノンが言う。「嗅覚もあるワン。」
聴覚に波動を送り、視覚に幻影を見せても嗅覚までは誤魔化せない。
ノンが犬型機械武装の波動を発動する。
幻影が消えてライネリウスの金色の人型機械武装が現れる。
ノンが彼の前に円盤型機械武装から離れて立つ。
ライネリウスが怒鳴り、剣を振り降ろす。
「白でない罪人よ。神罰を下す!」
ノンが十字剣で弾き反論する。
「神は色で判断したりしないワン。」
暴力を使い、人々を火あぶりにする暴力は、闇ミトラ教会が為していることだ。
イエシユアは、色で判断して暴力を使いはしない。
彼が再び怒鳴り今度は背中にあったハンマーを振り降ろす。
「減らず口をたたく駄犬。地獄へ行け!」
ノンが避けて反論する。
「お前がいく場所が地獄ワン。」
彼が怒鳴る。
「逃げてばかりか、臆病者!」
ノンがひょこひょこと逃げる。
彼が追う。
「何を考えている?」
ノンが彼を誘導して逃げていると考えた彼が問う。
まさにノンは彼を誘導して地雷を設置した場所に誘導しようとしていた。
彼がこれ以上、誘導できないと判断したノンが言う。
「炎ワン。」
ナナ子が円盤型機械武装から火炎放射で彼を攻撃する。
炎の包まれ、金色の表面が溶けて落ちる。
彼の人型機械武装がマンガンの銀色に輝く本来の姿を現す。
彼が叫ぶ。
「見たな、許さん!」
彼が大きなハンマーでノンに殴りかかり、それを十字剣で受け止めるノン。
その時、巨大な電流が彼を流れる。
彼の人型機械武装の表面には、ガラスの絶縁体に覆われているが、表面が溶けてしまったので、十字剣の電流に耐えられなかった。
彼が言う。「偽物では無理か。」
人型機械武装の電子機器がショートし、彼も倒れる。
ノンとナナ子は二段階の作戦を用意していた。
1つは、地雷へ誘う作戦である。もう1つが熱で表面の金を剥がした後、強力な電流を流す作戦だ。
ナナ子が言う。
「白、白と白々しいウソつきコン。」
ノンも言う。
「白けてしまったワン。」
ナナ子とノンが二人して笑う。
二人とも戦いに次ぐ戦いで、疲れが心と体に溜まっている。
だから、こういう時こそ生き抜きが必要だと二人ともがダジャレを言った。ノンがしみじみと言う。
「やっぱりパートナーワン。」
ナナ子が答える。
「当たり前でしょコン。」
ノンとナナ子は次の階層へ向かう。
(面倒くさい話)
今回は、米ナスダックに上場していた中共のキングゴールド・ジュエリーによる八十三トンにもおよぶ偽物の金塊事件(銅の表面に金メッキ)からインスピレーションを得ました。




