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70.地獄門

 ノンたちがダダを敗北させた頃、病室で一人の男が意識を取り戻す。

 

 男は、ズシオウ。横には心配そうに看病しているアンがいる。  

 「かつては夢があった。でも、今の俺にはない。」

 アンが頷き、ズシオウの手を握り言う。

 「故郷に帰ろうよ。兄さん。」

 ズシオウがわずかに頭をずらしてアンを見る。

 「お前は帰った方がいい。俺にはしなければならない事がある。」

 アンが聞く。

 「それは何?」

 「人の夢を喰いものにしている寄生虫たちに報いを受けさせる。」

 「どうしてもなの?」

 「どうしてもだ。」

 「でもどうやって?」

 「俺は地下要塞を案内できる。それを伝えてくれ。」

 今、まさに地下要塞を攻略する為にノンたちが出撃していた。地下要塞の情報はノンたちにとても役立つ。アンが病室から出て風音を探す。

 

 暫くして風音が病室に現れる。

 風音がズシオウに聞く。

 「まだ傷口が塞がってはいないカン。」

 ズシオウが言う。

 「それでも、俺は行く。」

 ズシオウの必死さに風音が聞く。

 「まだ傷口が開いて、死ぬかもしれないカン。」

 「それでも行く。」

 「なぜ、そこまでして行くカン?」

 「マスメディアを信じ、騙された俺は自分の気持ちに決着をつける。」

 「それだけカン?」

 「|外国人仲介技能実習制度≪マルチピンハネプアワーク≫でぼろ儲けしているヘイゾウがいる。」

 サンショウウオ族の丈夫ヘイゾウの話が出て風音が反応する。

 「許せないボスがいるからカン?」

 ズシオウが頷く。

 ズシオウは石像の間で愚帝たちの|外国人仲介技能実習制度≪マルチピンハネプアワーク≫についての悪巧みを聞いていたのだ。

 ズシオウにはとても許せない。


 急遽、|機械武装≪メカアーマー≫が三台用意される。

 一台は、ズシオウ、もう一台は付き添うアン、更にズシオウとアンを護衛する風音の一台である。





 ノンとナナ子が搭乗している深層機械武装(シンメカアーマー)も含めて機械武装(メカアーマー)が一斉にミサイルを地下要塞に発射する。

 しかし、地下要塞の門、通称『地獄門』のバリアーには、効果がない。


 門には、中央の上に悩める人(門番)がいる。そしてこの像には、以下の文が書かれている。

『この門をくぐる者は全ての希望を捨てよ。

 これより憂いの都に、

 永遠に苦しむ滅亡の民の国がある。』

 有名な大手旧来報道(マスメディア)の奥の院と言われる地下要塞の地獄門に書かれた文章である。

 

 ナナ子がノンに聞く。

 「どうするのコン?」

 先ほどズシオウから地獄門のバリアーについて聞いたので、ミサイルでは効果がない事は想定していた。


 ノンは地獄門の前で言う。

 「ここは、考える人になって工夫が必要ワン。」


 

 地獄門の内側の監視所では、ゴリラ族たちの隊長の無知と副隊長の無脳がノンたちを嗤っている。部下のゴリラ族たちも嗤っている。

 無知は顔だけイケメンのゴム仮面をつけ、無脳は顔だけ美女のゴム仮面をつけている。


 無知と無脳は、人々にただの情報を流して混乱と過情報負荷(オーバーフロー)にしている。

 民主主義国家はおいて、人々が情報に流されれば衆愚政治になる。

 公共を名乗るのであれば、全体性、継続性、重要性を考え、その情報についての信頼性を補足して流さなければならない。

 これらが1つでも欠ければ、受け手は一部の利害関係者のその時点のどうでもいい事を鵜呑みにする。

 無知が言う。

 「あの駄犬はバカだから無駄な事をしてる。」

 無脳も言う。

 「所詮は、人々の未来を考えるバカどもさ。」

 無知と無脳は独裁国家や、大企業などのワイロや宣伝広告費で自分たちの未来だけを考える者たちだった。


 彼らがあぐらをかいて地獄門の内側から環視カメラでノンたちを見ていると、ノンの搭乗している犬型機械武装(コーギー)が地獄門の正面で四つ足になる。

 無知が言う。

 「まるで本物の犬だな。」

 無能が言う。

 「ここ掘れ、ワンワンとでも言えばいい。」

 実は、地獄門の前にあるバリアーはほとんど肉眼では見えない細線格子状ビームである。空気は通過するがミサイルは通過できない。



 犬型機械武装(コーギー)が唸り始める。段々と周波数を変えながら唸り続けて地獄門の悩む人が振動し始める。

 無知が笑っている。

 「犬に分かる訳がない。」

 無能が言う。

 「やっぱり犬だな。」


 犬型機械武装(コーギー)が唸る。

 「ウー、ウー、ウー、・・・」


 段々と悩む人の振動が激しくなる。地獄門の中にいる無知と無能もその振動を感じる。

 無知が言う。

 「地震か?」

 無能が言う。

 「まさか、地震?」

 部下たちはどうすることもできない。



 彼らは音波が共振現象を起こして物質を破壊できることが理解できないし、音波は地獄門のバリアーを通過することさえ忘れなている。

 彼らは、自分たちが人々を無知で無能な存在にしようとして、自分たちが無知で無能な存在になっている。



 

 「ワワーン!」

 地獄門の正面にいる悩む人の像が共振現象で壊れた。

 悩む人の制御を失い、ナナ子たちの再度のミサイル攻撃で、無恥と無脳がいる地獄門が組み込まれた地下要塞の入り口が監視所を含め崩壊する。

 無知と無能と部下たちは地獄門の瓦礫に埋まる。


 ノンがズシオウたちの機械武装兵に近づき言う。

 「地獄門の情報をありがとうワン。」

 ズシオウが傷口の痛みに耐えつつ言う。

 「さあ、急いでくれ。」

 ノンが心配そうに聞く。

 「大丈夫かワワン?」

 ズシオウが言う。

 「俺が生きている間にやつらの最期を見せてくれ。」


 ノンが心配しつつ言う。「さあ、進むワン。」

 ナナ子が言う。「さあ、みんなも行くコン。」

 ノンの犬型機械武装(コーギー)はナナ子の円盤型機械武装(フレスピー)に噛みついて地下要塞へ突入する。

 それに続いて、マティス犬族たちの機械武装も前進する。


 少し遅れてズシオウたちが続く。

 

 

 

 

 





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