7.凶器について
ノンたちは週末、ノンたちの庶民学校から少し離れた場所にある私立学校、猫の惨殺死体があった生垣にいた。
ノンが、クンクンと残っていた臭いを嗅ぎ、そこから探っていく。もちろん、かなり時間が経っているので、コーギー犬族のノンにも難しい。
それでも鉄錆とそれが混じった血の臭いを追ってノンたちは移動する。
「クン、クン、ワン、ワン。」
まるで本当の犬のように地面近くに鼻をつけ、地面をはってノンが臭いを探す様子は、まるでドラマの刑事もののようだとナナ子は思う。
「さすがにコーギー犬族だけの事は、あるコン。」
ただドラマとの違いはノンの目的が、事件の解決ではなく、ナナ子からもらえるカステラである事だった。
ノンは目をキラキラさせ、どんどん進む。そしてナナ子を見て、もうすぐカステラと思って、舌なめずりする。
(もう、すぐカステラだワン。)
ただ、ナナ子は、細目を光らせ、犯人と目的の物を見つけなければカステラはないとノンを促す。
しばらくすると、ノンたちは公園に着いた。ノンがある低木のところで鼻を突っ込み嗅いだ時、ノンがひっくりかえる。
ギャン。
そこへ猫人族でセーラー服姿の女の子が現れる。
「そこにはアンモニアが撒かれているニャン。」
その女の子はナナ子にノンがひっくりかえった理由を説明した。ナナ子はサラと自己紹介した女の子の胸を睨んでいる。
ナナ子にとって、サラが猫人権利協会のメンバーであるという説明より、サラの胸が姉のモモ子並みに豊乳であることのほうが、よほど問題だった。
ミツルがスカートの長さが長いので、質問する。
「スケ番デカ(女の子の番長兼刑事)ですかブー?」
ミツルの質問に満面の笑みを浮かべサラが答る。
「わかってくれたニャン。闘う女の子としては、スケ番デカのスタイルがいいニャン。」
「カッコだけですかコン?」
サラはナナ子の質問にゴニョゴニョしている。どうもスケ番デカにあこがれたコスプレのようである。
ノンが起きたのでサラがビニール袋に入った包丁を取り出す。
「これが凶器ニャン。」
それは、サラがノンと同じように探して気絶した後、見つけた物だった。犯人が犯行現場に戻ってくると思って見張っていたところへノンたちが来たのだ。サラが注意するより早くノンは包丁が埋まっていた場所で気絶してしまった。
「他の手掛かりはないブー?」
ミツルの質問に否と顔を振るサラ。
ナナ子が自分たちの目的は、犯人が持っている可能性が高い入滅帝札であり、犯人ではないと説明する。
「入滅帝札には、人の破壊衝動を強化して、人に破壊衝動を実行させる力があるコン。」
ナナ子が、過去に起きた入滅帝札の破壊衝動による大量殺人事件を説明する。
事件は、障害者施設で施設の職員によって起こされた。
報道では、施設の職員が異常だった事までしか説明されないが、職員の異常な行動を引きおこしてしまう入滅帝札こそが危険な呪い札だとナナ子が説明する。
「つまり、入滅帝札は、心が弱っている人には、凶器になるニャン。」
サラの目的は、犯人を見つけ糾弾し、場合によっては警察へ連絡する事が目的である。
「こんな非道は許してはいけないニャン!」
ノンたちとサラはお互いに手を結び犯人を探す事になる。
「でも、どうやるブー?」
手掛かりが公園で途切れているので、当然の疑問をミツルが指摘する。ウーンと頭を下げるナナ子とサラ。
「手掛かりはあるワン。」
ノンがビニールに入っていた包丁を指す。
「その臭いがする場所を探すワン!」
つまり、ノンは公園の近くから順番に臭いがする場所を探していく方法を提案していた。そこでサラは犯人がまたくるかもしれないので公園で待ち、ノンたちは周囲を探し始める。
ナナ子は、豊乳のサラとの別行動にほっとし、ノンは再度、カステラを貰う為に、目をキラキラさせて犯人探しを始める。
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(面倒くさいことが好きな人への仮説:イルミナティ・カード)
ここでは、このイルミナティ・カードを見たある人が、かなり強い頭痛を感じたことだけを記す。