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68.ルイの聖戦

 |大型飛行要塞≪セント・ハルマゲドン≫からミサイルが発射した直後、聖長十字軍のカラス族が一斉に落下する。ミサイルはコースがバラバラになり自爆し、ステルス戦闘機も一部は、安全装置が働きパイロットを脱出させ、一部は制御を失う。

 イシスの舟からの光線で大型飛行要塞は紙の如く破壊される。


 緊急脱出装置で地上に落ちたルイ苦王が喚く。

 「いったい私の聖戦に何が起きた?」

 AIが機械音声で答える。

 「電磁破壊(エレクトロボム)を受け、味方の制御が失われました。」


 ルイの正面にイシスの舟が現れる。イシスの舟は瑠璃色に輝く船体だ。


 ルイ苦世が十字剣と拳銃を持って特攻をかけようとする。

 「神のみもとへ向かう。」

 ギーズ公も言う。「我もお供します。」

 ギーズ公もまた、拳銃を持って特攻をかけようとする。

 

 地上では、動かなくなった重戦車の一部がイシスの舟からの粒子砲によって消滅する。

 消滅した後は、赤くただれ抉れた地面がある。

 更に残る重戦車に左の粒子砲からまた光の束が襲う。

 ドブネズミ族たちは逃げることさえできずに重戦車と共に消滅する。

 最新兵器は、ほとんどに電子装置が内装されており、電磁破壊された場合は制御ができなくなる。

 モモ子と将頼は電磁破壊爆弾を周囲の空間に配置して、ルイ苦世が攻撃を開始しようとした直後に電磁の嵐を起こした。

 だから磁気の影響を受けたカラス族たちは、ショックで落下した。

 イシスの舟は、電磁破壊の影響を受けていない。神々の遺跡として扱われるイシスの舟は自らを守る|電子障壁≪バリアー≫を持っていた。


 アスクレピオスはこの戦いが始まる前にノンたちにイシスの舟について説明していた。その時、イシスの舟を動かすポイントについても説明している。

 アスクレピオスが言う。

 「イシスの舟を動かすポイントは神の意識、神層意識であり、深層意識の彼岸である。」

 アスクレピオスが更に説明する。

 「神がウソを許さないのではない。目はカメラであり、耳がテープレコードはある深層意識へ接続するには、ウソも思い込みもゴミでしかない。」


 事実を認識してこそ人は深層意識に接続し、その先にある神層意識に繋がりうる。

 ノンがノンなりの答えを言う。

 「ウソつきは、泥棒の始まりで、神樣に嫌われるワン。」

 アスクレピオスが笑って頷く。



 ノンたちは、イシスの舟を動かす為に深層意識へ接続している。瑠璃色に輝く存在は、東昇帝国では薬師如来のまとう光である。薬師如来は東方の国を治めるとされる存在だ。


 |聖長十字軍≪セント・ハルマゲドン≫は、瑠璃色に輝くイシスの舟から散り散りになって逃げまどう。


 

 更にイシスの舟からマスティス族に機械武装兵(メカアーマー)が地上へ降下する。

 彼らがルイとギーズ公を武装解除し拘束する。

 機械武装兵がギーズ公を連れていく。


 一人残されたルイの前にアスクレピオスが現れる。

 周囲には、ルイを取り囲む機械武装兵が銃をルイに向けている。

 アスクレピオスが言う。

 「久しぶりだな。∣わがままな少年≪ルイ≫。」


 ルイのひざが折れ、呟く。

 「久しぶりです。先生。」


 実はアスクレピオスは一時期、ルイの家庭教師だったことがある。

 前王のナントがルイのわがままな性格を心配してアスクレピオスに家庭教師を頼んだのだ。

 

 アスクレピオスが言う。

 「自らの感情を制御できなければ、感情に滅ぼされる。」

 アスクレピオスの言葉を無視してルイが問いかける。

 「先生、何故戴冠式に来てくれなかったのですか?」

 「ウソを言う為に戴冠式に参加するのは、∣偉大な前王≪ナント≫に失礼だと思ったからだ。」

 「つまり、前王は偉大だが、ルイは偉大ではないと。」


 暫し時間があく。

 アスクレピオスが口を開く。

 「そうだ。偉大でない王を偉大な王とは言えない。」

 「何故、ルイは偉大な王ではないのですか?」

 「偉大なる王は、自らの感情を制御できる王だ。ルイは∣自らの感情≪わがまま≫を制御てきていない。」

 「でも、ウソでもいいから一言だけでも言って欲しかった。」

 「ウソを言えば言うほど、言葉は深層意識と離れてしまう。言葉が言霊ではなく、吹けば飛ぶ言の葉になる。」

 「それでも、先生から言って欲しかった。」

 ルイは、胸にある護身用の小型拳銃に手を伸ばす。

 たちまち周囲の機械武装兵に撃たれる。


 倒れたルイに近づきアスクレピオスがルイのまぶたを閉じる。

 「全く最期までわがままな少年だ。」

 

 アスクレピオスは胸からルイについての恩赦の申請書を出して破る。

 「もう、不要だからな。」

 アスクレピオスは、ルイが自らのわがままな性格を治す覚悟があるかどうか確かめる為、ルイに会った。

 やはり、自分の根本を変える゙事は難しい。





 コウモリ族のムラオカは顔を歪め、ズシオウはスッキリした表情で、強奪した物品を返却している。

 ここは、|聖長十字軍≪セント・アルビジュア≫の従軍部隊である。

 本隊が壊滅した結果、従軍部隊も降伏して、強奪した物品を返却している最中である。

 周囲には、機械武装兵たちが武器を取り上げたドブネズミ族たちを監視している。

 そのような状況においてズシオウは、老婆に杖を、子供たちにおもちゃを、病人にベッドを返している。

 全く面白くないムラオカが顔を歪めるのは当然だ。


 そこへ、白ウサギ族のアンを連れて風音が現れる。

 アンは、変わり果てたズシオウを見て駆け寄る。

 「お兄ちゃん!」

 突然、現れた妹に驚くズシオウだが、アンをしっかり受け止め、二人は抱き合う。

 「生きていたのね。お兄ちゃん。」

 「ああ、心配をかけたな。」


 その二人を見ていたムラオカの顔の歪みが限界を超える。

 ムラオカがズシオウとアンに飛びかかる。

 ズシオウがアンを突き放し、ムラオカが捕まえたのは、ズシオウ一人。

 ムラオカが牙をズシオウの首につけ怒鳴る。

 「こいつの命は預かった。俺が逃げる゙のを邪魔するな!」

 アンは、とっさの事ではあったが、拳銃をムラオカに向ける。

 ズシオウが叫ぶ。

 「こいつを撃て。撃ってくれ!」

 ムラオカが驚く。

 「お前も死ぬかもしれないぞ。」

 ズシオウが笑いながら言う。

 「お前を地獄へ引きずり落とすなら十分だ。」

 ムラオカの顔が歪む。

 アンの拳銃がムラオカを撃つ。

 怪我したズシオウを放り投げ、それでも空へムラオカが逃げようとするが、周囲の機械武装兵たちに撃たれてる。

 

 ズシオウはすぐに病院に運ばれ緊急手術を受け助かる。






 カトリーヌは緊急脱出装置が地上に着地した直後、逃亡していた。カトリーヌにとって大切な人は愚帝だけである。

 カトリーヌは何が悪いのか今も分からなかった。

 「だれのせいなのか分からない。」

 カトリーヌは近くの地上に落下したが、|聖長十字軍≪セント・アルビジュア≫は壊滅している。すぐに退避しなければならない。もうすぐ異端派からの攻撃が始まる。



 カトリーヌは、地下要塞に逃げ、その石像の間に駆け込む。

 カトリーヌが正直に言う。

「怖かったわ。」

 愚帝が言う。「もっと近くにグ。」

 カトリーヌが愚帝に近づく。

 愚帝が彼女を抱きしめた。

 カトリーヌが言う。

 「愛しています。」

 愚帝も言う。

 「多分愛しているグ。」

 愚帝は彼女の生命力全てを吸いとり、彼女を石像にする。愚帝は、生命力を吸いとるオーラバンパイアだ。

 「これも愛グ。」

 



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