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49.アレキサンドリアについての大会議

 神義庁で大会議がノンたちと長十字軍に関連のある代表格者たちで開かれている。議題は、アレクサンドリアからの救援要請とその対応である。


 アレクサンドリアからの使者として、トキ族のミツシエルが叫ぶ。


 「今、西大陸は無知と暗愚に犯されようとしています。

 どうか助けて下さい。」


 逃げる時、一時匿ってもらったジュディの護衛であるマーリンがミツシエルに続いて言う。


 「アレキサンドリアの人々は、知識によって世の中を迷信と狂信から平和と繁栄へ導く事を目的としている。

 そんな彼らを|異端派≪グノーシス≫として地上から燃やし尽くそうとする|長十字軍≪アルビジュア≫がいる。

 今こそ我らは、アレキサンドリアの人々を|笛吹き男≪人でなし≫のような連中から例えどんなに困難でも守るべきだ。」


 大会議の参加者たちも大体は同じ意見である。

 ここで、現実的な視点で風音が言う。

 「しかし、アレキサンドリアはあまりにも遠方で、お金も大変カン。兵士もせいぜい百人ぐらいだカン。」


 アレクサンドリアはドブネズミ族たち、約一万に包囲されている。しかも西大陸はあまりにも遠方な為、今の神義庁ではせいぜい百人程度しか派遣できない。



 ベチエの生き残りの代表、熊人属の男、レーモンが発言する。

 彼はまず、小さな木のくつを皆に見せる。

 「この木のくつは、俺の息子の遺品だ。そして、これには焼け焦げた後がある。


 なぜか?


 長十字軍の連中が、面白がって俺の息子を串刺しにして焼いたからだ。

 

 この木のくつは、もう息子にはきつかったんだ。

 だから、あの日、俺は息子に丁度いい革のくつを買いに隣り町へと出かけていた。


 そして俺が隣り町から帰った時には、もう町は燃え、女房も息子も生きてはいなかった。」


 会議は静まり、レーモンの次の言葉を待つ。


 「我らベチエの生き残りは、もらった全ての財宝と金をアレキサンドリア援軍の資金として提供する。

 そして、我らの内、戦う意志のある者は、義勇軍として参加を申し込む。」

 

 彼は焼け焦げたくつを握りしめ、そして涙が彼の頬をつたう。


 「これでいいよな、女房よ、息子よ。」

 

 彼らは、ノンたちからもらった財宝と金のほとんど馬車に積んで持って来ていた。


 ナナ子が聞く。

 「使ってしまっていいのコン?

 町の再建はどうなるのコン?」


 ベチエの再建にかなりの金は必要なはずだ。


 別のベチエの生き残りの男が言う。

「もうおれたちには帰る家も、町もない。

 しかし、アレクサンドリアの人々が、このままでは、ベチエのように破壊され、虐殺が起きる。」


 他のベチエの生き残りの男が言う。

 「ベチエの悲劇を繰り返してはならない。

  それが生き残った俺たちの願いだ。」


 そんな中、一人の老いたロバ族の男、ヨブが手を挙げる。


 「わしゃ、あの時、怖くて怖くて水車小屋の隅にガタガタしなから隠れていた。こんな臆病者が、参加してもいいか?」


 レーモンがヨブ老人に聞く。


 「無くした身内は?」


 「婆さん、息子夫婦、孫たち二人。つまり全ての全てじゃ。」

 

 レーモンが、ヨブに近づき、肩に手を置いて言う。


 「なら、参加する資格はあると思う。」

 

 そして、ノンを見る。

 「なあ、参加する資格はあるだろう?」


 ベチエの生き残りたちがノンを見る。ジュディも見る。マーリンもパムもシズも見る。

 そして、レーモンとヨブがノンを見る。


 ノンが宣言する。

 「もちろんワン!」


 ノンがナナ子を見る。ナナ子が頷く。


 「アレキサンドリアに行くワーン!」


 ミツシエルとマーリンとベチエの人たちが歓声があげる。


 ノンがナナ子に近づいて小声で聞く。

「これでよかったのワワン?」


 ナナ子が答える。

 「あなたは英雄ですコン。」


 ノンがナナ子を抱き締める。

 


 

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