30.カオル姫のリバウンド
「絶対、エリノア姫のようになるブヒ。」
カオル姫は、強い意志で自分に言い聞かせるように発言する。
この世界では、エリノア姫とは、醜い豚人族の召し使いが、イケメンの王子様と結婚する物語として有名だった。
「大丈夫、きっと呪いは解けるブー。」
再度、リバウンドして肉団子に戻ったカオル姫を、前回同様ミツルが握りしめ、先頭を歩いている。
今回も、やはり夢に竜神様が出て、友達の竜神を助けて欲しいと頼まれたようだ。
念の為、ビーバー族のような人々、つまり倒して孤児が出るような者がいない事を確認してある。
結局、誰かが不当利得で悪どく儲けていれば、そのせいで多くの人々が貧乏と不幸に苦しむ。
今回の悪党はハイエナ族の阿呆統一教の教祖、阿呆ボンクラとその一党である。
彼らは、宗教法人の寄付に税金が掛からないことを隠れ簑にして、高額の壷を押し付けて信者から金を巻き上げる事を目的とする詐欺師達だ。
教祖の阿呆ボンクラとハイエナ族たちにとって、世の中の金と美人は自分たちのものなのだ。
カオル姫とミツルを先頭にノンたちが、浄めの大滝に着く。
「スゴイ、ゴミタメ。」
霊感の鋭いモエが頭を抱える。
竜神が住みかとしている滝が霊障の掃き溜めにされ、困っていると言う話は本当だった。
浄めの大滝という名前とは裏腹に、その滝は霊的にごみ溜めとなっている。
どのような霊的スポットであろうと、許容能力を超えた霊障が溜まれば、霊障の掃き溜めとなる。
この滝は、阿呆ボンクラたちの霊障で、最早、霊障スポットと化している。
モエが霊障を祓おうとすると、滝に通じている道の入り口からハイエナ族たちが攻撃してくる。
「我等の霊地を守れハイ!」
「修行の滝を汚されるなハイ!」
しかし、単なるハイエナ族がノンたちに敵うはずもない。次々にノンたちが倒していく。
「ここは、ごみ溜めじゃないニャン!」
「霊障で頭がおかしいブー!」
「きっと洗脳されているコン!」
「目がおかしいブヒ!」
ハイエナ族たちが倒れ、残った阿呆ボンクラは、いよいよ困って、自分たちが崇めている悪霊を呼び出す。
「奴等を滅ぼしてゴ!」
首だけの悪霊が現れる。その回りには、何か唱えている悪霊たちが群れている。
スピリチュアル世界には、現実社会と同様、詐欺師も嘘つきも妄想に捕らわれている存在も、無数に存在する。
だから何か特殊な能力を求める者は、このような悪霊にささやかれ、何か見せられるとすぐにだまされる。その結果、自分と周囲の人々を不幸にしてしまう。
「消え失せろワン!」
ノンが十字剣で悪霊を斬る。
たちまち悪霊が消え、教祖が気を失う。
ノンたちは別に殺しが目的ではないので、教祖をほっておいて、悪い気だらけの滝の掃除を始める。空き缶、ビニール袋等を整理する。
これだけでも、かなり気は良くなるし、これは滝などのパワースポットだけでなく、自分の家などにも効果がある。
モエが光を呼び浄化する。
「願う。因果応報のカルマの吐瀉物を浄化したまえ。」
よく滝で浄化するという人がいる。ウソとは言わないが正しくもない。滝の浄化の力を越えて悪の気が集まったら、そこには、悪の気が溜まる。
この滝も阿呆ボンクラ一党が悪い気を大量に持ち込んだ結果、パワースポットというより霊障スポットになった。
だから、カオル姫たちに竜神が浄化してほしいと夢に現れたのだ。
浄化が終わると、黒い竜神が現れ、前回同様カオル姫の呪いが解けて、美少女で豊乳のカオル姫が現れる。
今回はミツルと共にまだいたいというので、ノンたちは先に帰る。
ミツルとカオル姫だけが残る。
「もう、誰もいないわ。」
カオル姫が服を脱ぎ、ミツルにお尻を向けた。
「来て、私を愛して。」
ミツルとカオルが結ばれ、呪いが根元から開放される。
翌日、美少女のままのカオル姫が現れる。
「おはようございます。」
その姿を見て、ナナ子がショックを受ける。
(ドラム缶のようなカオル姫は、もういないコン。)
思わず未来都市計画書を手から落としてしまう。
でも、未来都市計画書を拾いつつ、ナナ子は密かに思った。
(きっとカオル姫はまた肉団子に戻るはずコン。)




