29.未来都市
執務室にノンとナナ子が二人だけでいる。ノンとナナ子は前世の因縁とも言える縁で婚約している。だからお尻ぐらい触ってもとノンが手を出したらバチッと手を叩かれてしまった。
「仕事、優先コン。」
「ちょっとだけワン。」
「ダメコン。」
ノンがしっぽを垂らして、未練がましくナナ子を見ているが、無視してナナ子は、未来都市計画を読む。
未来都市、これはモエが見た太古の戦争でも生き残り、未来を手にする為に造る都市である。だから細菌戦争にも、核戦争にも耐えられる都市でなければならない。
その為に、お金持ちにはお金、科学者には知識、技術者には技術、企業家には管理等を求める必要がある。
それだけではない。単に生き残る為の避難所としての避難都市ではなく、人が現代の知識と経験を残す機能を持つ都市でなければ人々の賛成も得られない。その為には、食料の生産、工業、更には、研究開発迄含む都市生活圏を造る必要がある。
ナナ子がこの計画書を読んだ時、感じた事は、お金持ちが納得できるかどうかが鍵だと思った。
まずは、空気清浄機、それもウイルスレベルだけでなく、分子レベルまでの安全性を少なくとも持たせる必要があるとナナ子が考えていた時、ドアがノックさせる。
部屋にサラが入ってくる。手には未来都市計画の書類がある。
「この計画では、金も知識も技術もないフリーターには、何もすることができないニャン!」
少しむっとしつつ言うサラだった。
何も貢献できないなら、未来都市に住む資格がなく、生き残れる未来がない。これでは、今のフリーターや無職の人には、未来がないとしか思えない。それについて確認する為、神義官の一人であるサラはナナ子に聞きにきた。
実はナナ子もそう思って、この計画をまとめたモエに同じ質問をしていた。その時、モエはナナ子に答えた。
「ワガンセ」
この言葉は無財の七施の一つで、何も財がなくても、笑顔は見せることができる。つまり何もないと思っている人でも、人をなごやかにする事ができる。フリーターでも何かできることを一人一人考えるべきだし、フリーターをどのように生かせばいいか考える事が必要だとナナ子は、モエの言葉と共にサラに説明した。
サラが少し考える。
「何ができるか、それぞれ考えるニャン?」
「何もしないで未来は手にすることはできないコン。」
「難しいワン。」
ノンがぽつりと漏らしたのは、ナナ子のお尻を触ることなのか、それとも人々が未来に対して何をなすのかについてなのか、ナナ子が聞こうとした時、大きな音がする?
バァン。
爆発音と共に神義官事務局へのモグラ族襲撃が始まる。
どうやら、未来都市計画について、自分たちの持っている土地の値段が下がることを心配した連中が、襲撃してきたのだ。
直ちにノンたちが、外へ出ると既にミツルとカオル姫がモグラ族を倒していた。
ただ、ノンたちが出た時、ミツルの後ろにカオル姫が隠れようとする。しかし、元に戻った肉団子のカオル姫はミツルの姿では、はみ出してしまう。
「恥ずかしいブヒ。」
言葉使いまで戻ってしまったカオル姫だった。
どうも、竜神の力は、一時的なもので、やはり根元にある呪いを解く必要があるらしい。
「気にすることはないブー。」
体形が戻り恥ずかしがるカオル姫とミツルが出入口で相談していたら、モグラ族の襲撃があり、撃退することになった。
ナナ子はカオル姫の肉団子の姿に同情しつつ、
ひそかにスタイルで悩みを持つ仲間が戻ってきたことで、ほっとしていた。
モグラ族の親分が叫ぶ。
「邪魔な奴等に、あれだモグ!」
モグラ族の子分たちがサングラスをかけ、照明を一斉にノンたちに照す。
強烈な光がノンたちを照らした。
モグラ族の親分が高笑いする。
「どうだ、まいったかモグ。」
「眩しくて、まともに見れないワン。」
「足を見て、対処コン。」
モグラ族の攻撃に押されるノンたち。
その時、照明に何かが当たり、モグラ族のサングラスが弾かれる。
「お前たち、許さないニャン!」
サングラスをかけたサラが金属の玉を放ち、照明を破壊し、モグラ族のサングラスも弾いたのである。
元々、モグラ族は明るい場所は苦手である。
今度はノンたちがモグラ族たちを攻める。
「残念、無念、悔しいモグ。」
モグラ族の親分は、最後に発言して倒れる。




