28.カオル姫
臨時政府のタヌキ族のシゲルが最初にした事はノンを神義官とし、ナナ子たちを補佐とした事だった。
「努力した事は評価し、結果が伴う必要がある。」
このようにノンたちに説明したシゲルはノンたちに、役職と報酬を与える事にした。
もちろんまだノンは未成年(もっとも獣人であるので、来年には成人になる)だが、大変革の時は、そのような事は些末な事である。
まして今回の情報変革とでも言うべき大改革には、この国の潜在力を上げなければならない。
その為には、パワースポットの大掃除と復活が必要になる。
遥か昔には、それを神義官が行っていたが、いつしか形だけとなり、神義官そのものが空位になっていた。もちろん、天命を持たぬ者には勤まらない事が大きな理由であるのも確かである。
今回、ノンが天命を受けた事は、まさにこの国にとって重要な意味がある。
「ガンバリますワン。」
これが、昨日のでき事だ。そして、今日は最初の神義庁の日である。
しかし、ノンは洋服にも、ネクタイにもなれず悪戦苦闘していた。
そもそもノンの首は、太いし、胴長短足なので、まるでチンドン屋である。
そんなノンの部屋へ、ナナ子が入ってくる。
「助けてワン!」
ノンが神義官長官で、ナナ子がその秘書であるから、入ってくるのは当然であり、当然のように
ナナ子がノンの洋服とネクタイを整えて、手鑑でノンの姿を見せる。
「長官、自分でしてくださいコン。」
ほっと一息すると、ノンはナナ子のお尻に手を伸ばすが、しっぽで叩かれる。しっぽだから痛くはない。しかし、残念な目をノンはナナ子に向けるが、ナナ子に無視される。
「仕事をして下さいコン。」
「う、うーんワン。」
余りにも、事務的な言葉に反論できず、ノンは詰まってしまう。そもそもノンが神義官長官になったのは、ナナ子と同じ部屋にいれるとナナ子に言われたからである。
「ナナ子のお尻が何時でもナデナデできると思っていたのに残念ワン。」
そんな事で机の上にあごを乗せて、ナナ子を上目遣いで見ていると、ドアが開き、ひときわ胸とお腹とお尻が豊かな豚人族の女が現れる。
そして、その後ろからミツルが現れる。
ミツルがその女の子を紹介する。
「彼女は、カオル姫、呪いを受けて今は胸もお腹もお尻も同じサイズブー。」
「はじめまして、カオル姫ブヒ。」
まだ、話の流れが見ていないノンにナナ子が説明する。
「カオル姫がパワースポットについて教えてくれるそうなのコン。」
パワースポットという言葉でやっと机から起き上がるノンにカオル姫が腕組みして言う。
「でも条件があるのブヒ。」
「どのような条件なのコン?」
カオル姫がミツルを見て言う。
「ミツルさんと付き合う事を認めるブヒ。」
ノンとナナ子とミツルの口が、驚きで大きく開く。言ってしまった後からカオル姫が恥ずかしいとまん丸の顔を小さな手で隠す。ノンがミツルを見る。
「ミツルはカオル姫が好きなのワワン?」
ミツルが言う。「好きブー。」
ノンが言う。「補佐官にするワン。」
豊満というより、肉団子のようなカオル姫がノンたちをパワースポットと言われている場所へ案内している。
勿論、カオル姫は先頭でミツルの手を握り締めている。
服は和服、お相撲さん用のものを着ている。
「楽しいブヒ、ブヒ。」
夏なのでカオル姫は汗だくであり、前も後ろも身体のラインがはっきり分かるが、あまりの迫力に後ろにいるノンは、欲情しない。
ノンとしては、カオル姫はミツルの押しかけ恋人なのだから遠慮するのは当然である。
でも、ノンも男の子なので思わずナナ子のお尻に目がいき、本能的に手が出るが、ナナ子にしっぽで払われ、手を握られる。
「お仕事が優先コン。」
ノンは、戦闘に備え、ヤスベエの記憶を呼び出していた。
その結果、ヤスベエの女性についての気持ちも思い出していた。
世間では、女は男より感情に左右されやすい等の言葉があるが、実際は、百人いれば百人違い、千人いれば千人違う。
男も女も人それぞれであるが、それぞれの生まれ育った社会の規範があるだけである。ヤスベエは相手を尊重している。
ナナ子も、やはりタマエノマエの記憶を呼び出している。
だからノンがお尻を触ろうとするのは嫌ではない。だがカオル姫がミツルと手を握りしめているので一度、手を握って見たかったのだ。
「手を握るコン。」
そう言ってナナ子はノンの手を握る。ヤスベエと逢い引きしていた時代には、男と女は外で手を握れなかった。
そんな二組の後ろから、あたりに注意をはらうサラとモエがいた。
モエが言う。
「ダークポイント。」
ノンが手を離し、ミツルが手を振りほどく。
そこへビーバー族たちがつるはしでノンたちに攻撃してきた。
「俺たちの生活を壊すなビー!」
「穢れを溜め込む愚か者ブヒ!」
ノンたちが応戦して、全て倒す。意外にもカオル姫はレイピアで素早く動いていた。斧を振り回すイメージなのでノンたちは驚いていた。
なお、カオル姫の下着は湯文字なのだか、幅が足りず激しい動きで、チラチラとアソコをわざとミツルは見せる動きをしていた事はだれも言わなかった。
ノンたちは、ビーバー族たちが作っていたダムに着く。そこには、ビーバー族たちの子供たちがいた。ノンが子供たちを見て言う。ノンはダムを壊せば子供たちが飢えてしまうと考える。
「ここに生け簀ワン!」
ノンが川の横に生け簀を作ろうと指さして言う。ビーバー族たちが作ったダムは、穢れを溜め込み、パワースポットをダークポイントに変えてしまった。だが彼らにも生活があり、子供がいる。
ビーバー族たちはここに穢れを溜め込まず、彼らの生活も成り立たせる為に何ができるか考えるべきだった。ノンたちがダムの木を利用して生け簀を作る。
ノンたちは川の流れは止めず横に生け簀を作る。川の一部が生け簀に流れて、また川に戻る。水が流れていればダークエネルギーは溜まらない。
その後、モエが祈って、今までのダークエネルギーが浄化される。
あたりから暗い気が消え、竜神が現れる。
カオル姫が夢で見た竜神だった。
「よくぞ戻した。お前の望みは?」
「呪いを解いてくださいブヒ。」
カオル姫は夢の中で竜神にパワースポットを復活したら願いを1つ叶えると言われている。
竜神がカオル姫を睨み、光がカオル姫を包む。
そして、光が消えた時、そこには肉団子ではなく、豊乳で豊かではあるが、腹は引っ込んだ美少女がいた。
ノンもナナ子も、ミツルも口を大きく開けてしまう。
勿論、一番ショックだったのは、ナナ子である。
これで、体形で悩むのはナナ子だけ。
唖然としているミツルの手を握り微笑むカオル姫が言う。
「あなたが好きナン。」
言葉使いさえ、カオル姫は変わった。
その後、カオル姫とミツルは子供たちが生け簀で安定して食料を取れるまで食料を運ぶ。




