21.お尻を見つめる
21話から28話まで、連続的に投稿しますので、よろしくお願いいたします。
逆ピラミッドの深殿の奥にある何段もの階段の上にある場所に黒フクロウ族の滅帝が座っている。
横には、側近のムカシトカゲ族の三つ目がいる。
階段の前にはシカ族の長がひざまずいていた。
シカ族の長が、モエの暗殺失敗を報告している。
「これで、警告は終わりですシ。」
モエは、本来なら上流階級である。だから、庶民の側に立ち、ノンたちに協力することなどあってはならないと滅帝は考える。だから、警告としてプロではない殺し屋を使ったのだ。
滅帝が命令する。
「英雄の卵を潰すのゲ!」
「必ずや、御期待に応えますシ。」
シカ族の長が退出した後、滅帝の側近ムカシトカゲ族の三つ目が言う。
「今度こそ、あの犬の最期になりますト。」
シカ族たちは、滅帝が使う暗殺部隊である。滅帝はいよいよ直属の部隊を使ってノンたちを処理させることにした。
暗殺部隊が狙っている中、ノンたちは、霊峰である不二山の中腹にある樹海を進む。
ノンたちは、自分たちの通った道に目印をつけながら、ヒモをつなげつつ歩いている。ここは自殺の名所として有名であり、磁気が乱れて遭難者が出ることでも有名だった。その為、ノンたちは迷わないように印を残していた。
そんな場所をノンたちは、前にナナ子とサラ、真ん中にノンとミツル、後ろはモエという並びで進む。この並びで一番目立つのは、ノンが兜を外してナナ子のお尻を舐め回すように眺め、口から涎を垂らしている事だ。
既にノンと内心のタダロウは統合しており、ノンの女性への関心も変化していた。その変化を一言でいえば、目をつける場所が胸からお尻へ変わった事だった。
「グヒヒ、グヒヒ、・・・・」
ノンのスケベオヤジ発言が樹海にこぼれる。
その様子を遠くから望遠鏡で見ているシカ族の二人がいた。一人はシカ族の長、一人は部下である。
二人共、鎖帷子の上に迷彩服を着ている。勿論、ヘルメットを着けて音響兵器への対策もしている。
だからこそ、英雄になるはずのノンが、スケベオヤジになっている事に納得する。
(やはり、既にスケベおやじとなるシ。)
シカ族の長は何時でも殺せる。シカ族の長は、そんな判断をしてしまう。
チャクラの開発は、同時に欲望の増加を引き起こすことがある。どのように欲望の増加を対応するかがチャクラの開発における最大の課題だ。
彼らの気配が遠く離れた時、ナナ子が手話で演技の中止を指示する。ノンは兜を被りミツルと共に先頭に移動する。
(少し、残念ワン。)
ただタダロウと統合し、本当にスケベオヤジとなっているノンは、もっと見ていたかったのにと、ちょっとだけ残念に思ってしまう。
このスケベオヤジ作戦は、シカ族たちの油断を誘うもので、ノンが提案したものだった。
ナナ子の直感はノンのスケベ心を見抜くが、了解する。
それは通常の乙女には耐えられないものだが、ナナ子にとってはペッタンコ胸を意識しなくていい。
つまりノンの視線が胸ではなく、お尻にうつりる事は、ナナ子にそれほど気にならない。
勿論、女の子は好きでもない男の子に見られるのは、どこでも気持ち悪い。
ただ、自分が好きになった男の子には見られる事は構わない。
一般的に、女性は見せたい対象の男がいて、派手なカッコをするのであって、好きでもない男に見られていい訳ではない。
だからナナ子もノンには見てもらいたいので少し残念だった。
(お尻には、自信があるのに。)
樹海の奥深くに聳える世界樹の前にノンたちが着く。
周囲は開けているはずだが、霧で覆われているので正確にはわからない。その霧の中から灰色の服を着た灰色の髪と肌の番人、ヘルが現れる。
ヘルは過去世と現世の間に流れる川の番人であり、地獄に根をはり、天国へ枝を伸ばす世界樹の番人とも言われている。ヘルが灰色の手を伸ばし、泉が現れる。
「罪の審判を受けよ。選ばれる者は再び目を覚ます。」
選ばれない者は、そのまま死ぬ。
さっきのシカ族たちが見逃した大きな理由は、泉の水を飲み、選ばれなければ死ぬ事を知っていたからである。女の尻を見て涎を垂らすスケベオヤジが選ばれるとは彼らは思えなかった。
ただ彼らはノンとナナ子は恋人であり、恋人たちにとっては何の問題もない事を知らなかった。
ノンがまず、泉の水を飲み意識を失う。
ノンが再度、目を覚ました時、ノンはヤスベエとしてタカゲタ馬場で刀を抜いて立っていた。




