101.凶皇の紅い機械人形
凶皇ペテルギウスは、小さな機械を亀の姿をした機械人形の胸に嵌めて言う。
「また、殺られてしまったペ。今度こそ駄犬を殺すペ。」
凶皇は地の底の闇で紅い機械人形を見ている。
凶皇が言う。「デミウルゴスよ、我は求め、訴えたり。このものに仮初めの命を宿らしめよ。」
蒙焚闘とは、均一主義大国に置いて独裁者になった男である。
均一主義大国でただ一人、大家族主義より均一主義を優先した亀族の独裁者である。
そして嘘だらけで何千万人もの餓死者を作った男だ。一人の独裁者は嘘つきを何百万、何千万と作り出す。
その理由は蒙焚闘が立てた目標数が非常識でも、現実を言ったら左遷され強制収用所に送られた為だ。その結果、ある紅党幹部は密集した稲の上に子供が座る写真をとることになる。(もちろん、これは他の田んぼから植え替えて作り出した紅い宣伝だ。この時代、社会から事実が放棄され、命の価値さえ忘れさられた。その結果、実際とはかけ離れた食料生産の報告が上がり、多くの人々が餓死する事になる。)
凶皇はこの悪霊を紅い機械人形に宿らせたのである。もちろん既に地の底の闇への出入口には、機械人形の部品が集めてある。その全てが耐熱用特殊塗料で紅く塗られいる。
谷底には大量の均一主義大国からの輸入品が溢れる。
紅い機械人形の目が紅く光る。
蒙焚闘が言う。「造反有理。」(現実主義者を叩きのめす理屈だ。)
地の底の闇から紅い機械人形、蒙焚闘が出入口に向かう。
地の底の闇の出入口、かつて堕帝の宗教施設があった場所は、周囲を山に囲まれた場所だ。
そこへ夜明けの光が差し込む頃、青輝高速艇が現れる。
空気の巨大スライムについて、その飛行経路を分析した結果、場所が判明した。
そして青輝高速艇からノンとナナ子の円盤型機械武装と犬型機械武装、ミツルとカオルの軍女神が乗る虎型機械武装、更にアキラとシンニの死天女が飛び立つ。
宗教施設のの廃墟では、蒙焚闘が機械部品を集め、機械部品で覆われている。その部品が集まり巨大亀型機械武装になる。
周囲には、暗殺部隊の紅青が無数に現れる。
暗殺部隊は、全体がまるで中華包丁のような機械人形だ。手も足もついているが、どちらも剣である。
蒙焚闘は、自らの過去を思い出している。自分以外の誰も信じないことで権力闘争に勝ち、|均一主義≪コミュニズム≫大国の独裁者になった過去だ。少しでも力を持つ者は必ず叩きのめした過去を思い出す。
「久しぶりの世界だ。もう一度、思うがままに世界を破壊するモー。」
かつて蒙焚闘は、自らの破壊衝動を自分以外の全てに向かって叩きつけた。そして大家族主義すら破壊して均一主義大国の独裁者になる。そして世界を均一主義大国の植民地に変えようとした。
蒙焚闘の全身を破壊衝動の紅黒いオーラが覆われる。
やっと蒙焚闘の濁った紅い目が光る。
蒙焚闘が力強く叫ぶ。「世界は全てが貧しくあるべきだモー。」
金持ちなど生きていてはいけない。金持ちは強制収容所にいるべきだ。
そこへ一段と速度を上げた死天女が巨大亀型機械武装の前に現れる。紅い巨大亀型機械武装を見たシンニが怒りに燃えて突出したのた。
シンニが叫ぶ。「人を貧しくする亡者よ。地獄へ戻れ。」
死天女に周囲から機械人形が体当たりする。
しかし、機械人形が死天女に突き刺さる寸前、雷鈴から雷撃が当たる。
蒙焚闘が叫ぶ。「全ての人民は、紅党に従えモー。」
アキラが叫ぶ。「全ての民族は、自立する権利を持つ。」
巨大亀型機械武装が死天女より大きな青竜刀を降りおろす。
三叉戟で受け、炎槍を巨大亀型機械武装に突き刺さそうとする死天女。しかし、二倍以上ある巨大カメ型機械武装の甲羅は硬く炎槍が刺さらない。
死天女は剣で巨大亀型機械武装の足に斬りつける。
足は甲羅ほど硬度はなく、足の内部の金属が見え巨大亀型機械武装が傾く。
周囲の雷撃を受け故障していた機械人形が周囲の部品を取り入れ再び死天女に攻撃する。
そこへ軍女神が雷鈴で雷撃する。
再び機械人形が壊れる。
巨大亀型機械武装は頭も手も足も引っ込め、後退する。
そしてもう1つの巨大亀型機械武装を作り出す。
ノンが言う。「部品スライムワン。」
通常は不定形の液体がスライムの体を作るが、これは液体の換わりに部品を体とするスライムだ。
ミツルが言う。「どうするブー?」
ナナ子が言う。「部品を燃やすコン。」
アキラが言う。「分かった。」
このままでは、巨大亀型機械武装がどんどん増えてしまう。
円盤型機械武装が火炎放射で巨大亀型機械武装の部品を燃やし、軍女神と死天女がそれぞれの炎槍から部品の山を燃やす。
しかし、ナナ子たちの炎の攻撃にも関わらず二体目の巨大亀型機械武装が完成し、三体目が作られ始める。
二体目も頭と手と足を引っ込めた姿である。どうやらあの姿のまま準備ができたら体当たりで攻撃するようだ。
それぞれの部品には耐熱用特殊塗料が塗られている。
青輝高速艇にナナ子が連絡する。
ナナ子が言う。「巨大亀を攻撃してコン。」
青輝高速艇から巨大亀へレーザー光線が発射される。しかし、青輝高速艇からのレーザー光線の直撃でも甲羅は、一部が損傷しただけだ。
ナナ子が再度、言う。「巨大亀を破壊するまでレーザー光線を発射コン。」
青輝高速艇からのレーザー光線が二体に継続して発射される。
さすがに青輝高速艇からのレーザー光線が継続すると巨大亀型機械武装の甲羅でもレーザー光線が貫通する。
しかし、二体は穴の開いた甲羅に周囲から部品を集め補修する。
蒙焚闘が嗤いながら叫ぶ。「ムダ、ムダ、ムダモー!」
巨大亀型機械武装は三体目を作り出している。
アキラが言う。「機械スライムの核はどこだ?」
カオル姫が言う。「悪霊が部品全体に漂う感じブヒ。」
ノンが言う。「法螺貝ワン。」
ナナ子が言う。「法螺貝で振動を全部品に与えてバラバラにしてドクロで吸い込むコン。」
ミツルとカオル姫が軍女神の法螺貝で振動を与え、死天女のドクロが部品を吸収し始める。
法螺貝の振動で精度の悪い粗悪品がどんどんバラバラになり、死天女のドクロに吸い込む。
部品の山がドクロに吸い込まれ、巨大亀型機械武装も部品がバラバラになり、ドクロに吸い込まれる。
最後のもともとの凶皇が作り出した紅い亀型機械人形が現れる。
これはもともと東昇帝国で作り出した部品なので精度が高く、軍女神の法螺貝だけではバラバラにならなかった。
蒙焚闘が言う。「本当の力を見せてやるモー。」
蒙焚闘の言葉がノンたちに届いた時、ノンたちは紅い色だけしか見えない世界にいる。
蒙焚闘が言う。「東風が西風を圧倒するモー。。」
みるみるうちにノンたちの体が紅く変色し始める。
蒙焚闘が言う。「じきに体が動かなくなるモー。」
その時、虎型機械武装が吼えて、蒙焚闘の洗脳言霊を破る。かつて蒙焚闘は洗脳言霊で人の意識を洗脳する力を持っていた。その力を虎型機械武装が吼えて消した。
パンテラが叫ぶ。「騙されるな!」
ノンが叫ぶ。「死天女の法螺貝も使うワン!」
シンニがすぐに死天女の法螺貝も使って振動を起こす。
蒙焚闘の本体である機械人形も二つの法螺貝の振動でバラバラになり、ドクロに吸い込まれる。
ノンが喜び、軍女神と死天女の回りを三回右に回る。
ノンが言う。「よかったワン。」
そして吠える。
ワオーーン。