プロローグ
遂に大好きな悪役令嬢ものに手を出してしまいました。
よろしくお願い致します。
「これより、国家反逆者ヴィクトリア・カーマインの斬首を執行する!」
その声に民衆が湧く。平和だったこの国を戦禍に陥れ、荒廃させた張本人が目の前で裁かれるのだ。熱狂するのも当然と言えるだろう。
罵声が飛び交う街の広間。その中央に建てられた断頭台。
そこに「悪役」、ヴィクトリア・カーマインは立っていた。
齢十七にして、あちこちに戦を仕掛け虐殺を繰り返した、この国の歴史に残る悪役令嬢。
ギラギラと派手に輝く金髪に、燃え上がる赤い瞳。
断頭台の下で騒ぐ民衆を見下ろすその表情は、まるで全てのものを見下しているよう。その双眸の目が合ったものを射殺すような鋭い視線。これを「悪役」と呼ばずしてなんと呼ぼう。
誰に命じられるでもなく、「悪役」ヴィクトリアは断頭台の上にそっと頭を乗せる。
「……「悪役令嬢」ね…」
目を閉じたまま小馬鹿にするようにそう呟くヴィクトリア。
そしてその白い首に大きな刃物が降ってきた、
「…っぎゃああああああああああああああああ!!
………………、え?」
────────はずだった。
どんな神の気まぐれか、どんな悪魔の悪戯か。
国家反逆罪で斬首刑に処されたはずの「悪役令嬢」ヴィクトリア・カーマインは十一歳の頃の自分に転生していた。